ピジョンブラッド・2日目


1 :akiyuki :2007/11/08(木) 20:27:53 ID:VJsFrmQG


 この作品は数年前に異龍闇氏が企画し、間宮蛍氏によりキャラクターデザインが行われて、akiyukiがノベライズしたものです。

 初めて目にされた方には『ピジョンブラッド・一日目』を先にお読みいただくことをお勧めします。
『ピジョンブラッド』http://novel.colun.net/forAtoHM/

 あらすじ
 『星』と呼ばれる隕石が落ちて壊滅した町ミシマ。
 そこには午後十時きっかりに現れて、夜明けになると消える化け物『敵』がすむようになった。
 人々は巨大な壁をつくりミシマを隔離したのだが、まだ生き延びていた人々も一緒に閉じ込められてしまい、その事実は秘密にされた。
 主人公である女子中学生、佐藤つぐみはミシマで行方不明になった姉の消息を知るために単身壁を乗り越え内部に侵入する。そこで出遭ういろんなピンチ。
 人を襲う化け物『敵』 敵と戦う『遊び人』 心荒み襲い掛かるミシマの住人 つぐみを捕獲しようとする『国家権力』
 そして最後に出会ったのは、赤い瞳をした謎の青年。
 彼こそは、ミシマに生き残る人々に『午前零時に現れ、どんな願いもかなえる遊び人』と噂された男、ピジョンブラッド(本人自称)だった。
 『敵』に襲われ血塗れになりながらも、つぐみはピジョンに「自分に関わった人間が傷つくのは見たくない」と願う。
 そしてその願いを叶えるため、ピジョンはつぐみを抱きかかえピンチを打破した。 

 結局姉探しの手がかりは何も見つからないまま一日が過ぎてしまった。


4 :akiyuki :2013/01/26(土) 23:08:08 ID:P7PitFPLL7

目覚め前

 夢を見ていた。

 どうやら夢の中では六歳くらいの女の子であるらしい。
 夜の海原を映したような髪をツインテールにした、なんとも間の抜けた顔をしていた。


 夢の中で、どうやら烏に襲われていた。
 翼をはためかせ、少女を爪と嘴で傷つける。
 比較的背の小さい少女にとって、その鳥類のそんな獰猛な姿を見るのは初めてのことで、そのちっぽけな鳥が、まるで自分より大きい怪物のように見えた。
 黒い翼が広がって、少女の視界を覆う。


 ぐぎゃあ ぐぎゃあ

 と威嚇するような声を出し、頭上で暴れる鳥。
 

 普通なら、頭を抱きかかえてしゃがみ、悲鳴を上げ助けを乞う。
 それが普通。

 けれど、少女は身を守るべき腕を振り回し、瞑るべき瞳でまっすぐにみつめ、逆に烏を威嚇していた。
 逃げるべきなのに、逃げられるはずなのに。

 勝てるわけがないのに、少女は戦おうとしていた。


 何故?


 
「くぉらー!!」
 誰かの声が聞こえた。
 声の主は叫び声をあげながらこちらに走ってきて、少女をついばもうとしていた烏を追い払う。
 青空に逃げてゆく黒い鳥をにらみながら、その女は肩で大きく息をしていた。

 涙でにじむ視界に、映る。
 長袖のセーラー服に濃緑色のスカーフ。袖や襟、スカートも同じ色で揃えてある。
 西条中学校の、制服。
 そしてそれを着るのは、今年入学したばかりの義姉。

「馬ッ鹿野郎!!」

 佐藤めぐみだった。

「何を野生生物に喧嘩売ってんの! ああ、もう血だらけじゃない」
 ポケットからハンカチを取り出して手の甲やら頬やら額やら、ついばまれ怪我したところを拭いてくれようとした。

 けれど、『私』はそれを拒んだ。
 差し出された手から、離れた。
「ちょっ、そんな抵抗されたら手当てできないって」
 少し困った顔をして、それでもめぐみは私に手を伸ばそうとする。

 そこで初めて身を守るように自分を抱きしめた。

「……つぐみ?」

 そこで姉は何かに気づいたようだ。

「あんた、服の下に何隠してる?」


 子猫の声がした。私の服の裾から、小さい、本当に小さいトラ猫が一匹。


「そのにゃんこ……。もしかしてこの前母さんに飼っちゃ駄目って言われた奴かい?」

 頷いた。

「まさか、烏を対マンしてたのも、そいつ護るため……」

 頷いた。

「それで、佐藤つぐみちゃんはどうして私からも逃げるのさ」

 少し考えて、でも本音を言った。


「だって、私が猫の世話してるってばれたら、お母さんに言いつけるでしょ?」
「言うわけねえだろこのカワイ子ちゃんめ!」

 即答して、姉が抱きついてきた。


 
 
 そして私は思い出した。
 これは夢ではない。
 昔、本当にあったこと。
 
 あのころ私は、姉のことを避けていた。


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