JUDAS


33 :アクロス=レザストロ :2007/10/30(火) 18:16:30 ID:kmnktixk

三十一章

「……疲れた〜」
 エリンに一通りツッコミを入れた後、子供達と遊んでいたソル。いや、遊ばれていた方が正しいのだろうか。ソル一人で逃げる鬼ごっこや怪獣役をやらされてエリンに本気でかかってこられたり。やはり兄妹なのだろう。実力はソルの数段上だった。兄がゼルスというのもよくわかったソルだった。
「はは、情けないわねあの程度で」
「……大半はお前だ、悪魔め」
「あら、こんな可愛い私を悪魔だなんて……失礼しちゃう」
「ゼルスもしそうな返答をありがとう。兄妹そろってナルシストか」
 実際、ソルの疲れた原因はそれだけではない。子供が心配そうにソルを見上げてきた。
「ソルお兄ちゃん、大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。えっと……D−3043」
 ───この子供達は全て名前がなく、番号で呼ばれていた。
 つまり、それだけの数字と顔を覚えなくてはいけない。いくらソルでも、きつかった。
 しかも数字には規則性が無い。記憶力が完全に試されていた。
「C−5696、水持ってきてあげて!」
「は〜い」
 エリンは完璧に記憶してるのか、わざわざ指差して言っている。その後に見せる馬鹿にしたような表情がソルの心に精神的ダメージを与える。
「まったく、番号なんて面倒なだけだろ」
「そう? 覚えれば楽よ」
 子供から水の入ったコップを受け取り、飲み干す。
「……番号じゃ覚えるのがきつい。特徴が無ぇもん」
「あ、記憶力悪いからって言い訳だ〜」
「だから、俺が全員に名前を付ける!」
 そう宣言し、とりあえず水を持ってきてくれたC−5696を見る。
「えっと……お前は今日からミネードだ!」
「みねーど? ……うん、わかった」
「じゃあ、お前はシャール。お前はソリアで、お前が……」
 さっき遊んでた時に考えていたのかと思うほどテキパキと名前をつけていくソル。それを見て少し唖然としてたエリンは苦笑する。
「じゃ、私も手伝おうかしら」
「おっ、頼むぜ。そろそろ名前が無くなって来てるから」
「わかった、じゃあ君は……子供A!」
「待て!!」
 いろいろふざけたネーミングをしたエリンを止める。
「何よソル。あ、いい名前すぎた?」
「それがいい名前なら『ああああ』でもいい名前だ。真面目に付けろ」
「わかった! ボク、子供Aだね!」
「落ち着けぇぇぇ!! 鵜呑みにするなぁ!!」
 そのまま受け入れてしまいそうな子供を止めたソル。この子供達は素直すぎた。



 数十分が経ち、ようやく全員の名前が付け終わった。あの後もエリンの変なネーミングを止めようとしたり、子供がそれを受け入れそうになるのは何とか阻止した。


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