どうも、こんにちは!
たぶんほとんどの人が初めましてだとおもうのですが、実は前にも一回投稿させてもらってるので、今回で2回目の投稿となります。
前作もファンタジーで、後から思い返してみるとちょっと恋愛チックな感じだったのですが、今回はちょっとダークな感じでいきます(^^)
今回も短編になる予定です。
今年は受験生なのと、まだだいたいの構想しかできていないので完結するか保証はできませんが、完結に向け頑張っていきたいと思いますので、どうぞ、ご支援よろしくお願いします!
ちなみに、前作「失われた記憶」は完結置き場にありますので、よろしければそちらも読んでくださると光栄です(^^*)
「あ〜つまんないなぁ」
玲一はテレビゲームのコントローラを放って呟いた。
ここは玲一の部屋。高校2年生ということで、受験が迫っているわけでもなく、部活にも入っていない玲一は手持ちぶさたにゲームで暇つぶしをしていたのだ。
「ゲームって話が元から決まってるから面白くないんだよな。もっと楽しいことはないのかなぁ」
再び呟くと、玲一は立ち上がって玲一の部屋がある2階から、1階のリビングに降りていった。
「あ、お兄ちゃん」
玲一が降りていくと、気配に気づいたのか、ある人物が横目で玲一を捉え、声をかけてきた。玲一の妹、亜弥奈だ。彼女は1人、リビングのソファーでテレビを見ていた。
「どうしたの?」
亜弥奈は再び視線をテレビに戻しながら玲一に尋ねた。
「やることなくて暇だから降りてきたんだよ」
玲一が答えると亜弥奈は視線を動かさずに「ふーん」と呟いた。
「亜弥奈は何見てんの?」
「ドラマだよ。今日で最終回なんだ」
亜弥奈は依然として目の前の箱を見つめながら応答する。余程見逃したくないらしい。
これは話しかけない方がいいなと思った玲一はその場を離れようとしたが、亜弥奈に呼び止められた。
「ねえ、お兄ちゃん。暇ならジュース買ってきてよ」
「えー?自分で行けよ」
「だって、やることないんでしょ?私は今ドラマを見るのに忙しいの」
確かにやることがないのは事実である。玲一は悪態を付きながらもジュースを買いに出掛けた。
「あーあ、亜弥奈は人使いが荒いな」
玲一は家の近くのコンビニで買い物を済ませ、ぶつくさと文句を言いながら、家への帰路についていた。
その時、道に何かが置いてあるのに気づいた。
「あれ?なんか落ちてる」
それは「kill game」と書かれたゲームのソフトだった。ちゃんと箱に入っていて、拾ってみると開けた形跡もない。
「新品じゃん。何でこんなとこにあるんだろ」
玲一は落とし主が近くにいるかと思い、辺りを見回してみたが、辺りは薄暗く、回りには誰もいない。
再びその箱に目を戻すと、宣伝文句が目に入った。
『リアルを極限まで追求した新感覚ゲーム!』
『リアリティー溢れるバーチャルシステム導入!』
『普通のゲームに退屈しているあなた!このゲームは退屈させません!』
どうやら最近発売されたゲームらしい。
その箱には今の玲一にとって魅力的な言葉が踊っていた。
「へぇ、面白そう!」
玲一はもう一度辺りを見回した。
さっきと同じく、誰もいない。
「よし、持って帰っちゃえ!」
玲一はそのゲームをジュースが入っているコンビニの袋に入れると、少し早足で自宅に向かった。
「おかえり〜」
玲一が家に入るとリビングから亜弥奈が出てきた。
どうやらドラマを見終わったらしい。
「今、ちょうど終わったとこなの。あ、ジュースありがとう」
亜弥奈に買ってきたジュースを手渡すと、玲一は別れの言葉を述べ、すぐさま自分の部屋に向かった。
そしてテレビの前に座り、コンビニの袋からあの箱を取り出し、興味津々で『ゲーム説明』と書いてある箇所を見た。
『このゲームはプレイヤーが実際にゲームの中にいるような感覚で楽しめます。
ストーリーも自由自在。プレイヤーの行動によって様々な結末が待っています。
ルールは目覚めの塔という目的地に向かうだけ、その間は何をしても構いません。
さぁ、君の冒険を始めよう!
*このゲームはバーチャルシステムという新技術を導入しています。』
そこまで一読すると、玲一は早速ソフトを本体にさし、ゲームを始めた。
箱の一番下に書いてあった重大な事柄を見逃したことにも気付かずに。
『!!警告!!
本品は重大な犠牲を伴う可能性が有ります』
作者のMAKOです。
最初はジャンルをファンタジーとしていたのですが、後から考えてみるとホラー系に近いかなと思ったので、勝手にジャンルを替えさせていただきました。
そこまでホラーな表現をするつもりはないのですが、もし苦手だという方がおられましたら、ブラウザバックで戻ってください。
ホラー系でも大丈夫!という方で、私の拙い文章にお付き合いいただける方は、これからもお付き合いよろしくお願いしますm(_ _)m
質素な音楽が部屋の静寂を破った。テレビ画面には黒の背景に血を思わせるような赤い文字。
『<Kill Game>
サバイバルゲームを始めますか? Yes/No』
それは楽しそうな箱の外見とは裏腹に不気味な雰囲気を醸し出していた。
「うわ…なんか怖そう。このゲームってホラー系?」
玲一はホラーがあまり得意ではなかった。普通ならば進んでホラーゲームなどはしない。しかし、このゲームには何かしら惹かれるものがあった。
突如与えられた2つの選択肢。ここまできて後者を選ぶ人がいるのだろうかと思いつつ、いざボタンを押すとなると少し戸惑ってしまった。しかし、1分も経たぬうちに恐怖心よりも好奇心が勝った。
「怖かったら電源切ればいいだけだし…」
そう呟きながら、玲一はYesを選んだ。
途端、画面が切り替わった。テレビにはゲームによくあるCGの映像が映っている。
玲一はそれを見て驚いた。
それもそのはず、そこに映っていたのは玲一にとって見慣れた風景だったのである。
「何で…?」
思いがけない出来事に、玲一の口から驚きの声が洩れる。
そう、そこに映っていたのは………玲一の通っている高校、四宮高校だった。
玲一が驚きのあまり、暫く呆然と画面を見つめていると、背景はそのままで画面左上から白い文字が現れ始めた。ちょうど今、パソコンで入力しているかのように。
『プレイヤー…柏木 玲一
性別…男
年齢…17歳
身長…158cm
体重…45kg
視力…1.5
プレイヤー情報登録完了
Push START Button』
「……すごい」
玲一は息を呑んだ。それもそのはず、登録していないはずの個人情報が勝手に登録されたのだ。
普通なら怪しむのかもしれないが、ただでさえゲームが落ちているという滅多にない出来事に遭遇して、その上そのゲームがプレイヤー情報を読み取るという、すごい機能を身に付けているときては、興奮せずにはいられなかった。
玲一は迷わずSTARTボタンを押した。後に、この時安易にボタンを押したことを悔やむことになろうとは夢にも思わずに。
「うわっ!!」
突如、テレビから暗闇が現れ、玲一を襲う。それは一瞬の出来事で、玲一はなす術もなくその暗闇に包まれた。
闇の世界。
玲一が立っていたそこは、こう形容するに相応しい場所だった。
何故か自分自身は見えるのだが、それ以外は見渡す限りの黒。まるで光というものが全く存在していないかのような場所だった。
「サバイバルワールドへようこそ」
突然響いた無機質な声。玲一は辺りを見回したが声の主は見当たらない。最も人間の声ではないことは確かだったから、声の主というものがいるのかさえ確かではなかったが。
玲一が辺りに警戒しつつ声が聞こえた方向に歩き出すと、突然目の前に光が現れ、その中からヒトが現れた。
「私は説明係のアイラです。以後お見知りおきを」
そのヒト、アイラが丁寧にお辞儀をする。さっきの言葉を言った…否、発したのもアイラだったのだろう。見た目は20代前半の女性で仕草もまるで人間だが、感情というものが全く感じられない。 玲一は最新型アンドロイドなどというところだろうと思った。
アイラは言葉を続ける。
「まず、重要なことですが、今から行く世界では皆があなたの敵です。何人たりとも信用してはいけません」
「えっ?一人も仲間がいないの!?」
思わぬ宣告に玲一が聞き返すが、アイラは反応を示さない。一応言葉が被らないようにはしてあるようだが、プログラムされたことしか話せないのだと感じ取った玲一は口を噤んだ。
玲一が黙ったのを認識したのか、アイラは再び説明を続ける。
「会う人一人一人がプレイヤーです。共通の敵がいたならその場は協力することも可能かもしれませんが、最終的にクリア出来るのは一人だけです。
ルールは簡単です。『目覚めの塔』というところに向かってください。『目覚めの塔』はあなたの通っている学校、四宮高校の屋上にあります。その塔の最上階である5階にある扉を通過すればゲームクリアとなり、元の世界に戻れます。
ただし、さっきも述べた通り、サバイバルワールドには他のプレイヤーも存在します。それぞれが生き残りをかけていますので、頑張って生き延びてください。」
ここでアイラは言葉を切り、手を玲一の前にかざす。すると玲一の前に拳銃、真剣、洋風の剣、チャクラムなど様々な武器が現れた。
「このゲームでは1つだけ武器を持っ事が許されます。どれか1つ、選んでください。尚、実際に使うので、十分扱える武器をおすすめします」
「……じゃあ真剣で」
玲一は迷わず真剣を選んだ。無論真剣は持っているわけもなく、扱かったこともなかったが、昔剣道を習っていたこともあり、真剣にしたのである。
玲一が答えるとアイラは再び玲一の前に手をかざし、それと同時に真剣以外の武器が消え去った。
「他プレイヤーからの攻撃によって、致命傷を与えられた場合、ゲームオーバーとなります。ゲームオーバーになってしまった際には、代償を払ってもらうことになります。また、負傷しても痛みは感じないようになっていますが、気がついたら致命傷を負っていたということのないように、傷を負うという感覚はあります。
ルールは以上です」
アイラがここで一呼吸おいた。玲一は依然として口を開かず、頭をフル回転させて、アイラの説明を必死に整理する。
暫くして、アイラは忘れていたかのように付け足した。
「ゲームオーバーになった際の代償ですが、ゲームオーバーになると魂が消滅してしまうのでお気をつけください」
一瞬の沈黙。
「えっ!?ちょ、ちょっと待ってよ!魂が消滅!?」
少し遅れて理解した玲一は反論したが、アイラは聞く耳を持たない。
「それでは行ってらっしゃいませ」
途端、玲一は再び闇に包まれ、視界からアイラは消え去った。
妖しい微笑と共に。