REINCARNATION


1 :シロエ :2006/11/18(土) 20:35:38 ID:ommLPcrm

ほとんどの方、はじめまして。
見たら色々新しくなっていて、懐かしくって、数年振りにここで書かせていただきます。
…衝動的に。

数話で終わるかもしれませんし、ずるずる続くかもしれません。



[Reincarnation]

リーインカーネーション。


re(再び)+in(中に)+carnation(肉体)

輪廻転生の意。


あるいは、何処か遠い世界を巡る物語。
あるいは、苦き箱庭の思い出を昇華する物語。


2 :シロエ :2006/11/18(土) 20:39:01 ID:ommLPcrm

[始闇]



……許さないから。
……僕が、守るから。

ライトグリーンの間抜けな色合いの床、幾千の足跡を残されて薄汚れた廊下。
そこに、みじめったらしく座り込む黒い髪を見つめていた。
夕方になりかけた暖色の日差しが、窓から差し込んでいる。
その箱庭に溢れる諸所の雑音よりも、彼女が上げる、鼻を啜る音だけが僕の耳に響いていた。

溜め込まれた数十ものフラストレーションの行く先が彼女に向いた。
それは、徒の偶然と冷たい必然の狭間の産物。安っぽい言葉で言えば“たまたま”。
戦う翼をもぎ取られ、言葉を振り上げることすら一笑に付されると言うのならば。

……僕が君を守るよ。

箱庭を壊すことすら許されず、脱することすら許されず。
だから、僕が持ったのは安っぽい刃で。箱庭のルール範囲内でいちばん最悪な手段を選んだ。


それこそが、僕の業(カルマ)。


3 :シロエ :2006/11/18(土) 20:54:36 ID:ommLPcrm

【GROOVY DRIVE ! ――A side】



赤茶の岩肌目立つ荒野を、深緑色のジープが土埃を巻き上げて疾走していた。
その数十メートル後ろから、白銀のバイクが同じく風を巻き上げている。
一組の追っ手と追われ手の風景だった。真っ青な空が「今日も平和だね☆」と語り掛けてきそうなほど、牧歌的。
……第三者から見れば、な。


「――Where're you from ? Are you a stray child ?」


爆風に紛れて、運転席から鼻歌が聞こえてくる。
あっかるいそのメロディを振り切るように、あたしは左手を追ってに向けた。
そうだ、あたし達は追われている方。…なんだけれど。
隣でジープを最高速度で飛ばしている男はゴキゲンに鼻歌中。信じらんない。


「So, let's tie our hands ♪」

「……黒鋼を戒めを解かん。汝を食らえ古の獣――ッ ≪黒鋼飛矢≫!!」


振り上げた左手から溢れる“闇”を、自分の力で捻じ伏せる。
あたしの髪と眼と、同じ色をした醜悪なソイツらは、固まっていた形状を急に転じ、弾ける。
数十の黒い断片になったそれらを、後ろの白銀の煌きに向けてスピードを以って飛ばした。


「If you get lost for no reason ......」

「……ぁッ!」

「Don't forget our long and widing road ★」


しかしその、半数以上を銀の糸のようなものに相殺される。
闇の矢を相殺しきれなかった余りか、一筋の光が迫ってきて、キィン、と金属音。右側のミラーが吹っ飛ばされた。
仕様がない、ある意味。相手は遠距離攻撃のプロなんだから。
あたしは、運転席の男の名前、声を張り上げて叫んだ。


「カルマ! カルマ!!」

「……なーにサ?」

「どーしてそんなに暢気なのだッ!? 後ろ! やっぱりあれ、クロスの奴だぞッ」

「今の≪技(アーツ)≫はそぉだね。……あー、ミラーどこで修理しよ?」

「違うだろッ、たわけッ!」

「とッ、そんなに暴れると落ちるよ、アスラ?」


色々納得いかない受け答えばかりだが、それだけは真実。
そろそろメーターは200を差そうかと言う頃、足元のシートをあたしはがっつり太ももで挟む。


「貴様はッ! ≪闇の影巫女≫としての自覚はあるのかッ、自覚はッ!?」

「いやー、ンなこと言われたって。僕、男だしねぇ? そんなに女装させたい?」

「似合わんッ! むしろ気持ち悪いわッ!!」

「そんなに否定しなくてもー…」


体ごと後ろに向いたあたしは、再び左手に“闇”を顕現させた。
小さく見える白銀のバイクとヘルメット。風にはためくは、奴らの制服たる白のロングコート。
殺気を感じて、ぎっ、と首を傾ける。けど中途半端に間に合わなくて、あたしの右頬を奴の銀矢が掠った。
あー、せっかく刺青が入ってない方なのに!
――流石は≪瞬矢の処刑者≫と言うべきか。
すると、のへー、とした奴の声が、エンジン音と風と熱く滾った戦意を掻い潜って、あたしの耳に届く。


「まー、僕のことはアスラが守ってくれるしねぇ」


ぐっ、と痛いほど左の拳を握り締めた。
暴れ狂う“闇”があたしの意思に呼応するように、確かな黒き鋼となり、やがて刃となる。
ヒュッ、と呼吸。
引き絞る左腕。
瞳に戦意を。
左手に刃を。

さあ、戦の時ぞ。

――あたしは、必要とされている。


「蠢け闇、慟哭せよ狂気、汝を食らえ古の獣――ッ ≪黒鋼死刃≫!!」


熱い。
左頬の刺青に感じる熱さは、顕現された“闇”の強大さの証。
私の身の丈ほども肥大化した“闇”は、刃となって白銀の追っ手へと旋回し、迫る。


「――――ッ」


追っ手の…、クロスの悲鳴が聞こえたようだった。錯覚かもしれない。
巨大な刃――柄のない鎌のようなソレの直撃を避けたところは、流石は≪城≫で随一の使い手であると思う。
けれど、避けるためにバランスを崩したバイクは、あっけなく吹っ飛ぶようにして横転したのだ。
スピード出てたしねー。
思わず、心配そうな声が出てしまう。


「死んだ、かな?」

「大丈夫だよ。クロスでしょ?」


こんな時まで暢気な声が運転席から飛んできた。
ぱちり、と人差し指と中指を青天目掛けて鳴らした奴は、にやり、とその垂れぎみな目を細めて見せた。
かくり、と私は首を傾げる。


「なんか――、“消した”のか?」

「さあ?」


人を食ったような、それでいて実に幸福そうな笑顔を見せると、奴は煙草を一本口に銜えて火を点ける。
もはや奴のトレードマークともなっているそれ。
あれ? 今日は、今まで吸っていなかったな、そう言えば?
……まあ、いっか。

バンッ、て。


『―― Let's get our "groovy drive" ♪』


叩きつけるように勢いよく、カルマがコンポのスイッチをON。
それと同時に流れてきた爆音とゴキゲンな音楽に、あたしは思わず有頂天になったんだ。


『さあ、二人でどこまでも行こう!』


4 :シロエ :2006/11/18(土) 20:58:20 ID:ommLPcrm

CHAEACTER FILE 1


【アスラ】

  NAME / Asura
  CODE / ≪黒鋼の守護人≫
  SEX / ♀
  HAIR / 黒・長い・ストレート
  EYE / 紫・二重・大きい
  REMARK / 左頬に刺青
  ARTS / ≪黒鋼死刃≫ ≪黒鋼飛矢≫


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