ZOA-ゾア-


1 :カリー :2006/12/30(土) 23:14:33 ID:ommLumPe

ZOA‐ゾア-

「ノルフィ! こっちだ早く手を!」
「―――っ、ゾア!!」
 暗闇の中、路地裏に身を潜める姿がそこにあり…
「いたぞ!こんな所に隠れていやがった!」
「追えぇぇぇ!!」
 その二人の影を追う者たちがいた。
 満月が、不気味に微笑む。
 狼の遠吠えは、森の奥で響き渡った。
「―――クソ! ノルフィ、俺の後についてこい!!」
 月と同じ色の髪と、血のような瞳を持つゾアは走り出す。
 そして、その後をノルフィは追った。
 街外れの森に足を踏み入れ、二人は木に登ると追いかけてくる敵の様子を上から伺う。
 その敵というのは、この王国を支配しているミッペルの聖者だ。
 ゾアは息を潜め、真っ赤な瞳でゆっくりと自分たちを探す聖者たちを強く睨みつける。
「ミッペルの聖者は、俺たちクドルを…裏切ったんだ」
「ゾア…殺しちゃ駄目だよ?」
 不安に怯えるノルフィの腕の中では、水色の生き物が眠っている。
 ゾアは枝の上で立ち上がると、「分かってるさ」と言い、真っ直ぐに地面へ飛び降りていった。
 聖者はゾアを囲み、ゾアは聖者たちを見据える。
 そして、大勢の聖者たちの間から、一人の老人がゾアの前に 姿を現し、「ノルフィ様を返したまえ」と進み出た。
 ゾアはふっと息をつき、「やだね」と、あっさり答え、老人は白く茂ったように生えている眉毛の下の目を極限まで開いてみせる。
「君は、ワシらに逆らう気かね? ノルフィ様はワシらにとって大切な材料なのじゃ」
「ノルフィは、材料なんかじゃねぇ」
「ほぅ…、返す気がないなら力ずくで返して頂こう」
 ………。
「この女を殺すのじゃーーー!!!」
 老人の合図と同時に、聖者たちは一斉にゾアに襲い掛かってくる!!
「へっ! 聖者の肩書きにはふさわしくねぇ光景だな」
 槍を持ち、それを乱暴に扱う聖者を見、ゾアは笑う。
「…ねぇノルフィ? 今なにが起きてるのぉ?」
 枝の上に身を隠すノルフィの腕にいた生き物が目を覚まし、もぞもぞと動き始めた。
「あ、ププルン!起きちゃったのね、今はゾアがあたしたちのために、ミッペルの聖者たちと戦ってくれているのよ」
「ふへぇ〜…怖いよぉぅ…」
「大丈夫だよププルン、ゾアはあたしたちの心強い味方だから」

「さて、残すはアンタのみだクソジジィ」
 ゾアの周囲では、大勢の聖者たちが血を流し、気絶をしている。
 ゾアは引き金を引き、拳銃を老人に向けた。
「くっ…お前は一体何者…」
「クドルの、ゾアだ」
 そして、銃声が森に鳴り響いた…。


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