全てが淡い、夢のような出来事でした。
――…大好きよ。みんな、大好き。仲良くしてくれてありがとう。
まだ少し冬の寒さが残る2月。
頭の中に響いたのは、悲しさの残る儚い言葉。
「――…ん…」
はっと目覚めるとそこは白い天井が広がっていた。
「…あれ…?」
ベットから上半身を起こし、窓の外を眺める。
そこには小春日和の陽気と木々を揺らすそよ風。
心地よさを感じながらそっと窓をあけた。
「……もうすぐ、卒業か」
ポツリと呟き、あたしは目を瞑った。
「―……凛菜(りんな)!」
「え?」
再びはっとして、前を見る。
そこには親友の『真紀(まき)』の姿。
「どうしたのよぼうっとして」
「あっ…ううん、何でもないの」
そうか、ここは学校だった。
あたしはにこっと笑い席を立つ。
「卒業式の練習だよね、行こう真紀」
「うん! 今日終わったら久々に買い物行こうよ」
「了解」
いよいよ卒業式を控えた2月の末。
皆と離れるのが惜しいと本気で思う今日この頃。
「おい凛菜! おはよ!」
突然肩をポンッと叩かれて少しドキッとする。
「慎平(しんぺい)…おはよ!」
それはあどけない笑顔の慎平だった。
「よかったね、凛菜!」
にこにこする真紀の言葉に顔が赤くなる。
「もう、やめてよ真紀ったら!」
照れ笑いをし、体育館へ入る。