ヘオスフォロス -DESTINY-


1 :寝狐 :2006/06/02(金) 00:26:23 ID:n3oJYnQL

 新小説広場の試験に貢献しようと思い、こちらで新連載を書こうと思います。
 現在の小説広場の方も随時更新を頑張りますのでそちらのほうも読んでいただけると幸いです。
 で、今回はSF系です。ジャンル名は長すぎてエラーがでてしまったのですが、一応『荒唐無稽スーパーロボット列伝』です。(全部入らなかった…orz)
 断っておきますが、某ゲームとは関係ありません。
 ネット社会が浸透した世界に起きる悪と戦う者達の物語です。
 ジャンルの通り、ロボット物。
 ただし、今回の連載は外伝的なもので本編は私のHPが完成したらそっちにのせようかと予定。……ただし、現在もHP製作中なので今年中にできるかは不明……。


6 :寝狐 :2006/12/03(日) 23:35:15 ID:ocsFWLzH

デカ・インパクト

 EFにおける操作法は基本的にはツインスティック操作だが、カスタマイズ次第では、身体トレースシステムと思考トレースシステム、そして音声認識システム等がある。
 デカEFにおいては、ハンドル・アクセルペダル・チェンジレバーを使用したドライバーアクションシステムと音声認識システムが採用されていた。
「いっくぜぇー!」
 叫ぶ火逗埜は一気にアクセルを踏み込んだ。
 疾走してくるアインスポリスを見てか、犯罪者達のEF用移動車両がスピードを落として、停止する。同時に荷台に乗っていたEFが飛び降り、レゴは手にしている銃器を構え、ファングは両手にレーザーナイフなどを持ち、足裏のローラーを利用した高機動モードで突進にかかる。
 正面から襲い掛かる敵EFに火逗埜は照準可能枠(ターゲッティングセンター)を絞る。
「くらえっ! バァァァルカンッ!!」
 フロント部の左右に設置されたバルカン砲が火を噴き、撃ちだされた無数の弾幕が一機のファングを捉える。
 表面装甲を幾つか撃ち抜き所々から爆発が起き、肩などから紫電が走る。そのままバランスを崩して倒れるファング。
 残る二機はアインスポリスを横切り、後方のツヴァイスローワーへと向かう。
 ツヴァイスローワーの横に獲りついた二機のファングがレーザーナイフで切り刻む。ツヴァイスローワーの装甲が火花を散る。
 だが、所詮はそこまでだった。装甲は斬れるどころか、表面装甲にレーザーの焦げ目を残すばかりで、一向にダメージらしいものができない。
「無駄だよ。デカEFの中でも僕のツヴァイスローワーは一番装甲が硬いんだ。その程度のレーザーナイフじゃあ、表面装甲を貫くだけでもあと一年はかかるよ」
 ふん、と自慢するように鼻を鳴らす轟乾。
「轟乾、遊んでいる場合じゃないわよー。……スライダーミサイル!」
 後ろを走っていたフレイアのドライレスキューの下部から発射された二発のミサイルが地面を滑るように飛び、ツヴァイスローワーに取り付いていたEFの足に直撃。支えを失ったEFはもつれるように地面を転がる。
「ああ! フレイアー、僕の獲物が〜」
「遊んでいるゴウが悪いのよ♪」
「あとはレゴが二機。ちょろいもんだぜ!」
 火逗埜はアクセルを踏み、銃を構えるレゴに迫る。
 当然抵抗するため銃弾を放つレゴ二機。しかし飛来する弾丸は一発もアインスポリスを捉えることはできない。
「スライダーミサイル!」
 アインスポリスの下部から、ドライレスキューと同様に二発のミサイルが発射された。一発は一機の足に、さらに一発は隣のもう一機の銃を持つ腕を破壊した。まだ両足が健在していた方のレゴは戦闘続行を試みようとしたが、正面から体あたりされたアインスポリスによってEF用移動車両の後方にまで吹き飛ばされた。
 火逗埜はEF用移動車両の正面にアインスポリスを止め、外部スピーカーをONにする。
「車両に乗っている者達は直ちに降りて大人しく投降しろ。言い分は取調室で聞かせてもらう」
 火逗埜の言葉に従い、二台の車両から運転手が二人降りてくる。
「……ん?」
 ふと先頭車両の助手席から降りてきた最後の一人に火逗埜は目を向ける。
 黒人でアフロヘアー。サングラスをかけており、筋肉質の肉体が巨漢さを醸し出しているその男を、火逗埜はただ者でないと直感した。そして同時にアインスポリスから送られてくる映像を見ていたジェフティも同じ感想を抱く。
「エイル。あの男を調べてくれないか?」
「了解」
 すぐさまエイルはコンソールパネルを操作し、映像の男とSMD基地に保存されている犯罪者データベースにあるリストと照合する。検索時間は数秒とかからなかった。
「照合確認。名前はゲッセー・ボルコーネ。Aランクの凶悪犯罪者ですね。……犯罪件数は48件。内容ですが、一般市民への殺人、電脳世界側では中小企業のデータベースへのハッキング行為及びその機密情報の流出と転売行為、登録前のEF強奪、EFによる電子建造物の破壊。現実世界では金品強盗、女性への拉致監禁及び性的暴行です」
「……おかしいな」
「何がですか?」
 何やら腑に落ちないジェフティの呟きにエイルは首を傾げる。
「奴は自分のEFを持ち出していない。それに確かゲッセー・ボルコーネといえば、最近の犯罪によく名前が出ている凶悪犯罪組織『TG』に接触したという情報もある」
「TG……。主にカスタマイズしたEFを利用した犯罪を起こす組織ですね。電脳警察は当然ですが、電脳軍も手を焼かせている連中だそうで」
「うむ。だからこそ、奴がEFを用意していないことに、俺は疑問を抱いている。……嫌な予感がする」
「ボスの予感はよく当たりますしね」
 そういう二人は送られてくる映像を見つめた。


      ◇


「えすぅーえむぅーでぃいーの諸君っ!」
 黒人男性――ゲッセーは大きく両手を広げて声質は低いながらも盛大な声をあげた。その声はデカEFに内蔵された集音マイクによって騒がしくコクピット内に響いた。
「ぐお! いきなり大声だすんじゃねー!」
 耳を両手で押さえながら火逗埜も大声で返す。
 だがゲッセーはそれを無視して喋るのを続ける。
「貴様達が現れることなど、最初からお見通しなのだよっ!」
「もしかして、あたし達を呼ぶために銀行強盗なんかを? どーりで人質を簡単に返すわけね」
 納得したようにフレイアは頷く。
「つまり、僕たちはアイツの誘いにうまく乗っちゃったってことなの?」
「そういうことなんだろうな。……気にくわねーけど」
 ふっ、とゲッセーが不敵に笑う。
「ま、そういうこった。……つーわけでだ」
 そういいながらゲッセーは懐から何かを取り出す。
「ん? ボール?」
「ボールだね」
「ボールだわ」
 ゲッセーの手元にあるのは何処にでもあるような銀色のボールであった。
「何をするつもりかはわかんねーけど。EFに乗っていないお前に、俺達のデカEFから逃げられると思うなよ」
 火逗埜の言葉にゲッセーは笑いがこみ上げるのを抑えきれず大きく笑いあげる。
「あはははっ!! 俺様がEFを持ち出していないと思っていたのか? こりゃ傑作だぜ。貴様等SMDはロクな情報持ってねーんだな!」
 ゲッセーのその言葉、そして銀色のボール。その二つを考え、ジェフティは思考を巡らす。やがて辿り着いた結論がジェフティを叫ばせた。
「そうか!? 皆、大至急ゲッセー・ボルコーネを拘束しろ! そのボールを使わせてはならん!」
 だが、ジェフティの言葉も空しく、火逗埜達が動き出す前にゲッセーはボールを空高く真上に放り投げた。
「あはははっ!! もう遅い! 出でよ破壊の機械兵器! 正義を語る糞共に、貴様の力を見せつけろ! ――デッド・タイラント!!」
 その叫びに応えるように、空中にあるボールが眩い光を輝かせながら分解される。分解されたパーツは粒子化し、プログラムへと変化した。バラバラに組まれていたプログラムはソートで分けられ、予め組まれていた本来のデータへと姿を変える。
 プログラムは徐々に巨大な人型へと形を成していく。その光景に火逗埜達は驚きを隠せない。
「おいおい。まさか、アレって……」
「……ちょっとマズイかも」
「ちょっとどころじゃないかもよ……」
 やがて、物質化(マテリアライズ)したソレはゲッセーの背後に降り立ち、大地を揺るがせた。
 全長は20メートルはあるだろう。黒く無骨な装甲のところどころには凶悪なトゲが取り付けられており、まるで暴走族を連想させる。ゲッセーは黒い光の膜に包まれ、デッド・タイラントの胸部へと吸い込まれていった。
「ギ、ギガントタイプのEFかよ……!」
 巨大なEFを見上げながら火逗埜は呟いていた。
 ギガントタイプとは、大型重機とされる巨大機動兵器のことである。一般には販売されていないタイプで、大抵はスマートタイプのEFをカスタマイズしたことにより大型化することが多く。基本的には十五メートル以上のEFはギガントタイプとされる。ギガントタイプのほとんどは非合法改造されたものであり、電脳警察や電脳軍による取り締まりもしているが、その脅威のパワーと武装によりまともにやり合える相手ではない。
 ゲッセーが出した銀のボールはそのギガントタイプの召還ツールであったのだ。大型重機は持ち運びが不自由で、スマートタイプのEFよりも目立つ。であるからにして、EF研究施設で開発された、ギガントタイプを圧縮データ化してボールに詰める『リコールボール』という画期的な発明があったのだが、一時期凶悪なハッカーによって開発データをコピーされ、それが非合法闇市に流れたのをきっかけに犯罪組織がリコールボールを悪用する事件が多発していた。
 今回使用されたのもリコールボールであったが、SMDが携わる事件では今回が初めてであった。だからこそ、最初ゲッセーがリコールボールを出したときには気付くことができなかったのだ。
「ふはははっ。SMDの諸君、俺様のデッド・タイラントの力で死ぬがいい!」
 コクピットからの映像で見下ろすゲッセーは、コンソールを操作してデッド・タイラントを起動させる。頭部のメインカメラであるモノアイが赤く灯った。
「やばい、動くぞ!」
 近くにいた火逗埜が慌ててギアをバックに切り替えてアインスポリスを後退させる。続いて轟乾とフレイアも後退した。
「逃がさねーぜ、SMD!」
 デッド・タイラントの両肩に装備されたバルカン砲が火を吹く。ばら撒かれた弾が地面に穴を開けていき、一番近くのアインスポリスのフロントと天井部に数発被弾した。
 衝撃がアインスポリスのコクピットにまで響く。火逗埜は少し呻きながらも反撃は忘れなかった。
「にゃろ! スライダーミサイル!」
 後退するアインスポリスの下部よりミサイルが二基発射された。ミサイルはデッド・タイラントの両足に直撃する。だが所詮はそこまで。ギガントタイプの装甲には到底ダメージはなかった。
「あはははっ! 無駄だ無駄だ。その程度の攻撃で俺様のデッド・タイラントはビクともしねーぜ!」
 後退するデカEFを追いかけるようにデッド・タイラントも一歩ずつ前へと踏み出す。
「くそっ、こうなったらアレをするしかねぇーみたいだな!」
「アレかー。……だね。どうみても」
「そうみたいね。このままやられっぱなしってのも癪だし」
 火逗埜の提案に二人は素直に頷く。
「よっしゃー。エイル!」
 叫ぶ火逗埜の言葉と同時に、エイルが扱っているモニターから忙しく点滅する文字と、サイレンのようなコール音が鳴った。それをエイルは慌てることなく冷静に確認。
「デカEF各機より、エマージェンシープログラムの要請シグナルを確認。……ボス?」
「うむ!」
 ジェフティはすぐ近くにある司令席に向かい、懐から出した一枚のカードを卓上に設置されているモニターの横にあるカードスリットに通す。すると、モニターに『SMDEF GVモードへの移行を承認』と表示された。
 そしてジェフティはモニターに映る三人へ向けて高々に叫んだ。
「エマージェンシープログラム発令! デカEF、合体(・・)せよっ!!」


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