BEAST


1 :レンド :2007/05/11(金) 17:22:06 ID:PmQHsJm3

主人公ジンとユウガが孤児院を抜け出して冒険していく話。


2 :レンド :2007/05/11(金) 17:37:40 ID:PmQHsJm3

BEAST

「なあ、ジン逃げよう。」

まだ昨日のことが夢みたいだ。それくらいユウガに言われたことがありえないってことだ。
昨日のことをはなす前に僕達の置かれている状況から説明しようか。
僕はジン。友達のユウガと一緒に孤児院に住んでいる。この僕とユウガは本当に変わっている。僕は生まれつき風が自由に操れる。ユウガは獣の呪いをかけられている。さらに炎まで操れる。だから僕達はイジメにあっているんだ。でもなにされてもしかえしできない。だって相手を殺しかねないから。
僕達はこんなところで生きている。


3 :レンド :2007/05/12(土) 13:17:37 ID:PmQHsJm3

昨日ユウガがすごいかっこして部屋に戻ってきた。最近イジメがエスカレートしてきているんだよね。孤児院の外にでると、ユウガの呪いのことを知っている人はナイフを持って襲ってくる。獣の呪いはユウガの背中に浮きでてみえる。だから隠そうにも隠せない。でもそんな僕達に優しく接してくれるひともいる。
昨日、ユウガは背中と右腕にナイフを刺されて帰ってきた。僕は傷の手当なんかできない。そうやってオロオロしてたらここの孤児院で僕達の世話をしてくれているユカさんがきてくれた。


4 :レンド :2007/05/12(土) 14:19:20 ID:PmQHsJm3

「あら、まあ。またナイフ?ちょっと待ってて、すぐに包帯持ってくるから。」
ユカさんはそう言うとアッというまにいってしまった。するとその横でユウガが右腕に刺さったナイフを見ながら窓のほうへ歩みよった。僕はユウガの横に並んでついていった。
僕は空の星を見上げていた。そんな僕の目の端にユウガの右腕から流れでている血が映った。
「大丈夫かよ?そんなに血ィ出して。」僕は心配だったからきいた。
「いつも言ってるだろ?呪いのせいでオレは簡単に死ねないんだよ。」ユウガは冷たく言い放った。
「それは僕だって分かっているよ。ぼくは傷が痛くないかってきいているんだ。」
「もう慣れた。」お決まりのセリフが返ってきた。
「ごめんごめん、なかなか包帯みつからなくって。あれ?もう動けるの?」
ユカさんはそう言うなりユウガの傷の手当をはじめた。


5 :レンド :2007/05/13(日) 15:45:38 ID:PmQHsJm3

10分後ユカさんはユウガの血が付着したナイフを持って管理室に入っていった。
実のことを言うとこの孤児院にはたくさんの身寄りのいない子供がざっと30人いる。この中にはグズーといういじめっことその仲間5人も入っている。
この孤児院には15人ぐらいの「ユカさん」みたいな人がいる。その15人の中には僕達のことをよく思ってないひともいる。
ボーっと星をながめてた僕にレンドは彼らしい口調で言った。ようやく謎がとけたような感情をまじえて。
「なあ、ジン。逃げよう。」
そう、この物語の最初の言葉を言ったんだ。


6 :レンド :2007/05/13(日) 16:16:49 ID:PmQHsJm3

その後、僕とユウガでこの孤児院をでる計画をたてた。計画をたてたっていっても計画のほとんどはすでにユウガが考えてた。カッコつけてみたかったんだ。許してください。
計画開始時刻は午前1時05分。(明日だ)このハンパな時刻にはちゃんと理由がある。
理由その1:孤児院の人(特にユカさん)に別れを言いたくないから。
理由その2:(ユウガが考えた)1番警備が薄いときだから。
このほかにもいろいろ理由はある。でもすべてを説明すると膨大な時間と労力をつかうのでこれを読んでるみなさん(いるのか?)の想像におまかせする。
僕達の今いる場所はギストシティ。
ここから旅がはじまる。


7 :ねずみ :2007/05/15(火) 19:07:31 ID:PmQHsJm3

午前1時。計画開始5分前。
「えーっと、荷物このぐらいだよね。」
「このぐらいっていっても携帯ぐらいだけどな。」
いつもながら冷たいヤツだ。まあ、アイツが優しくなったら気持ち悪いけど、もうちょっとほめてくれてもいいと僕は思う。

みんなが寝静まった夜、僕達の計画は始まった。
「なんかブキミだよな。」
「怖いなら置いて行く。どうする?」
「い、行くに決まってるよ。絶対行く。」
ユウガに置いていかれないように走ってついて行った。その僕達の前にグズーが現れた。
「おやおや化け物さん達どこにいくんでしょうかねぇ、こんな夜遅くに。」
グズーがいやみたっぷりに言った。
「貴様こそなにしている?」
「これはこれは化け物さん、言葉をつつしんでもらいたいねぇ。」
「ジン、オレはあいつを殺して、こんどこそこの孤児院にいられなくなるようにする。これでもいいよな?」
-計画変更だ!


8 :レンド :2007/05/16(水) 18:49:05 ID:PmQHsJm3

ユウガは僕の返事も聞かずにとっととグズーを始末した。
ユウガが人を殺すのを初めて見た。それはとってもあっけなかった。ユウガはグズーの後頭部を殴って腹に蹴りを入れただけだったんだ。それっきりグズーは動かなくなった。
「おい、ジンいくぞ。」
一瞬ユウガが何を言ったのかわからなかった。もう一度ユウガが同じ事を繰り返して言ってくれた時やっと僕は我にかえった。
「へ?あ、うん。」
意味わからない返事をしちゃったけど・・・
「お前、頭どうかしたのか?」
と、あげくには心配されることになった。なんでもない、と答えて立ち上がった。ユウガの非情な殺し方を見て腰がぬけてしまっていたんだ。
「まぁいい。とりあえずはこの町を出て別の町に行く。」
ユウガは先に歩きはじめた。そのユウガを追いかけながら僕は心の中で別れを言った。
―さよならギストシティ、さよならユカさん―


9 :レンド :2007/05/19(土) 16:49:29 ID:PmQHsJm3

BEAST2 仕事

「えーっと、どっちいく?」
いま僕達迷ってるんだ。なんか地図にない分かれ道があって・・・さらに看板無し!
「はやくしないとおいてくぞ。」
え?でも道わかるの?
そこまで考えた時、ユウガのとなりにいる人に気がついた。ユウガはなんとも思ってないらしいけど、正直、美人だ。年は僕より上だと思う。ちなみに僕とユウガは13才。
「この人が道を教えてくれるそうだ。って、聞いてんのか?ジン。」
「失礼だな。ちゃんと聞いてるよ。」
そこに例の女の人が割って入った。
「あ、あの・・・お取り込み中すいません。えっと、その・・・」
僕達が黙ってその人の顔を見上げてたらその人、話すのに困ったらしい。
「まず、お名前から教えていただけないでしょうか?」
僕は助け舟をだした。
「はい。私の名前はディンナです。あなた方の名前は?」
「ジンです。」
「ユウガだ。」
僕達の名前を聞くなり、ディンナさんは歩きはじめた。
「あなた達、ケガはない?」
「えぇ、ありません。」
むっつり考えこんでるユウガのかわりに僕が答えた。
「さっき、そこで土砂が崩れたの。だから1個道が埋まっちゃったのよ。」
だから間違えたのか。納得。
そうこうしてる間に村についた。入り口には看板があった。
―クドリ村にようこそ。
 仕事の契約にはここが1番―
「どうやらオレ達運だけはいいみたいだな。」
ユウガがつぶやいた。意味不明だったけど。

外から見た時とはずいぶん違い、村の中はにぎやかだ。世の中見かけによらない。


10 :レンド :2007/05/25(金) 17:32:23 ID:PmQHsJm3

「1つ質問してもいいかな?」
「あ、はい。」
突然、ディンナさんが話しかけてきた。
「気になってたんだけど、友好的なあなたと、ほとんどしゃべらないキミの友達はどうして、友達なの?」
「えーっと、んー?なんででしょう。僕とユウガが友達なのは・・・」
考えてる僕にかわってユウガがめずらしく(ユウガは普段こうゆうことに興味をもたない)答えてくれた。
「理由は2つある。まずは1つめ、孤児院で同じ部屋になったから。もう1つはあくまでもオレの推測だがあいつ―ジンと共通点が多いからだろう。」
確かに共通点はおおいよな。僕にでも分かる。
「あなた達の共通点ってなに?」
どうしよう。僕達の力のことをはなさなきゃいけないのか?
「お互い、化け物扱いされてるってことですよ。」
その後のユウガが言ったことには耳を疑ってしまった。
「どうせ、もう気づいてるんだろうけど。」
「ど、どうゆうことだよ。ディンナさんとはさっき会ったばっかりだぞ!」
どんどん言葉に力がはいる。
「ジン、まだ気づいてなかったのか?あのひとは、その人にあった仕事を見つけて勧める、セールスマンだ。」
全く気づかなかった。ってことはディンナさんは僕達に仕事を勧めようと最初っから・・・
「なかなか頭の切れる子ね。その通り、私はそこの仕事契約所で働いているわ。」
ん?ちょっとまてよ。この村に入った時、ユウガは何か言っていた。確か運がどうとか言ってた。ってことはユウガは仕事をさがしてる?


11 :レンド :2007/06/09(土) 14:26:22 ID:PmQHsJm3

「お前ってさ、仕事探してんの?」
ユウガは僕をありえないという目で見てから僕の問いに答えてくれた。
「何言ってんだ?稼がないと生きてけないぞ?」
言われてみれば・・・
「やっぱりお前ってバカだな。」
くやしいけど言い返せない。
僕がユウガに質問してる間に仕事契約所に着いていた。
「さぁ、ここが仕事契約所よ。」
建物はかなりデカい。
「社長!仕事探してる人が2人!今から社長室に連れていくから待ってて下さい!」
ディンナさんはここに入るなりインターホンみたいな機械に大声で言った。
「さ、いくわよ。」

重そうな扉がギーッと音をたてて開いた。
「こんにちは。待ってましたよ。」
入るとちょっぴり太った人が出てきた。どうやらこの人が社長さんらしい。
「あなた達に合いそうな仕事はこれです。」
いきなり紙を渡されて言われた。
なんか難しそうな字がたくさんあるな・・・
「ジン、どうする?」
「え?何が?」
いきなり質問されてしまった。無論答えられない。
「おいおい、しっかりしてくれよ。この仕事やるかどうかきいてんだ!」
え?もう読んだの?
「やるのか?」
「や、やる。」
どんな仕事か知らないけどとりあえずやることにした。
「じゃあ、まずはテストでも受けてもらいましょうか。」
テスト〜?聞いてないよ!?
「テストといっても簡単です。ここにある的をあなた方の力を合わせて、粉々にくだけばいいのです。」
僕はチラッとユウガを見た。いつもどうり何事もなかったような顔をしている。
「じゃ、やるか。な?ジン。」
「う、うん・・・」
僕達は的から5メートルぐらい離れたところに並んだ。
「いくぞ!ジン。」
ユウガの手から赤い炎が出た。そのまま大きな火の玉を作った。それを少し上に投げた。
それに向かって僕は風の刃を切りつける。
ゴウッと音をたてて炎をまとった風の刃が的に向かって飛んでいく。
派手な効果音をあげて的にぶつかった。
「おみごと!合格ですじゃ。」
やった!合格だ!


12 :レンド :2007/06/24(日) 14:10:29 ID:PmQHsJm3

「・・・げっ」
「げっとはなんだ?」
「だ、だって・・・」
「はっきりしないヤツ。」
だって目の前にいるのは僕より小さい女の子だよ。男っぽいし、殺気を感じる。
「オレがお前らの責任者じゃ文句あんのか?」
あの子、自分のことオレって言ってるよ。ほんとに女か?
確かにこのミオって子は僕達の責任者だ。でも僕より年下だぞ。大丈夫なのか?
「大丈夫なのかって顔してるな。」
よ、読まれてる。
「大丈夫に決まってんだろ?責任者なんだから!」


13 :レンド :2007/06/29(金) 20:50:48 ID:QFWAQHsm

「ここがお前らの部屋だ。」 案外広い部屋だなぁ。家具も一式揃ってる。「ここにしばらく住んでろよ。オレから依頼がくるまでおとなしくしてろよ。変に暴れたら責任とれんぞ。」 「わかった。」 「真夜中に依頼くるかもしれないがちゃんと来いよ。」 「承知した。」 ユウガがめずらしく答えた。 そしてミオ--司令官は部屋を出ていった。


14 :レンド :2007/07/09(月) 18:57:13 ID:PmQHsJm3

BEAST3 暗殺依頼

「ここどこ?」
見た所ただの暗闇が広がっているだけ。
『・・ぬ・・・・ぞ』
声が低すぎて聞き取れない。
「誰だ!」
『ま・・・・・・か』
悲しんでいるような声だ。
『・・・と・・く・』
「何言ってるの?」
声の主は見えなかった。でも僕の目の前から消えた―と分かる。
ぴとっ 
何かが手の甲に落ちてきた。
「これは・・」
言い終わらないうちにもっと降ってきた。
―血の雨!

ガバッ
僕は跳ね起きた。夢でよかったと切実に思う。にしても何か鳴っている。携帯だ!
「はい、もしもし。」眠い目をこすりながら携帯を取った。イヤな夢をみたけどやっぱり眠い。
「依頼だ。暗殺の。」
あんさつぅ〜!?僕は目が覚めた。
「ルーズっていう会社の部長を殺してほしい。そいつが今話題になっている連続殺人犯だ。」
「ちょっとまって下さい。いきなり人を殺すって・・・。今までやってきたのはペットの世話ですよ!?」
「しょうがないじゃないか。あのテスト以来お前ら力使ってないんだ。これを読んでいる人々もがっかりだぞ?」
これを読んでいる人々・・・?
「何だかわかんないよ?」
ミオは僕を無視して話し始めた。
「地図はお前らの携帯に送る。早くいけよ。あと、相手は殺人のプロだから殺されるなよ。」
電話は一方的に切られた。
「今からいくのー?」
誰も答えてくれないのは分かってるけどそう言わずにはいられない。
「何だ?ジン依頼か?」
ユウガは起きたばっかりなのに眠そうじゃない。
「そーだよ。今からだってさ。」
「どんないらいだ?」
「暗殺だってさ。ルーズって会社の部長を・・・」
「やっかいだな。」
僕の説明が終わらない内に・・言われた。ショックをうけた。
しばらくして地図が送られてきた。まさかこの街にルーズがあるとは。この地図の隅にミオからのメッセージがかいてあった。
そして出発した。


15 :レンド :2007/07/20(金) 17:43:09 ID:PmQHsJm3

出発してからしばらく経ってメールがきた。僕の携帯の着信音は犬の鳴き声だ。この犬の鳴き声が静まり返った街に響く。
声にならない声をあげてしまった。正直、何か出たのかと思った。あぁ、もうこの着信音はやめようと思いながらメールを読んだ。一体こんな夜遅くに誰だよ。
<今すぐユウガに伝えてくれ。本部まで来いって>
ミオからだった。全くユウガに用があるならユウガにメールしてほしいものだ。
ん?ちょっとまてよ?ユウガが本部に行っちゃったら僕1人でルーズの部長を暗殺しないといけない。
「マジなのかぁ!?」携帯に向かって言った。
「どうかしたのか?」
「どうかするよぉ!なんかミオからメールが・・・」
言いながらユウガに携帯を見せた。
「この内容からするとお前1人で暗殺しなければいけないということか。大丈夫か?」
「だ、大丈夫な訳ないよ!何でこんな大事なこと警察に報告しないのさ!僕みたいな子供が暗殺なんてできるわけない!」
「・・・ジン?ケイサツって何だ?」
「警察は警察だよ!」
言っているうちに自分で何を言っているのか分からなくなってきた。
「説明になってないぞ。オレの知っているケイサツはオレ達―いや、オレが生まれる前に無くなった組織のはずだが・・・」
何でユウガは『オレ達』って所を言い直したんだ?
「お前の言いたいケイサツってこのケイサツのことか?」
「わかんないよ。」
「そうか・・・。」
長い沈黙があった。居心地が良くない。だからこの沈黙を僕は破った。
「早くミオの所へ行ってきなよ。」
「だがお前1人で・・・」
「大丈夫。ゼッタイ成功させて、生きて帰るから。」
ユウガに言葉を返す隙をあたえずに僕はルーズに向かって走り出した。


16 :レンド :2007/07/22(日) 17:55:10 ID:PmQHsJm3

ユウガは追いかけてこなかった。
本当に暗殺できるのか心配になってきた。でもやるしかない。
「もう着いちゃったよ。」
目の前には大きな黒い門がそびえている。さて、どうやって中に入ろうかな。
よじ登ると目立つ。だからといって壊すわけにもいかない。残る道は地面から行くか、空から行くかだ。うまく風の力を使えば空から行ける。飛ぶ瞬間さえ見られなければの話だけど。
いい風を見つけた。これに乗っていけば中に入れる。
「風さん。ちょっと力を借りてもいい?」風は僕の周りをグルグル回り始めた。
「いいんだね。ありがとう。」
僕は風と話ができる。風の力のおかげだ。
「あの屋根まで連れて行って。」風はグルグル回るのをやめて僕の横で平らになった。乗れという合図らしい。僕は風に飛び乗った。

「ありがとう。もう行っていいよ。」風は空に吸い込まれるようにして消えた。
さて、これから―!誰か来た。
「やけに風が騒いでると思ったら子供がいるとは。名を名乗れ!」
「相手に名前を聞く時は自分から名乗るのが礼儀だよ。」
「生意気な小僧だな。だが、キミの言葉にも一理ある。・・・私の名はギズ。ここルーズの部長だ。」
こ、この人が部長!
「ぼ、僕の名前はジン。あなたを殺しに来た!!」
宣戦布告無しに相手を殺すのは気がとがめた。ユウガならそんなの関係なしに殺すだろう。
「キミが私を殺す?何かの間違いでは?」
「間違いなんかじゃない!この殺人犯!!」
「間違いじゃないと言うのならこの私を殺して証明するがいい!」
ナイフが10本飛んできた。
「ウイングバリア!」1、2、3・・・!?1本足りない。確かに10本飛んできたのに。
スッとバリアが消えた。その時を狙っていたかのように、後ろから飛んできた。よける暇も無く左肩に深く刺さった。


17 :レンド :2007/07/26(木) 15:44:35 ID:PmQHsJm3

本部のミオの部屋。部屋の中には司令官のミオ、敵意剥き出しのユウガ、この場をどう切り抜けようか考えてるディンナの3人がいる。
「なぜ今オレをここに呼んだ?」
「そう怒るなよ!」
殴り合いにならないことをディンナは願っていた。
「ちゃんとお前を呼んだのには理由がある。」
「理由がなかったら殺してるところだ。」
やはりここは危険だとディンナは笑いながら思っていた。
「ユウガ、お前に聞きたいことがあるんだ。」
「なんだよ。」
あぁ早くここを出たい!しかしこの気持ちを顔に出せないディンナ。
「お前ら2人に関係することなんだが・・・」
「なら、なぜジンも呼ばなかった?」
「これには続きがある――でもその前に・・・」
ミオはどこからか自分の背丈ぐらいある氷を出した。
「頭冷やせ!!」そう言って氷をユウガに向かって投げる。
ガシャン!!大きな音をたてながら氷は割れていく。


18 :レンド :2007/08/09(木) 18:22:38 ID:PmQHsJm3

さ、刺さったー!見事に。
あぁ、久しぶりに自分の血を見た。それより結構イタイ!!ブスブスナイフ刺されても急所さえ外せば僕は死なないハズだけど痛いものはイタイ!
「さぁ、はやく証明しないと死ぬぞ小僧!!」
相手はごく普通の人間。急所を狙えば一発だ。
「証明してあげるよ。そうだね。あと1分だけ待っててあげる。その間に僕を殺せなかったら命はないぞ!ギズ!」
1分あれば十分力をためられる。
「おもしろい小僧だな。いいだろう。」
「後で後悔しても知らないよ。」
「後悔などしない。」
完璧に僕をなめてる。ただの子供じゃないって証明してやる!!


ミオの部屋。
「どうだ?頭冷えたか?」
返事の代わりに火の粉が飛ぶ。
「何が頭冷やせだ!」
殺し合いに発展しそうなこの状況をどう変えればいいか必死で考えるディンナ。
「なーんだ。ぜんぜん頭冷えてないじゃん。」
逆効果ってヤツである。
「せっかくオレの水の力使ったのによ。全くお前ってやつは手がかかる。」
ため息をつくミオ。
「氷の力の間違いじゃないのか?ザコ司令官。」
言い返すユウガ。
「上司に向かってザコとは何だ!!」
切れたミオ。
ディンナは恐ろしいことが起きると予感している。あぁ、これからどうなるんだろう。


19 :レンド :2007/08/27(月) 18:12:52 ID:PmQHsJm3

BEAST4 ジン

「あと30秒だよ。ギズ!」
「・・・いや、あと10秒でお前は死ぬ。」
ギズが言い終わった途端ナイフがたくさん飛んできた。
「うわっ!」
かろうじてよける。一体何本飛んできてんだ?
ザクっといやな音がした。見ると左足に刺さってる。ヤバい!これじゃ動けない!!


ガッシャン!何かの割れる音がする。
「この〜!ユウガ死ねぇ!!」
ミオがつぼを投げている。
「当たるかよ。」
まだ、1つも当たっていなかった。
それにしてもすごい騒音だ。部屋の前を通る人は運が悪い。うるさすぎて耳を押さえなければ通れない。
「ふーたーりとも!!!」
ディンナのその声で静まる。
「社長に言いますよ!?」
たぶん言わないでも分かっているはずだろう。
「特にミオ!」
「な、何だよ?」
「話と言いながら何も話してないじゃない!」
他にもかなり言われている。いつまで続く事やら・・・


20 :レンド :2007/09/20(木) 15:08:52 ID:PmQHsJm3

動けない。左足は鉛のように重い。僕にはこの依頼はできないかもしれない。第一、戦うことがキライってことですでに論外だ。
「どうだ?動けないだろう?」
ギズの絡みつくような声が聞こえる。
確かに今、僕は動けない。ユウガがいてくれたらとつい、考えてしまう。だいたいなんでミオは―――やめよう。八つ当たりしてもこの状況は切り抜けられない。何か・・・何かしないと――僕はっ―死ぬ!
「どうした?小僧?」
「いやだ。そんな運命なんて、ゼッタイ受け入れてやるもんか!」


やっと説教は終わった。本当に長かったよ。
「さ、ふたりとも。早く本題に移ってはどうです?」
これで断ったら・・・終わるな。
「と、いうことで本題に入るとしよう。」
「んで、話ってなんだよ?」
「あぁ。実はな変な噂をきいたんだが。」
噂?そんなもん信じるのか?
「もちろん信じてはいない。ただ、一度お前らに聞きたいことがあって・・・」
「答えられること意外はこたえない。」
「お前らの過去についてなんだが・・・」
こたえたくない。
「なあ、ユウガ。ケモノについて教えてくれないか?」


21 :レンド :2007/10/08(月) 15:19:41 ID:PmQHsJm3

「ウィン・デン・レドガイン」
僕の得意技の1つだ。絶対に命中させる自信がある。
「なっ、何だ!?」
ギズの周りに風が集まっている。今ギズは《台風の目》みたいな中にいる。
「終わりだ!ギズ!」
その叫びと共に《台風の目》は消滅した。
「ぎぃあぁあああ!!」
この技は風が相手を潰してくれるというものだ。粉々になるので死体も残らない。死体が苦手な僕にとってはとってもありがたい技だ。
「お、終わった・・・うっ!」
急に左肩が痛みだした。さらに左足も動かない。これじゃ本部に戻れない。
「どう・・・す、れば・・」
だめだ。意識が離れていく―――


「知ってどうする?」
「すぐに威嚇(いかく)するなよ。ほんっと狼みたいだよ。お前」
何が言いたいんだ!などと言い返さなかった。いつもならすぐに言い返すってのに。どうしたんだ?オレ?
「責任者としてお前らのことをもっと知る必要がある」
そこにディンナが走ってきた。
「ミオ!」
「なんだよ?」
「ジンくんがルーズで倒れてる所を発見したわ。」
ジンが・・・倒れてる?一体何が・・・


22 :レンド :2008/06/06(金) 16:01:27 ID:PmQHsJm3

BEAST5 ミナト

「ディンナ、ジンは死んでないよな・・・?」
 さっきまでの威勢はどうしたのかミオの声は弱々しいものだった。
「大丈夫よ。責任者のあなたがそんなのでどうするの?」
 とりあえずジンが死んでないことは分かった。ということはさっきの質問に答えなければならない。ジンにでさえ話していないケモノについて。さらにケモノの事を話すってことは3年前のコトも・・・
「なぁユウガ、頼むから話してくれ」
 仕方ない。変な噂をミオが聞く前に真実を話すしかない。
「分かった。話す。オレの軌跡を」



――――3年前、オレはまだジンには出会っていない。その時も孤児院にいたんだ。ギストシティではない街の。

「いつもキミは一人だね」
 孤児院内にある資料室で本を読んでいると後ろから声が聞こえた。ふり返るとユリの花を持った少女がいた。
「何だよ」
「いつも一人でいるなって思っただけ」
 そう自分で言ったくせに毎日のようにそいつはやって来た。ユリの花を持って。

「いい加減名前教えてよ」オレは名前を教えずにいた。相手も名前をまだ言ってなかったからだ。
「ユウガだ」あまりにもうるさかったから教えた。
「じゃ、ガーちゃんだね」
「なっ!何言って・・・」
「私はミナト。改めてよろしく」オレの言葉を遮るようにしてミナトは言った。
「ねっ、動物園行かない?」
 何を唐突に・・・
「キリンとかゾウにキツネ・・・あとカンガルーにオオカミそれから――」
 オオカミ・・・
 心臓の動きが速くなった気がする。
「ガーちゃん聞いてる?」
「あ、あぁ」今のは気のせいか?
「じゃ、行こうよ」
 ミナトに右手首をつかまれ半分引きずられながらオレ達は外出許可をもらいに行った。
 
 そして、オレはこの時動物園に行かなければと後悔するのだった。


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甘辛流小説家ギルドGAIA
produced by COLUN.