壊せばいいとまた呟くセレン。アーヴィンは強い瞳でセレンをにらみつける。
ああ美しい強い焔の瞳だね。とセレンは小さく囁く。
「アイテール……。第五元素アイテールで構成されたこの世界をお前はどうやって壊すと言うんだ!」
「四大元素を司る長も堕落している。全ては壊れた考えの下に構成されている。新しい世界を創ればいいんだ」
君だけは僕の味方だよね。と大きな樹の根元でうっすらとセレンは笑いながら言った。
その笑みの芳烈。静かに彼はただ微笑む。その白い両手を広げて。
蒼い空はとても蒼く。果てのない蒼き空が、緑の大樹の上に広がっていた。
アーヴィンはやめろ。と大きな声で叫ぶ。
悲しい絶叫はしかしセレンの心には届かなかった。
必死で少年は叫ぶ。育ってきたこの美しき世界を守るために。