ゆびきりげんまん


1 :天歌 :2007/02/12(月) 12:12:56 ID:mmVcoLWk

    『ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのます』


 小指と小指を交わした時から、『それ』は始まっていた。

破ってはならない『約束』。それは時として恐ろしい約束に繋がる事となる。


「ねぇ、知ってる? 死んだ人との約束は、死ぬまで守らなくちゃいけないの」


約束。お互いが納得の上で交わす、決意。


「約束だよ」


守れない約束など、約束ではない。


「もし守れなかったら――…針千本飲むんだよ」


昔から、こんな云われがあった。

『指切げんまんは守れぬ者にとっては地獄の約束、つまりは死を意味する』と。


「ゆ―びきった」


小指と小指が離れた瞬間―…約束は、成立された。


2 :天歌 :2007/02/12(月) 12:51:46 ID:mmVcoLWk

chapter1 噂の少女


「あたし達、ずっと友達だよね?」

 夕暮れが、2人の影を道路いっぱいに伸ばしている。
涼しい風が吹き抜け、そろそろ冬の到来を予告しているかのようだった。
「もちろんだよ」
帰り道だろうか、少女達2人は制服に身を包み路地をゆっくりと歩いている。
「じゃあ、ゆびきりしよ」
「急にどうしたの? 彩音(あやね)変だよ?」
彩音と呼ばれた少女はピタリと足を止めた。
「…何でもないよ。ただ何となく、里衣(りい)とゆびきりしたいの」
「うん。いいよ」
そして2人は小指を交わす。
「ねぇ、里衣知ってる?」
「何を?」
小指を繋げたまま、ふいに彩音は呟いた。
「ゆびきりって本当は恐い約束なんだって」
「え? どうして?」
きょとんとした顔で里衣は首を傾げた。
「約束を守れないと、死を持って詫びるようだから」
その冷たい言葉に、里衣は一瞬背筋がゾッとした。
「あたし達、何があっても友達ね! あたしに何かあったら、親友の里衣が助けること!」
「うっ…うん」
何だか気の進まない約束に里衣は少々俯いた。
「里衣が泣くような事があれば、あたしが助けてあげるからね!」

『ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのます』

笑顔で小指を上下に振る彩音。
里衣も一緒に呪文を唱える。

『ゆびきった』

お互い同時に小指を離す。
約束は、成立された。
「これで里衣とあたしはずっと友達でずっと一緒ね!」
「うん!」
冷たい風が一瞬吹きぬける。
そうして今日も、2人は帰り道を辿っていった。


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