ヨルヤミ


1 :狭霧雫 :2008/04/04(金) 10:32:23 ID:ommLQ4z3

 闇の帳が下りて来る。
 じわりじわりと闇は街に侵入する。
 灯り始めたネオンの光に、街灯の明かりに跳ね除けられながらも、闇は確かに滑り込んでいく。
 街の至るところに、根を張っていく。

 闇に飲まれた屋上で、少年は空を見上げた。
 月のない空。
 星の見えない空。
 闇に飲み込まれた、空。

 そんなヤミの中で、今日もヒトは生きていく。


2 :狭霧雫 :2008/05/20(火) 15:26:07 ID:ommLQ4z3

01.ハザマ

 眠るのに特別な準備は要らない。
 ふかふかのクッションも、あたたかな毛布も、安眠枕も。
 必要なのは感覚だけ。
 今いる世界から離脱する。
 ふわりとした浮遊感。虚脱感。
 その、曖昧な感覚を見失わなければ、こんなにも容易く眠ることが出来るのだから。

 いつものように、その感覚に手を伸ばす。
 わずかな断片を掴みとる。
 そして――

「――暮井、起きて。暮井ってば」

 声が、あっさりとその感覚を奪い去っていった。


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甘辛流小説家ギルドGAIA
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