化生の類


1 :hhuu :2019/09/04(水) 23:25:29 ID:tcz3riQJ

化生の類。
カップルの異能暗殺者。二人の小指に結ばれた誰にも見えない運命の赤い糸でターゲット
を絞殺する。
縁切神社の跡取り娘を狙ったのが運の尽き。
悪縁切りまじて、最後はお互いの首を絞め合う末期なり。


化生の類。
人間大のハナブトオオトカゲに変身する化外の娘。ただ、結構マイナーな生き物だから
か、界隈では未知の怪物に変身していると誤解されることが悩みの種。同じマイナーな生
物に化ける恋人と同棲中。最近は、彼が変身する甲虫の名前が未だにわからないことを訊
けずにいる。


化生の類。
大沼県××村の村長宅の座敷牢に、「悪」という名前の若造が住んでいる。
彼の五臓六腑は四十七に分割され、各都道府県庁の地下4階に保存されており、体の外側だ
けを保って生きている。
姓を伽藍堂、名を悪。八百比丘尼と並んで、日本唯二の不滅の類。


化生の類。
夜でも灯りが絶えなくて、星の光に誰も見向きもしない世の中じゃあ、化物は生き辛いっ
て? んなこたありません。あっしらは人の心の陰に住まわせていただくのですから。眼
に映る光なんて、ね。
お陰様で、世の中便利になられまして、その分ね、こう、心の隙間ってやつですかい? 
それがね


化生の類。
雨が降ってたから、傘をさしたら室内だった。
でも確かに足と袖が濡れている。
縁切神社の娘に相談すると、目を細めて「あんた、伽藍堂雨に見染められたね」


化生の類。
例えば、政治家というのは選挙区の利益代表であることが第一義だ。それゆえ広い交際関
係や社会的地位を持つ者が選ばれるのが通常だ。
それは我々化生の類にも言えることでね、やはり化物の代表は知名度高く、社会に尊敬さ
れるものがならねばならない。そう、我々お狐様とかがね。


化生の類。
山火事を消し止めた午後十一時。焦げ付いた山肌を夜風が舐めた時、燻ぶる熾火が酸素を
吸って煌めいた。
まだ、終わっていない。まだ許してもらえないのだ。びゅうびゅうと言う音は、確かに誰
かの怒り声だった。
許しを請いたいけれど、暇もない。山が化生となる前に、残火を滅ぼす。


化生の類。
イケメンの男の子が、声をかけてくるようになった。素直に浮かれていたら、彼の正体が
舌がめっちゃ長い蛙男で、同じ蛙の血を引く他の男達から私を守る現代の忍だと知って眩
暈がした。しかしイケメンな蛙忍たちが長い舌をぶつけ絡ませ戦う姿は、あまりに倒錯的
で、それはそれで、あれだ。


化生の類。
袖貴村の巫女の血を引く者は、小袖の中に「手」を飼っている。右の袖口から、常人には
視得ぬ透明な腕を伸ばし、悪行を為す。
今日の夕方、袖貴千代がクレーンゲームで「手」を使って不正を働くところを見てしまっ
た。
「見たな」と凄まれても、反応に困った。


化生の類。
袖貴千代は言った。
「村にいた時? あの村ァ土地は痩せとるわ水源は遠いわで、いいところ何もなかった
な。村人五十人、巫女が呪い稼業で食わせてた。結局、廃業したけどね。わざわざ僻地で
呪うより、銃や毒、盗聴器にSNS。自力で呪った方がよっぽど効率がいい世の中になっ
たからなあ」


化生の類。
袖貴千代は笑った。
「呪い師という生業が廃れたのは、需要と供給のバランスが崩れたからだな。つまり需要
はあるんさ。本当に純度の高い殺意と持て余す程の金を持った奴が、たまにやってくる。
尋常なやり方で恨みを晴らせぬ相手を呪って欲しいと、ね。え? 呪うよ? 仕事だか
ら」


化生の類。
伊勢横綱という呼称の化物がいる。ヨコヅナと呼ぶと怒る。「よこづなじゃねえ。よこつ
なだ。濁音がすべからく格好いいわけじゃねえのだよ」などと頭の悪いことを平然と言
う。
しかし、ありとあらゆる綱(結界)を無効化し、平然と踏破し、行きたいように生きる、
国難級の化生なのである。


化生の類。
「伊勢、お前どんな障壁も結界も乗り越えて自由気ままに人ん家這入り込んで、ただ飯を
ねだる究極にうざい怪物ってことだけどさ。……もしかしてぬらりひょんの正体って」


化生の類。
不老不死の女が、日本中を旅する。行く先々の土地で出会う化生の類の生態を書き留め
て、また何十年かして訪れた時、再会か別離を繰り返す。永劫の寿命をそうやって一つの
輪廻にして、国内を旅する身長199cm(自称2m未満)の女の形をした何か。名を女郎屋敷小
夜子。八百比丘尼の仮初の形。


化生の類。
大沼県伽藍神社の宝物殿には平安期の鎧甲冑が祀られている。しかし形状がおかしい。
人間に着せる形をしていない。強いて言えば、熊に着せるとしっくりくる。しかしサイズ
が大きい。
もしその鎧に合う熊がいるなら、それはホッキョククマになるだろう。
当時の日本にはいない、はずだ。


化生の類。
平安時代には巨獣がいた。
源氏武士はそれらを討伐するために、呪いによって己が身を獣へと変えた。それは見たこ
ともない大きな獣。
「ぽうらあ」に化けて生る武士達は、その姿に見合う巨躯の甲冑と兜を所望した。
源平の合戦のち。それらは全て破棄され、呪いの血筋も絶えたはずだった。


化生の類。
日中なら、そういうものが現れることも魅入られることもないと思っていた。
日差しが肌をさし、蝉が耳をつんざき、風が肌を嘗め、煮だった土と夏の酸素が混ざった
臭い。盆を越えた時間軸の終わり。綺麗な人。
美しい季節には、美しい人と出会うものだ。
人造妖怪『恋喰い』の出現。


化生の類。
大きい物というのは、それだけで畏い。
海でクジラに出会ってみろ、死を覚悟する。山で熊に出会ってみろ、定命が粟立つ。
夜の小道で鬼に出会ってみろ、人は鬼に食われるものであることを思い出す。


化生の類。
子供の遊び、鬼ごっこ。
夏休み、大人の目の見えないところで、こっそり子供たちが集まって、角を生やして人で
ない声を出して笑ってどこからか取りだした得体のしれない肉を貪るという行為に耽る子
供たちの姿が目撃されている。
調査の結果、子供たちにそれを教えた者の名は、ふたb


化生の類。
子供の遊び、おかげさま
「おかげ様」という神様を呼ぶ遊び。子供たちはおかげ様に親や大人にしてもらったこと
を報告し、感謝を述べる。
しかし続けていると、子供たちは「おかげさま」に感謝をしだし、そして、それ以外への
感謝をしなくなる。
それを子供たちに教えた者の名は、ふたばみy


化生の類。
人造妖怪「紙女」
毎夜、夢の中にノッポで赤い服を着た女が現れる。
それは触れた者を紙にしてしまう紙女。大切な人がいなくなり、紙女の手もその人の名前
が書かれた紙がつままれてしまったら最後。
紙に書かれた名前の人が、次に紙女の夢を見る。


化生の類。
紙女は、ただの夢魔である。
しかし、彼女の夢をみた者は勝手に邪推する。
紙女の夢を三回観ると死ぬだの、誰かの夢の中で紙にされたことを知った状態で眠りにつ
くと紙女に呪われるだの。呪われると紙になるだの。助かるには、呪いを移したい相手の
名前を紙に書いて、伽藍神社に埋めるだ


化生の類。
双葉宮咲貴「はいはい、紙女も私が作ったホラ話でそんなの呪いはないってことにすれば
いいんだろ。あのね、私も被害者なんだからね。なんか全国各地で最近発生してるまじな
いの類、全部私が作って広めたって、化生界のナポレオンみたいな扱いだけれど。ただの
無害な都市伝説だからね私」


化生の類。
大沼県豊国市伊藤町。環境省と警察庁、広域指定暴力団六団体が協力して造りあげた繁華
街。一線を越えた化生の類を一つの街に集め、覇権争いをさせることで、外に逃げないよ
うにした歓楽牢獄。住民は生贄。獄卒は全国から集まった術師。昼闇と夜光の保護区。
この街で、暴力は娯楽である。


化生の類。
Mrグッドジャーニー。伊藤町の顔役。西洋拵えの脇差、縁切横綱をコートに忍ばせた黒衣
の男。どの組織にも属さず、裏社会のトラブルを解決し、鬱憤が溜まって見境のなくなっ
た化生を退治する町のガス抜き係。
本名、伊勢三郎豊国。旧姓、藤原三郎豊国。


化生の類。
トクナノゾミ。漢字で書くと匿名希望。偽名。小柄な少女(身長142cm体重330kg)。Mrグ
ッドジャーニーのビジネスパートナー。おそらく化生の類だがその正体は不明。右小指に
は赤い糸が結ばれているが、本人曰く「この指も糸も私のものじゃない」らしく元の持ち
主に返すために彷徨っている。


化生の類。
蝉時雨。命そのものをぶつけるような叫びを全身に浴びて、残暑の光に照らされている。
服がずぶ濡れになっていた。
汗ではない。夏の日差しの中で、伽藍堂雨に見染められたこの体からは、冬の雨の残酷な
冷たさが香る。


化生の類。
伊勢二郎横綱は刀鍛冶であった。ある時、人魚の肉を食った女の髪を手に入れ、それを鉄
に熔かし込んだところ、縁を斬れる魔剣ができた。化生の体を熔かした刃に魅入られて、
鍛えた業物『横綱』十二振り。最後はそれで己を切って、この世の全てから切り捨てられ
た怪物伊勢横綱だけが残った。


化生の類。
伊藤町の酒場では、人間の客は入口から入る。化生の客は裏口から這入る。それがマナ
ー。そしてマナーのなってない客を追い返すのは店の甲斐性である。

よその町から流れてきた従業員「追い返していいんすか? 人間の店よりよっぽどホワイ
トじゃないすか


化生の類。
女郎屋敷加奈子。
魔女。世界で唯一、箒で空を飛ぶことができる、最後の伝統派魔女。黒猫と喋れなくて
も、薬は薬局で買っても、悪魔を呼べなくても、月を背に俯瞰風景を満喫する権利を保有
する彼女こそが、最後のウィッチ。


化生の類。
闊達自在に空を舞う女郎屋敷加奈子を見込んで、事情深刻な荷物の運び屋を頼む組織もい
るが、全国に配備された対地空ミサイルが、伊藤町以外で飛行しようとする加奈子を撃墜
する手はずなので基本、断る。彼女が命がけで飛ぶに値する物語がある時は、別だが。


化生の類。
血を引く者は必ず消息不明になる高町家の男を父に持ち、必ず化生の類へと堕ちて滅びる
伽藍堂一族の母を持つ少女。彼女は高名な縁切神社で巫女をしている。魔剣縁切横綱をか
ざしあらゆる悪縁を断ち切る彼女は、それでも己にまつわる父母との縁を切らない。それ
は決して、呪いではないから。


化生の類。
伊藤町のはずれにあるマッサージ店。陰気を纏い無愛想で述語にアクセントを持ってくる
のでなんかいらっとくる女性が一人でやっているが、すごく効く。
明かりが豆球だけの暗い地下室で施術されるが、うねうねと伸びて動く髪が肌を押してい
るのがわかる。が、すごく効くので誰も気にしない。


化生の類を書き散らかして遊んでいるけれど、僕はどうも怪異を書きたいわけでもない。
なんか、こう。化物が人混みに隠れていきるのに苦労してるのが書きたいのだろうか。


化生の類。
馴染みの喫茶店で、奥の座席に陣取る、稲荷くずれの女が言った。「祭りがしたいのう。
町の若衆が揃いの法被に足袋を履いて、ワシを祭った神輿を担いで練り歩くんじゃ。おも
しろいぞう」そうやってここの土着神に収まる腹積りらしいが、流れの土地神だらけのこ
こではろくなことになるまい。


化生の類。
ガキの時分は、なんで世の御婦人は肘まで隠す手袋をするんだろうなんて考えていたけれ
ど、別に大したことはない。
鍛え上げて黒金化した腕を隠すためだった。
品の良い服に身を包み、優雅な歩みで、チャカを砕き、ドスをへし折る。
嘘みたいな人は、川蝉丸と嘘みたいな名乗りで一礼した。


化生の類。
「わたくし、殿方の血を吸う時は必ず眼を合わせることにしておりますの。最後にわたく
しを見てもらうことで、頂戴する命に恥じぬ生き方を忘れないように」
女吸血鬼は台詞を吐き、じ、と俺を見詰る。眼を合わせながら血を吸うってどうするのか
と思ったら、ああ、そういう変形しちゃうんだ。


化生の類。
火車という妖怪がいる。死体を持ち去ってしまう獣。だから夜通し亡骸を見守っていなけ
ればならない。
昭和六十六年の浄火作戦で絶滅したはずのそれは、この町で生き延び、ひっそりと子供に
匿われている。何を食べるのかわからない、葬儀の夜に行方不明になる小動物として。


化生の類。
○○市××地区で5人以上の人数で写真を撮ると、必ず大正時代の女学生みたいな格好の人
影が映る。いないはずなのにそこにいる彼女は、誰が呼んだか「かぎろひ」と言う。どう
読むのか? 陽炎から来ているなら「かげろふ」となるはずなのに、果たしてどういう意
味なのか?


化生の類。
獣人馬男と獣人鹿女の間に産まれた変身できない獣JK、頼島えいねる。彼女のもっぱら
の悩みは自分は将来、馬鹿女になるというくだらない疑念を捨てられないこと。


化生の類。
昔から、恐怖に心が押しつぶされそうな時は、薬師如来の真言を唱えて怯えを追い払って
いた。
あの日、私の後ろに何かがいて振り返ったらいけないと直感した夜、「オンコロコロセン
ダリマトウギソワカァ!」と叫び、振り向き様に、拳を何かにぶち込んだ。
私の中の如来様の拳は、ゴツい。


投稿フォーム

タイトル:(省略可)
名 前:
メール:(省略可)
PassWord:
内容:
内容確認をする) 

novel plaza system
甘辛流小説家ギルドGAIA
produced by COLUN.