この物語は別作品「Another」の途中から続いている作品です。
単発で読んでも一応意味は分かるかもしれませんが、「Another」との併読をお勧めします。
『 片山 涼 』
右上がりの下手な字で、そいつは黒板にでかでかと書いた。――男子にしてはやや長めの黒髪。
「よろしく」
素っ気なくそれだけ言ってカタヤマリョウ≠ヘ、席はどこだ? と言わんばかりに露骨に辺りを見回し、不躾に担任の顔を見た。――微かに青みがかった瞳。少し低めの身長。
そいつの自己紹介は、それで終わり。そいつについて分かったことも、これだけ。
名前は片山涼=B字に癖がある。
そして片山涼は、愛想の欠片も持っていない転校生だということ。