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1 :呉内 翔歩 :2006/07/29(土) 17:39:50 ID:ommLPnuF

あの子は俺を見ない。
彼女は恋をしている。
俺と全く、正反対の男に。

でも俺は、
彼女に幸せになってもらいたいと思う。
俺が大人になっても、
あの男以上になれないのは理解しているし。

なぁ、なほり。
あいつと幸せになれよ。


2 :呉内 翔歩 :2006/07/29(土) 18:05:58 ID:ommLPnuF

 俺は目の前の生徒手帳を見た。
 俺の顔写真の横に、「A」というアルファベットが書き込んである。
 叫び声で「俺、Aだ!」とか「よっしゃ、よろしく」とか聞こえている。
 隣の席にいた、古川が、雑談でうるさいクラスメイトに負けない声で、
 「素晴は…A? B?」
 俺は、古川に生徒手帳を渡した。
 …。
 古川は「良かったな…」と静かに言った。

 俺の前の席で、嬉し泣きをする、彼女。

 * 4・10

 大野なほりと出会ったのは2年前の4月だった。その時、大野もA組で、俺も古川も同じクラスだった。
 担任が、教室に入ってきて、「これから…よろしくな」と言って笑った。黒板に細い指でチョークを持ち、『津田 匠』と書いた。
 津田センは、どこにでもいそうなおっさんだが(年齢的に言うとおっさん、けど外見は20後半ぐらいに見える)、体は華奢な感じだった。スーツが似合う人で、お世辞じゃないが、やっぱり、34には見えなかった。だから自己紹介で34だと言ったとき、室内の女子は黄色い声で「えー!?」と言った。
 大野だけは、そんな声も出さず、じっと津田センを見ていた。
 2年前の、今日。
 津田センは36歳になり、再来月の誕生日で37になる。
 大野と津田センは20歳の差がある。けれども、大野はあいつを好きなんだ。
 もう、津田センが名前を書き終わる瞬間に、大野は恋をした。
 そして俺も、大野が恋をした瞬間、大野に好きになってもらいたい、と思った。

 そして、2年後の今日。
 「A」と書かれた生徒手帳の横に、担任:津田 匠 の文字。
 そして俺の前で嬉し泣きをしている、大野なほり。
 卒業するまで、好きな女の恋する姿を見るのか。


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甘辛流小説家ギルドGAIA
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