◇風の便り◆


1 : :2006/12/03(日) 19:46:38 ID:kmnkzGx3

お題:D(出かけよう)

 1 一緒に行こう
 2 てるてる坊主
 3 夢のような時間
 4 またね。
 5 手をつないで

お題:J(邪魔なもの)

 1 デカいネコ
 2 傷跡
 3 他人の思考
 4 世界の掟
 5 タイムリミット

お題:T(戦い)

 1 死者の思い・生者の誓い
 2 血を流す意味
 3 幸福を信じて
 4 言えなかった言葉
 5 最後のひとつ

お題:B(バトル)

 1 位置について
 2 稽古
 3 無敵の笑顔
 4 日常茶飯事
 5 終わりよければ全てよし!

お題:H(一時)

 1 手をつないで
 2 午後のティータイム
 3 大木の下で
 4 話そうか
 5 昔のままに

お題:K(君(貴方)に伝えたい)

 1 ありがとう
 2 さようなら
 3 あの言葉の意味
 4 大切な人
 5 君に幸あれ


 <小説用ラウンジ>⇒『お題』を使って短編 に説明があります。

 上記の『お題』の中からお好きなものを使い、思い思い存分に短編を書いていただきたいです。どなたでも参加可能です。


  。


2 :麻中 幹 :2007/01/26(金) 23:48:54 ID:ommLPesL

某話−ナニガシバナシ−   (T)

大地に男の体が仰向けに転がっている。
旅人が歩いて来た。ボロボロの三角帽子に泥のこびりついた長いマント。
肌も衣服もほこりっぽい旅人だった。
男は思った。
自分の目はもう何も映さないが、自分はこの旅人よりも酷い格好をしているのだろう。
男は何故旅人が見えるのかという矛盾に気付いていなかった。
男は旅人に話し掛けたが、その声を自分で聞く事は出来なかった。
耳が聞こえなかったのか声が出なかったのか。

旅人は尋ねた。
「ここで寝るのは気持ちいいですか」
「何処で寝ても一緒さ」
皮肉げに男は答えた。
男と旅人の不思議な会話は続く。
「何故ここで寝るのですか」
「ここで仕事をしていた」
「何故ここで仕事をしていたのです」
「理由は無いさ」
「何故理由を待たないのですか」
「それが仕事だからさ」
「何の仕事をしていたんですか」
旅人との会話は何故か男を安心させた。
それはまるで誕生のようであり死滅であり帰省であった。
「軍人をしていた」
「何故その仕事を?」
そこで始めて男の答えが途切れた。


「・・・・・それが仕事だからさ」
理由なんて無い、一番最初に浮かんだ答えを男は認めなかった。
「その仕事は楽しかったですか」
「人殺しは、楽しくない」
「その仕事で何か一つ良い事がありましたか?」
その問いに男はとても情けなく思った。悲しく思った。
「何も・・・・何も無かった」
もし顔の筋肉を動かせたなら喉を震わせられたなら、男は心のままに泣き喚いた事だろう。
男の体は動かなかった。
「楽しくないお仕事で、良い事は一つもなかったのですか?」
旅人の問いは、確認のようでいて男の答えを促していた。
「いや・・・・・一つ有ったな」
男はそこではじめて穏やかな気持ちになった。
「妻が、妻がお帰りって言ってくれるんだ。理由も無い仕事だったが、妻が出迎えてくれると思えば幸せだった」
確かな哀愁を含んではいたが、男は安らいでいた。
「奥さんは今は?」
「来月再婚するそうだ」

自分には何も残っていない。妻も幸せも命も自分はもう何も持っていない。
あぁ、妻とは別れた後でよかった。
約束を破るところだった。自分はもう生きて帰れない。

「なんだ・・・まだ有ったのか」
自分はまだ持っている物があった。
未練がましくて自分でも嫌になるけど
――――愛していたよ、誰よりも
お前への気持ちだけまだ残っていた。
「おめでとうって言ってやればよかったなぁ」



それを聞く人は誰もいない。
旅人さえも消えうせて
残されたのは 随分と古い男の死骸だけだ。


――――――――――

@→本文、生きて帰るって約束 A→理由なんて無いさ B→妻の出迎え C→おめでとう D→妻への気持ち


3 :麻中 幹 :2007/02/02(金) 21:33:32 ID:ommLPesL

少年破壊願望

鳴響く、鳴響く。今日も今日とて耳障りな 電子音。
仕方なく寝ぼけた体が覚醒しだす。
窓の外には清々しく青い空。嫌になるような本日晴天。
今朝もしょせんは平和でしかない。

何処かの国の戦争を観戦しながら朝食をとる。
いつもの時間にいつもの通学路。
電車に乗ればいつものように勝手な会話が聞こえてくる。
いっそのこと脱線すれば、と願ってみれば、それももう習慣で。
変わりばえの無い退屈な毎日でしかない。
目の前にはいつも乗ってるおじさんが、始めて見るおじさんと何か熱心に話をしている。
――息子は受験生なのに勉強をしないんだよ。いやぁ息抜きなんてモノじゃないのさ。塾へ行くって出たかと思えば補導されて電話がかかってきてね、それも一緒にいたのが――
下らない日常でしかない。
今日も何も起こらないうちにホームへと降りる。

駅から少し離れれば 人通りの無いのどかな民家。
唯一いるのは ひと睨みしてくる猫一匹。
毎日同じ塀の上で同じ格好。
ぼてっとしたミケの体が塀から大分はみ出している。

学校が見えるほどの距離になったところで道端に枯れた花束を見つける。
小学生が車に跳ねられた時のだ。
茶色くなった花に紛れて赤っぽいコンクリが見える。
当初は待ち望んだ非日常に思えたが、今ではすっかり馴染んでしまっている。
花束も、もうあれで最後だろう。
いちべつした自分の目はさっきの猫になんてそっくり。

遠くからチャイムの音が聞こえてくる。
走れば一時間目に間に合ってしまう。
今日も世界は支配される。



――――――――
少年(の日常を)破壊(したい、と言う)願望
邪魔なもの→日常
@でかいネコ A傷跡→事故痕 B他人の思考→電車内の会話 C世界の掟→日常 Dタイムリミット→チャイム


4 :華雫 :2007/02/06(火) 23:02:46 ID:ocsFWmWH

嘘だらけ(T−4)





 ただ空を、見ているだけだ。


 ただ唄を、歌っただけだ。


 ただ水が、滴っただけだ。


 ただ君が、去り行くだけだ。







「何故、目を合わそうとしない?」


 何処か呆れたような低い声に、小さく細い背中は答えない。
 長い髪が風に流れるが、抑えようともしない。
 黙す事で、やんわりと相手を突き放しているようだ。と、男は思った。


「お前の歌は心地よいが、少しはちゃんと人の話を聞かんか。それとも、もはや会話の仕方も忘れたか」


 少しばかり皮肉って、反論を待った。反論でなくとも、歌が止むことを期待したのだが。どうやら、意味がなかったらしい。
 大岩の上で足を空に放り出し、朝明けを出迎えるその背中は、少しも振り返る素振りを見せようとしない。

 男はいよいよ、深い深いため息を、潜めて吐いた。


「…もう、戻ることはない。お前は…、せめて今よりマシな男を、傍に…な」


 こうなっては、と。
 本当は面と向かって言いたかったことを、背中に向かって真っ直ぐ叩きつけた。


 歌は止まない。


 男は踵を返すと、一度自分の真上の空を見た。
 雲のこちら側は、徐々に明るく輝いていく。反対に、向こう側には闇が尾を引いている。

 自分の後ろ(背後の娘)はこのまま夜明けを迎えればいい。
 自分の前(向かう先)には、闇がある。

 男は、そっと瞼を閉じて、深呼吸をする。


 水が硬いものにあたって、はじける音がした。


 それはとても小さな音で、擦れ途切れる声の合間にしか聞こえなかった。

  涙 だと気付いてしまえば、足が止まってしまう。歩き出せなくなって、朝の陽に照らされてしまう。


 男は笑った。
 自嘲のような、呆れのような、穏やかな笑みを知るものはいない。


「雨でも、降ってきたのか。急がねばならんな」


 雨は止まない。
 随分と間のある雨音が続く。




  (振り返らないんじゃない。…振り向けないのでも、ない)

 ただ空を、見ているだけだ。
 

  (言葉に迷ったわけじゃないし、我が侭を言ってしまいそうで怖かったのでもない)

 ただ唄を、歌っただけだ。


  (涙が零れたわけでも、拭う手が間に合わなかったわけでもない)

 ただ水が、滴っただけだ。


  (ただ、貴方の足を止めたくなかった…)

 ただ君が、去り行くだけだ。






 硬い足音が、一歩一歩大地を踏みしめて去って行く。


 歌が止んだのは、その音が闇に消える少し前。




「神、様…」



「どうか、守って…」
(あの人を、返して…)








5 :麻中 幹 :2007/02/09(金) 21:55:17 ID:ommLPesL

未終点執着 

彼女さえ いれば良かった


「痛い?」
病院のベットに横たわった君に僕は声をかけた
自分で聞いても、その声は明らかに悦んでいて 僕は冷めた心地で僕自身の言葉を聞いた
痛いはずだ 君は痛み止めを拒んだのだから
痛み止めはそもそも 脳や神経の活動を低下させるもので君は酷く嫌がった
君の弱っていく世界で 一人になっていく 快感

この頃 君の綺麗な表情は いつも歪むようになっていた
それでも 僕の質問にいつも同じ単語を返した
「痛くない」
不思議と僕はこう答えるときの君の顔を思い出せない 何度も同じ質問を繰り返したはずなのに

君の病気は前例がなく 医大は入院費も取らずに 君を収容した
さながら モルモットだった
親戚のいない君は一言 良かった と言ったけど

日に日に君の体は死んでいき 病室には君一人 君には僕だけだ
そうやって僕のドロドロした物が満たされていくのは 幸せだった
日を追って君の脳は死んでいき 君も僕も話さなくなった
そうやって君の心が死んでいくのを僕は止めようとしなかった
僕にとっては大差の無い物だから

その僕にもう一度君は言葉を紡いだ
「ありがとう」
君の死んだ目が心がまるで生きているように僕を向いた
感謝の言葉には聞こえなかった
君はその後すぐに死んでしまったから
苦しかった筈なのに 死に顔は久しぶりに見る綺麗な表情だった




痛かった 言いはしなかったけど
苦しかった モルモットの様で
淋しかった 君は独りで
幸せではなかった 僕がいたから

彼女が死んで何年もたつけど 僕はまだ彼女のことが分からない
わかるのは あの時の彼女の死んだ心は生前と何も変わっていなかったということ

僕がまだいない世界で 彼女がせめて幸せだといい



僕はいまだ執着の中

――――――――――――


6 :lsppauoqbhv@gmail.com :2013/04/09(火) 13:16:47 ID:kAoJVen7WA

ヴィトン 財布

突然訪問します失礼しました。あなたのブログはとてもすばらしいです、本当に感心しました! ヴィトン 財布 http://www.louisvuittons.info/


novel plaza system
甘辛流小説家ギルドGAIA
produced by COLUN.