賢者の剣 -ツルギ-


1 :キム :2007/02/23(金) 13:17:48 ID:ommLumPA

――世界は破滅へと導かれ

  深く闇は世界を覆う 欲望のままに


―――――賢者の剣―――――――――

闇の世界…。
赤い月と不気味に輝く、山に囲まれた街。そして、城に一つの影が現れた。
「コノ世界ハ、エレザム様ノタメニ存在シテイルノダ…王国ヲ、滅亡サセテヤル…」


 城に住む王女、リトラーファ=レイリングは、部屋の小窓から空を眺めながら、手を交差させて祈っている。
「どうか…お兄様がご無事でありますように…神様…」
 その交差された手は、強く握られていて、手を放すと紅く指の跡が残っている。
 彼女の兄は、一ヶ月ほど前に城から姿を消し、その行く先は不明である。
兄を慕って育ってきたリトラーファは、すっかり元気を無くしていた…。


2 :キム :2007/02/25(日) 15:11:46 ID:o3teQJom

「リト様! 侵入者が確認されました!直ちに地下へ…!!」
「なっ、何?! 何なの?!」
 召使が急ぎ足で部屋に入ってくるとそう言うので、リトラーファは驚き、何がなんだか分からないでいたのだが、
その時城が横に大きく揺れ、城の者たちの叫び声が聞こえてくると身体が震えた。
「でも…一体誰が!」
 リトラーファの言葉に答えず、召使は彼女を地下へ誘導させた。
「ねぇ、何が起きたのか教えて…!」
 その言葉も虚しく、地下室の扉の鍵は閉められてしまった。


3 :キム :2007/02/25(日) 17:44:25 ID:mcLmLixk

 ここは王都から離れた小さな村、エネル。
一人の少年が、久々にその村に帰ってきていた。
 金髪を風に靡かせるその少年の名は、イセグレスト=D=カリエンス。
つい最近王都で開かれた賢者を選ぶ大会で優勝しており、彼は賢者の一人として王都にある組織に所属をしている。
しかし昨日、病気の母のために村に帰ってきていたのだ。
「ただいま母さん、調子はどう? ほら、隣の村に悪魔が出たから退治してきたんだ。これ、その報酬で買った薬」
 村の片隅に建つ木造の小さな家。その庭にはサボテンが多く生えている。
 広々とした大きな村だが、人口は少ない。
 イセグレストの母は、ベットから身を起こしてお手伝いモンスターのホムワークに支えられながら、彼を出迎えた。
「お帰りなさいイセ。賢者の仕事の方は順調みたいね、お母さん嬉しいわ。あなたは私の自慢の息子よ」
 そう言って微笑み、ホムワークに誘導されて台所の椅子に腰を掛け、イセグレストも同様に座り、頬杖をついた。
「母さん、無理をしたら駄目だよ? 薬を買えるほどのお金は稼げるようにはなったけど…俺、当分の間母さんを一人にさせてしまうだろうから」
「あら、そんなにも心配? 母さん元気よほら! それに、ホムワークも一緒ですもの」
 母親は笑ってホムワークに視線を移した。ホムワークは、イセグレストが病気の母のために買ってきたお手伝いモンスターだ。
 身長は1メートル60センチほどで、二足歩行をする。四角い顔で、
 口は横に長いたらこ唇で、目は点であり、そして頭の左に可愛らしいリボンが付けられている。
「クェェェッ!!!」
 そう鳴ながらホムワークは立派にお茶を注いだ。
 イセグレストも笑いながら、ホムワークの頭を撫ぜ、ホムワークは照れくさそうに身体を揺らす。
 しかし、イセグレストは急に動きを止めて神経を集中させ、厳しい顔をした。母親が「どうしたの?」
 と尋ねると、イセグレストの目の前にフッと人の姿が現れた。それは魔法の一種であって、相手に何かを伝えたいときに使われるものだ。
「どうしました?リーガルさん」
 目の前に現れた女の姿をした虚像に話しかけ、リーガルと呼ばれた女は焦ったようにして応えた。
「イセ、大変だ王都が破滅する!! 何者かが城に侵入して、国王が殺害された!!ルーゼノたちが何とか対処はしているが、地下に隠れていたはずのリトラーファ姫の姿がどこにも見当たらない! だからイセ、お前に下す命令は姫を捜すことだ分かったか!!」
「リト姫はさらわれたのですか?! リーガルさん!! 犯人は誰か分かりますか?!」
「おそらく、一ヶ月前に姿をくらました王子のディーラだ…!」
 え……?
「まさか、悪魔に心を奪われたってことは…」
「ディーラは魔術師の弟子になったという噂があるんだ。いいかイセ、必ずリトラーファ姫を救うことだ!!」
 最後にそれだけ言うと、リーガルの姿は消えた。
「イセ…?」
「クェェェ?」
「ごめん母さん、ちょっと仕事が入った。ごめん…行ってくる」
 イセグレストは背中を向けて家を出て行く。
「クェェェ!!」
 出て行ったイセグレストに、ホムワークは鳴き、母親はホムワークをしっかりと抱きしめた。
「イセなら大丈夫よ、ホムワーク。だってイセは賢者なんですもの。賢者の仕事は、人々を救うこと。最近では、一人の魔術師の仕業で悪魔が増えて、その悪魔に心を奪われた者がヒトを襲うようになったものだから、イセも大変なのよ…。でも、イセなら大丈夫。そう信じていましょ」 


4 :キム :2007/03/02(金) 17:58:24 ID:PmQHQ3W3

 イセグレストは村の外れで立ち止まり、魔法を唱える。
 それは賢者に許される特別な魔法で、組織に入ってから契約を結んだ自分の手助けとなるモンスターを、召還することができるものだ。
 魔法で光に包まれたイセグレストの目の前に姿を現したモンスターの名は、コムと言う。普段は常に傍に従わせているのだが、家に帰るとホムワークがいるので喧嘩になってはいけないと思い、隠しておいていたのだ。
 コムの大きさは両手に乗るほどで、それはまだイセグレスト自身のレベルがまだ低いからであり、強くなるにてれてモンスターも強く進化をしていく。
「イセ様!誰かいるでス…!!」
 コムがそう言うので、彼はコムの視線をたどり、そこに人影があることを確認すると勢いよく剣を抜いた!
「誰だ!!」
 強くそう声を出すと、人影はゆっくりと目の前に現れて、力なく微笑む。
「イセ…グレスト…。賢者さま…」
 ――――?!!
 そう言い残して、倒れていったのはドレスを身にまとった少女。
「リトラーファ姫?!!」
 目の前に現れたその人は、紛れもなく、これからイセグレストが捜しに出ようとしていたリトラーファ本人だった…。
 そして、その後から大量の悪魔がやってきた―――!!
 


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