風の唄


1 :オスカー :2009/03/25(水) 15:54:11 ID:kmnkt4WG

街には、誰もいなかった。

通りはからっぽで、足音一つせず。
店の中にも、誰もいなかった。

普段ならあちらこちらをうろついて回っている野良猫も、人が通りかかるたびに吠えかかる犬も。
なにもいなかった。

あったのは、抜けがらの町。
生の気配を失った、死の町だけだった。


そんな街に僕は、
ただ一人取り残されてしまった。


2 :オスカー :2009/03/25(水) 16:02:37 ID:kmnkt4WG

序章

はじめ僕は、自分が悪い夢でも見ているか、自分の頭がおかしくなったのだと思った。
だって、誰だって普通そう思うだろう?
まるきりひと気のない街に自分一人だけがいる、だなんて、考える方がおかしいというものだもの。

でも。
それは夢でも、僕の頭がおかしくなったのでもなかった。

確かな、事実だった。


実際、通りのは人っ子一人いやしなかったし、物音一つしなかった。
あるのは、抜けがらの家々の間を吹き抜ける冷たい風の音と、自分の足音だけ。

僕はこの現実が夢ではないことが次第に確かになっていくうちに、だんだんと恐ろしくなってきた。


3 :オスカー :2009/03/25(水) 16:25:35 ID:kmnkt4WG

第一章 小さな出会い

まず、僕の名前を教えておかなくちゃならない。
僕はジェイ・ローバス。
明るい茶髪をした十四歳だ。年の割には背が高いし、運動神経もそこそこ。飛びぬけてサッカーがうまかったりするわけじゃないけど、他の人に大幅に劣るなんてことはない。

さて。話題を戻そう。
まずあの日――そう、人がいなくなって初めての朝だ――、僕はいつもの如く朝起きて、普段どおり学校へでかける準備をしていた。

何をぼんやりしてたのかは分からないけどあの時僕は、なにかへんだな、程度にしか異変を感じていなかったんだ。


4 :オスカー :2009/05/09(土) 13:41:48 ID:kmnktAs3

はじまり

僕は風がなるのを感じた。

僕は家を出た。鞄と、一握りの勇気を持って。

――本当に、この町には僕しかいないのだろうか?他の町は、どうなのだろう?
僕は首をかしげた。……それを知りに、今から行くのだ。

いつかそれがわかる日を、頭に思い描いて――…


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甘辛流小説家ギルドGAIA
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