暇な暇つぶしの仕方


1 :雨一 :2007/07/27(金) 20:38:03 ID:m3knVnum

 暇つぶし1 

 とっても晴れた日。どうして私はここにいるんだろう?
 そう考えてると、まぁどうでも良くなった。ま、いっか〜ッて感じだ。ん、いい加減主義万歳ざいってか?
 こうやって渡るわけでもないのに横断歩道の前に立っている。そして信号が変わって車が言ったり来たりするのを眺めているのだ。
 自分の時間を横臥する。う〜ん素晴らしい。こんな時間を待っていたんだな。
 日本人は急ぎすぎって……納得。車の速度、制限速度なんか余裕で越えてるもんね♪そりゃそうだよ。真っ直ぐな道を60キロで走れなんて……不可抗力だね。重力並みに。
 にしても、マジでいい天気だ。太陽がそれほど強くもなく、風も温かい。春……だね、これは。まだ土曜日に授業があった頃、帰りの通学路でふきのとうとかツクシ見つけると何となく嬉しくなる、あれだ。
 あ〜思い出すな。よもぎ餅喰った後、道ばたのよもぎ拾って帰ったら……捨てられたっけ。犬の散歩コースだしね。危険危険だ、今思うと。
 なんでこんな事考えてるんだろ、私。たしか、たしか、つい最近まではめまぐるしく忙しかったはず。例えで言うと、自転車のヘルメットを付けたくないぐらい忙しい。あ、なんか変か?
 もどかしいな。仕事で忙しいって言えば良かったのか……。
 大人になると休みたくとも休めないって言う。だから子供はいいわね〜………そんなことはない。
『休みたい』
 何となくそうぼやいてみて、
『じゃあ休めば?』
 って言われる。そう言われると休みたくなくなるのは何でだろう?子供だってそうゆうもんだ。それで休めるヤツがいるんだから……それは大人も子供も関係なく、凄いと思う。少なくとも私には無理だ。
 なんか……暇になってきた。考えてみると、こうゆう時間に何をすればいいのかが分からない。何すればいいのだ?スキなこと……したいけど分からない。
 何か……何か暇つぶしになるようなこと。
 クソ、信号の青の時間を数えとくか。そんで心の中で実況中継してやる。やったるゼ!
『1,2,3,……お〜と、現在青の時間は16秒。これは長い……のか?!赤の車が待ちくたびれているようだ!さて、変わる、変わるぞ……よ〜し、目をこらして……3,2,1,スタート!!!』
 暇だ。
 なんて暇なんだ。暇つぶしにもなってない。でも、これ止めてお暇なだけだ。
 暇な暇つぶし。
 なんかひつまぶしみたい。
 私はそう思うと……何となく気づいてしまった。
 それでも意識はまだ、信号に向いているということを。恐るべき、信号マジック!さすが赤と青と黄色の……今思ったけど、なんで黄色だけ黄“色”って付けちゃうのだ?自然と付けてしまう。
 ん〜………不思議だね。
 そんなこと考えている自分!なんて暇人なのだ!!


21 :雨一 :2010/09/15(水) 22:23:06 ID:mmVco4xem7

暇つぶし21

 ある国にひとりの姫がいた。
 姫は、その国の特別な存在であり、国民の誰もが姫のことを慕っていた。

 しかし、姫は満たされていなかった。

 彼女は暇だったのだ。

 毎朝目覚め、眠るそのときまで、姫は暇だった。
 姫は暇をつぶすありとあらゆる方法を探していたが、その方法もすぐに暇になってしまうため、とうとう暇はつぶせなかった。

 だから姫は考えた。

「うんうん」

「うんうんって……本当に聞いているのか?」

 俺は目の前でニコニコしながら俺の作った話に耳を傾けているであろう、少女に聞く。
 少女、カノカはその質問に対してもまったく表情を変えずに頷きながら、「聞いてるよ〜」と間の延びた返事を返す。
 
 この学校の用務員として働いている俺だからわかるのだが、今は授業中のはず。カノカ以外の生徒の影は見当たらず、この校舎の脇にひっそりと設置してある物置にいるのは、俺とカノカだけ。
 生徒と用務員。
 なんとなく怪しいことが起こりそうな組み合わせでもあるが……ついでに場所も物置だし。
 決して起こらない自信がある。
 それは、目の前にのほほんとしているカノカが、不細工な女だからとかそういうものではない。
 カノカは決して美人ではないが、可愛いといえる部類の少女だし、人当たりのいい笑顔は初対面でも好印象だった。

 しかし、問題はその性格。

 あの性格を目の当たりにすると、とても異性として意識はしがたい。だからまったくの対象外となったのだ。
 よって、物置に生徒と用務員が二人きり……というアダルティーな状況も、蓋を開ければ暇な少女が用務員の仕事を見て暇つぶしに来ているだけというなんとも面白くないものになる。
 さらに、カノカは俺に対して更なる暇つぶしを要求してくるのだ。
 それが、冒頭のストーリー。

「で、姫はどうしたの?」
「ん〜……まだ作ってない」
「えー!!それが楽しみで授業を抜けてきたのにぃ。むぅさんがっちり!!」
「いやいやがっちりって」

 カノカは俺に向かってガッツポーズ。
 ちなみにむぅさんとは、カノカが俺に付けたあだ名だ。
 用務員からとってのむぅさん。なんともひねりの無いあだ名だ。

「むぅさんの話を聞くことが、今日の暇な授業をやり過ごす暇つぶしだったんだよ〜」
「……それは、ようするにカノカの言う暇な暇つぶしというヤツだよな?だったら、俺の話も遠まわしに暇ということじゃないか?」
「えへへ。考えすぎじゃない?むぅさんはきっと作家の才能があるよ」
「ありがとさん。また続きを考えとくよ……暇なときに来いよ、出来れば授業外の時間でな」
「あはは、そだね」

 そういうと、カノカは座っていたゴミ箱から飛び降り、スカートを整える。
「じゃ、そろそろ場所移動するね」
「授業に戻るんじゃないのか?」
「暇な授業なんだよね〜……暇つぶししなくちゃ」
 へらっと笑いながら答える。

 俺はため息をつき、仕事を続けようとカノカに瀬を向け、物を片付けようと手を伸ばした。その時、背中に声がかかる。

「ねえむぅさん。さっきの話の姫ってモデルいるの?」

 分かりきったことを。

「いるぞ。この暇そ〜な暇姫のモデル。毎日暇だ暇だとわめきながら学校中うろうろしている変な女」
「暇姫?そんな名前なんだ。ネーミングセンス無いなぁ」
「お前に言われたくないんだけど」

 と、その瞬間物置の扉がガタンとなる。

 見ると、そこにはひとりの男子生徒がいた。

「リキ君」
「カノカ、サボりで先生探してた。っていうか探して来いって言われてきたから帰るぞ」
「う〜……暇な授業をするほど私の時間は暇ではない」
「今から多分、アイツの演説が始まるから。無駄すぎて暇になるんじゃないのか?」
「それは良いね!じゅあ帰ろうかな」

 クラスの中でしか分からない会話を繰り広げ、どうやらカノカは教室に帰る気になったらしい。
 カノカはニコニコ笑いながら、俺に対してひらひらっと手を振って物置から出て行った。

 残された俺は、カノカを呼びに北男子生徒と目が合う。
 そいつは俺のほうをじっと見ると一言。

「犯罪。ロリコン」

 そう言って出て行った。

 いやいや……だから、そんなんじゃないって。
 そう言い返すことも出来たがとりあえずやめとく。否定したところで証明は出来ないし、こんな狭い空間で女子高生と二人きりというシチュエーション自体が傍から見ると犯罪行為手前かもしれない。
 にしてもろり……
 それ言われるほど俺って歳か?

 俺は再びため息をついて、片付ける荷物を眺める。
 そして、カノカにせがまれた話を考える。

 うん、決めた。

 姫の名前は絶対に暇姫にしてやる。
 単純でも安直でもストレートでも、これは固定。


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