ただ・・・逢いたい


1 :梓#静香 :2006/12/03(日) 19:58:12 ID:P3x7miQ3

もしも・・・


もしもの話・・・


死んだ人間を三時間だけ生き返らせることが出来るとしたら・・・



あなたは・・・・




どうしますか?


2 :梓◆nDWcAQ7J :2006/12/03(日) 20:35:02 ID:P3x7miQ3

彼女

お前のいない朝・・・

なんて静かなんだろう。。。

俺は広すぎるシーツを震える指で掴む

お前がいなくなって・・・もう1ヶ月たったのか・・・



《コツン》


指先に冷たい感触があった。

俺の手の中には小さな小瓶があった。

不思議に思って小瓶を眺める。

小瓶の中には薄いピンクの液体がたっぷりと入っていた。

もちろん見覚えはない。

「何だよ・・・これ」

小瓶のそこに何か文章が書いてある。


『これは3時間だけあなたの大切な人を生き返らせる薬。
 生き返らせたい人の写真に1滴だけこの薬をかければそのひとが
 あなたの前に現れる・・・』

俺は何度も何度も文章を読み直した。

だがどうせ誰かの悪戯だろうという考えに到達する。

「ふざけんじゃねぇ!バカにすんなよ!」

俺は小瓶を強く握りしめ床に叩きつけようとした。

だが俺の腕がそれを拒む・・・

もしも・・・お前が俺の前にもう1度きてくれるなら・・・

もしも・・・お前が今・・・ここにいたならば・・・

俺は小瓶を見つめる。

悪戯ならそれでもいい。

騙されたと思って・・・お前にあえるのなら・・



俺は写真のなかで無邪気に笑うエリに液体を1滴・・・かけた。

何もおこらない・・・

俺は小瓶にコルクをはめなおしベッドにしずんだ。

そうだよな・・・

エリはもういねぇんだ・・・

「ははは・・・」

力ない笑いを漏らす。

そのとき玄関を誰かがノックした。

「はい」

俺は玄関のドアをあけた。



「・・・・・っ」



その場に硬直した。

まさか・・・・

ありえない。ありえねぇよ

「コウくん・・・」

でも・・・間違いなく目の前に存在するのはエリ。

「コウくん・・・・」

「エリ・・・?」

「うん」

エリが涙目で応答する。

恐る恐るエリの右手を掴む。

温かい・・・

「コウくん・・・私を選んでくれてありがとう」

「・・・・・?」

「小瓶のこと・・・」

「・・・・・・ぁぁ」

未だ現実を理解しきれていない俺にエリが昔のままの笑顔を見せる。

「・・・入っていいかな?」

「お。おう」

エリを部屋に迎え入れる。



「変わってないね」

エリは楽しそうに乱雑に散らかった部屋を歩いていた。

俺はただただ呆然とするだけだった。

「ぁぁ!ギターじゃん!私のあげたやつ!まだ弾いてる?」

「・・・あ。あぁ、たまにな」

本当は弾いてない。その錆びきった弦に触れるたびにエリ思い出して泣いていたから

「嘘つき。弾いてないくせに。コウくんのことはみんな知ってるんだから。ギター触るたびに泣いて。それから視界にいれようともしてない!」

エリは厳しい口調だったが笑顔で言った。

「なんで知って・・・・」

「だてに幽霊やってませんから」

エリは笑顔で告げる。

「幽霊・・・・?」

「人は死んだら幽霊になるのよ」

それはどこか冗談じみていて・・・

でも寂しげな言葉だった。

「コウくん」

「?」

「新しい彼女作っていいんだよ」

「は?」

「結婚していいんだよ。このギター捨ててもいいんだよ。引っ越したっていいし、私の写真を燃やしてもいいんだよ」

「何言ってんだよ!」

俺の怒声にエリがひるんだ。

「あ・・・ごめん」

俺がぼそぼそと謝る。

「別にいいよ。でも・・・ちゃんと聞いて欲しいことがある」

「・・・・・・聞きたくねぇ」

「ダメ!」



それは1ヶ月前と変わらない・・・まるで母親みたいに俺を叱るお前の声だった。


「私のこと忘れて欲しい。コウくんが私を引きずってこの部屋から出れないなら、コウくんが前に進めないなら・・・忘れて欲しい」

「無理だし。そんなこと・・・・」

「無理じゃない。私はもう死んだの・・・。死んじゃったんだよ。でもコウくんは生きてるから・・・前に進んで欲しいの」

「俺だけこれから何十年も生き続けるなんて・・・できねぇんだよ」

いつのまにか俺は泣いていた。

「私だって・・・私だって・・死にたくなんかなかった!できることならコウくんと2人でずっと生きていきたかった。でも・・・もう無理なんだよ。だから・・・だから・・・」

「なんで無理なんだよ。今、こうしてお前は俺の前にいるじゃねぇかよ・・・」

《3時間》・・・

小瓶に書いてあった文字が胸をよぎる。



「あと5分だよ。コウくん」

震える声でエリが告げた。

「・・・・・・・・・・・行くな!いかないでくれ」

「無理・・・なんだよ。私はもうこの世にはいちゃイケナイ人なんだよ」

「・・・なら俺も連れてってくれよ」

「ダメ・・・。コウくんは私の分まで生きるの。結婚して子供育てて。生きるの・・・」

「そんな・・・・」

「コウくん。私。ホントに・・できることなら、ずっとコウくんの隣にいたいよ。でもね・・・それは無理なことって分かってるから・・・今幸せだよ」

「え?」

「3時間でも・・・コウくんに会えて・・言いたいことが言えたし、コウくんが何十年後かに・・・私のところに来るときまでコウくんを守ってあげられる」

「エリ・・・・・」

エリの肌が透け始めていた。

「お願いだから行くな!エリ!」

「コウくん・・・。愛してるよ」

「エリぃぃい!!!」


ほのかな光となってお前は消えた。

そこにはあの小瓶が落ちていた。


3 :梓◆nDWcAQ7J :2006/12/03(日) 20:44:03 ID:P3x7miQ3

彼女〜after〜


「パパッ!!」

俺は笑顔でふりむいた。

おぼつかない足取りで歩くわが子を見て自然と顔がほころぶ。

「お船!!お船!!」

船をみてキャッキャッと喜んでいる。

俺はそっとジャンバーのポケットに手を入れた。

手の中にはあの小瓶・・・

またいつかエリに会おうと思ってあれから5年、ずっととっていた。

でも、もう会わなくてもいいだろう。

おれがいつかよぼよぼの爺さんになったら会えるだろうし。

それに今、また小瓶を使ったら「この根性なしが!!」なんてエリに怒られそうだから(笑


俺は小瓶を握り、遥か水平線へ投げた。




『ありがとう、エリ』


4 :梓◆nDWcAQ7J :2006/12/04(月) 20:28:51 ID:P3x7miQ3

復讐

アイツはポックリいっちまいやがった。

彼氏と一緒にバイクの交通事故で。

このまま終わっていいものか・・・

アイツはほぼ即死。

アタシは3年もいじめられたのに・・・

あいつはほとんど苦しまずに・・・

アイツに1度復讐しなきゃアタシは死にきれない。

血が滲みついたカッターナイフをポケットにしまいこんでため息をついた。

でも無理だってこと分かってる・・・

アイツはもう死んだんだ・・・



2週間ぶりに家を出た。

なんとなく、なんとなくだけど外にでたいっていう衝動に駆られて。

いつも高校生の溜まり場ができてる川原にいつのまにか向かっていた。

「・・・・・・・」

昔、アイツにここに呼び出されて真冬の川の中に落とされたっけ・・・

この町の中はどこもかしこもアイツとの穢い記憶でいっぱい。

珍しく今日は高校生がいなかった。

すこし湿った川原に座ると川岸に輝くものがみえた。

それはピンクの液体が入った小瓶だった。

それはとても綺麗で太陽に透かすとピンクの波のようだった。

「・・・・・死んだ人間を生き返らせる?」

瓶の底に書いてあった文章を読んで鼓動が早まった。

誰かの悪戯か・・・?

でも・・・この色・・・

色で判断は出来ないけど・・・

でも・・・不思議な感覚にアタシはとらわれていた。

もしかしたら今日、突然外に出たくなってふらふらとここにきたのはこの小瓶を拾うためだったのかもしれない。

なんて・・アタシらしくない非現実的な感覚にさえ溺れていた。

急ぎ足で家に帰り中学の卒業アルバムを開く。

「・・・・・っ」

忌々しいアイツの顔に液体を1滴かける。



玄関の呼び鈴がなる。

お母さんは今日、パートだっけ。

玄関のドアを開けるとそこには・・・アイツがいた。

「・・・・・・・・要」

アイツの唇が小さく動いた。

「・・・・・・・・」

あの頃と変わってない。

アタシはちっとも・・・・

コイツの顔を見るだけで足が震える。

「要・・・・」




アタシの脳裏にはあの頃のコイツが浮かんでくる。

「要〜、こっちだよ!こっち!ほら早く遊ぼ!」
「きいて!彼氏できたの♪」
「うちのお母さんとお父さん離婚するんだ・・・」
「やった!高校も一緒だね!」
「うちらずっと親友だよね☆」

あの頃アタシたちは親友はずなのに。

高校にはいってから全部が変わっちゃった・・・

全部が・・・



「要、どうして私ここに」

「・・・・・中、入って」

なんでだろう口が勝手に動いた。

「うん・・・」





リビングの時間が止まった。

重い沈黙。

コイツが私の目の前に現れたら私がされたことと同じことを全部してやろうと思ったのに。

なんでだろう・・・

こいつの顔を見た瞬間・・・昔の事なんか思い出すから・・・

何もできない。

私は変わってない。



「要、謝りたいことがある」

「・・・・」

沈黙を破ったのは・・・・相手。

「要、アタシ・・・」

「聞きたくない!死んだ奴に謝られるなんてそんな惨めな思い・・・もうアタシにはあの3年間だけで十分!!!」

大声で叫んでいた。

コイツが生きてるときにこうやって自分の気持ちを言いたかった。

「でも!ゴメン、私、弱いから止められなかった。自分を、周りを・・・。ほんとは要をいじめたくなんかなかった!」

「そんなこと口だけならいくらでも言える!」

「・・・・・・・・・・・・・」

「お前は・・・アタシの苦しみなんて分かってない!ポックリ死んじまいやがって。ひと言も謝りもせずアタシの前から消えちゃって・・・。お前にどんなにいじめられた時よりあの時が1番辛かった。なんだかんだでアタシは・・・お前のこと信じてたのに」

いつの間にか涙が溢れていた。

あいつの目にも何年ぶりかにみる涙。

高校時代のアイツはまるで仮面でもかぶってるかのように・・・無表情だった。

「要・・・・ごめんね」

「ゴメンで・・・ごめんで終わることじゃないんだよ。なんで死んじゃったの?なんでもういないの・・??なんで・・・なんで・・・?」

「私、あの晩、彼氏と別れようと思ってたの。最後のドライブにしようって決めてた。別れるときにきっとボコボコに殴られるだろうな・・・なんて覚悟して。それで仲間とも縁きって・・・全部終わらせようと思ってた。堕ちるとこまで堕ちたな・・なんて自分で考えながら」

「・・・・・・・嘘」

「これが・・・ホントの話。でもホント、堕ちるとこまで堕ちた。いつも彼氏と2人でいってたビル街についたら別れようと思ってた。けどそこに着くことは無かったんだよね。途中の橋で・・・真正面だった。タンカーが壁みたいに近づいてきた」

「もし・・・そこについてたら・・・全部1から始めるつもりだった?」

「うん。全部ね・・・全部・・・崩して全部造るつもりだった」

「なんで死んじゃうの。璃子のことはアタシが1番知ってたのに・・・小さいことから。なのになんでアタシと知らない奴と・・・一緒に死んじゃうの?高校入学するまえだって2人でずっと一緒にいようって話したじゃん。大学も会社も2人でいこうって。どっちかが結婚したら絶対、結婚式呼び合おうって。子供が出来たら2人の子供も大の仲良しにさせようって・・・・約束したじゃん」

「・・・・・・・・・・・要」

「裏切り者!アタシばっかいつもおいてけぼりじゃん・・・アタシばっか・・・辛い思いして・・・アタシばっか・・・いつもなんでそうなのよ!!」

「・・・・・・ごめんね。でもこれだけは心から言えるの。私だって要のこと・・思ってたし、それに辛かった。もうこの際、言わせてもらうけど・・被害者は要だけじゃないんだよ。私だって・・・・」

「何よ!それ!璃子がなんで被害者になるのよ!」

「みんなに慕われてるから幸せだとは限らないんだよ!要はあのグループの怖さを知らない。確かに私はひどいことしたけど・・・それでも・・・私がしたことはあのグループの中に要をいれることよりかは軽い罪のはずだよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「ごめん。でもわかって欲しい」

「なんでいつもアタシだけ守られて・・・大人ぶって・・・いつもアタシは子ども扱い?ひどいよ・・・。1人でいつも決めるのは璃子の悪い癖だよ」

「・・・・・ねぇ、要。知ってる?小5のときの私の好きな人はね要のことが好きだったんだよ。小6のときも、中1のときも、私が好きになる人はいつも要が好きなの。中2でできた初彼も『俺・・・要が好きになった』って言われて別れたんだよ。そんなとこで私、要に嫉妬してたんだ。私の一生の憧れは要だったんだよ」

「・・・・・・・・・・・・・」

「もう約束、果たせないけど、でもさ将来、夫と子供つれて私のお墓にきてよ。『コイツが私の高校生活台無しにした糞女だよ』なんていって・・・・。大勢で・・・笑顔で・・・」

「・・・・・・・なんでそんな綺麗事ばっかなのよ!いつも!ホントはアタシ、璃子に仕返ししようとおもって此処によんだんだよ!なのに・・・璃子が・・璃子が・・・笑うから・・・泣くから・・・もう何も言えないじゃんかぁ」

「ありがとう。もう・・・バイバイだよ。要・・・」

「ヤダ!3年間分、話したいことがたくさんあるの!たくさん・・・あるの!」

「・・・・・・ごめんね、私が壊した3年間分、要は私の100倍幸せに生きて」

「ヤダよ!璃子・・・・璃子!!!」

部屋がやわらかな光に包まれた。

それは秋の陽だまり・・・・

リビングの真ん中にはゆらゆら揺れるピンクの液体を含んだ小瓶がポツリと落ちていた。


5 :梓◆nDWcAQ7J :2006/12/04(月) 20:36:07 ID:P3x7miQ3

復讐〜after〜

あれからリスカはしてない。

真面目に就職活動を始めた。

大学にいこうかななんて考えもあったんだけど・・・

自分の脳じゃ無理だろうってことで今はスーパーのレジ係のバイトをしてる。






「璃那!!そっちは危ないって!」

「璃那もよく歩くようになったよな」

「そうよね」

コスモスが綺麗な花を咲かせている。

コスモス畑のすぐ近くにある墓地に今日は家族で来ていた。

「これよ!友坂ってかいてあるわ」

「これが要のお友達のお墓?」







「えぇ、私に生きる意味と本当の友達の意味を教えてくれた人よ」


私は笑顔で答えた。


6 : :2006/12/08(金) 20:48:32 ID:P3x7miQ3

50年間


「もう3ヶ月がたったのねぇ」

仏壇を前にため息をちいさく吐き出してみた

「あらあら、おじいさんに怒られちゃいますね。ため息はついてはいけないんですんよね」

1人苦笑してタンスを開いた。

ここ・・・もう随分と長い間あけてないわ

興味本位でもう何十年もあけていないタンスを開き始めた。

年寄りには時間がたっぷりあるんだもの

「あらら、懐かしい」

手鏡を見つけた。

おじいさんから5年目の結婚記念日に買ってもらったんだったわね

少し曇った鏡をのぞいてみる

自分の顔に深く刻まれたしわをなぞった

「あらあら」

この手鏡をもらったときは地元では少し有名な美人だったのに

今はもう・・・老人ねぇ・・・

またため息。

あらら・・・また怒られちゃうわ。

私は家をでて海に向かった。

「あらあら」

綺麗なこと。

私は海辺に落ちた小瓶を右手に包む

底に書かれた文字を読み取ろうと老眼鏡を取り出した

「あらら・・・・」



体が急に軽くなった気がした。

家へできるだけ・・・精一杯の速さで帰る。

「写真・・・写真」

タンスを開いた。

黄ばんだアルバムを開き小瓶の水をかけた。

年のせいで信じやすくなった。

おじいさんがいなくなってからいろんなものを頼ろうとし始めた

情けない自分に気付いているのに・・・




「ばあさん」

「あら」

戸口にはおじいさんがたっていた。

ポロポロと涙がこぼれてくる

年寄りは涙腺が脆いからこまるわ

「泣くな、泣くな」

バカにするようなおじいさんの瞳に笑顔がこぼれた

「さびしかったかい?」

その顔はまだ私たちが恋人同士だったころ・・・・

戦争から奇跡的に生きて帰ってきて列車から出てきた瞬間に見せた顔と同じだった。

あのときも私は泣いていたのに・・・

あなたは平気なんですね。いつもいつも・・・

「どうしていつもあなたは先にいってしまうんですか。劇場で始めてみた映画も、結婚式もいつもいつも先に行ってしまう。今回だって」

思いはつのりつのり・・・いつもあなたを思っていたんですよ。私は・・・いつも

「すまないな。残されるのが怖いんだよ」

真剣な顔で私の瞳を見つめていうあなた

胸が熱くなった。

年をとってもこんなに狂おしく人を思うんだろうか

それは若い頃あなたと感じた気持ちと同じだった

「なんででしょう。50年も2人で過ごしてきてあなたの顔なんかもう見たくないと思う日だってありましたよ。でも・・たった3ヶ月でこんなに逢いたいと思うなんて・・・」

「人というのは失って初めてありがたさを感じるもの。お前の大切さ気付いていたよ」

「・・・・・・・・・本当かしら」

「本当だとも」

私は吹き出した。

「何がおかしい」

「思い出し笑いですよ。いろいろなことがありましたね・・・」

「人生の山も谷も一緒に生きてきたんだからな」

「旅行・・・いけませんでしたね」

2人で海外旅行に行くことが夢だった。

「私は今、天国から此処へ旅行に来ているよ」

やわらかな微笑みに愛を感じた。

「ほら、あなただけ」

「お前はまだまだ先でいいんだよ」

「いえ、すぐ追いかけます」

「50年一緒にいたんだ。10年離れてもまた巡りあえるさ」

「寂しくは無いの?」

「お前は距離だけで私を忘れるのかい?」

「・・・いいえ。そんなことは絶対ありません」

「だろう・・・。お前が来るのはもっとずっと先でいい。ひ孫の顔をみてからこい。写真をもってこいよ。大勢になった家族の写真を・・・もってこい」

最後はいつも命令口調

私はあなたのシモベじゃないわ、なんてケンカをしましたね。

「分かりました。必ずもっていきましょう」

「私は幸せだよ」

「私もです」

泡がはじけるようにあなたは消えた

日帰りの旅行・・・でしたね。

短い旅行でしたね・・・

あなたに会えて嬉しかったですよ

私は・・・

とてもとても

手鏡を手に取り自分の顔を見た。

「あらあら」

小さく微笑む

確かに・・・まだおじいさんのところへ行くにははやいですね。

こんなにキレイなんだから

仏壇に向かってにこりと微笑んだ。


7 : :2006/12/08(金) 21:00:18 ID:P3x7miQ3

50年間〜after〜


「かあさん」

「おばあちゃん!」

「ひいおばあちゃん」

「ばっば!!」


娘、息子、4人。孫5人。ひ孫4人。ひ孫の子供1人にかこまれて103年の私の人生は幕を閉じようとしていました。

「お願いがあるんだよ」

震えた声で言った。

みんなに最最期に告げる言葉。

「棺に今年のお盆にとったみんなの写真をいれておくれ」

最期までおじいちゃんの優先で悪いねぇ・・・みんな。

最期のわがままだよ。きいておくれ。

「分かったよ。母さん」

あぁ・・・幸せだったね。私は・・・

おじいさん・・・今からいくよ。

おじいさんと逢ってから20年もたってしまって・・・

すこし遅かったかな

ごめんね、これからもずっといっしょにいましょうねぇ・・・





静かに静かに・・・


私はおじいさんのもとへち旅行にでた。

もう二度と帰ってこない旅行だね



あぁ・・・それでもいいわ

あなたの隣に入れるなら。


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