初めての雪


1 :快司 :2008/06/19(木) 18:37:31 ID:P3x7Ykrn

彼女が見たのは初めての雪。
白く冷たく・・・。
しかし彼女は、何故か分からないが、その雪が暖かく感じる。


2 :快司 :2008/06/19(木) 19:08:27 ID:P3x7Ykrk

序章

「何これ・・・」
少女が呟いた。
初めて見る光景。白く、冷たいものが空から降ってくる。
「きれい・・・。」
少女はその白いものを、手のひらに集めてみる。しかしすぐに溶けて水になってしまう。少女はそれが楽しくてしょうがなかった。初めて見る光景、初めての感触、全てが初めての体験だった。
「これは、雪って言うんだよ。」
と突然少年が隣りに立ち話しかけてきた。
ニット帽を被り、しわくちゃな洋服を着て、頬が赤く腫れ、鼻からは少し鼻水が垂れている。少女は少し驚いた。それはそうだ。突然話しかけられたのだから。
「さっき、お前、これ何、とかどうとか言ってたろ。」
と少年は、少女に尋ねた。
「う、うん・・・」
少女は弱々しく答える。
「これはなぁ。雪って言うんだ。ゆ・き!」
「ゆ、き?」
「そうだよ。雪。これはなぁ、冬になると降り出すんだ。綺麗だよなぁ・・」
と言うと少年は、空を見上げる。
「そうだね」
少女も空を見上げながら答えた。これは雪というのか、と少女は思った。

二人は、数分間何も話さず立ちつくしていた。少女は隣を見る。まだ少年は空を見ている。「どうしたんだろう」。すると、突然少年が、
「じゃ、俺もう行くわ。じゃぁねぇ!」
そう言うと少年は走りだした。
「ちょっ・・・。あぁ・・・。行っちゃった・・」
少女は慌てて少年を追いかけたが、少年はすぐにどこかに行ってしまった。
「あぁ・・。色々聞きたかったのになぁ。」
少女は再び空を見る。しかしもう『ゆき』は降っていなかった。


3 :快司 :2008/06/20(金) 22:01:01 ID:P3x7YkrF

序章2

「あぁ!!雪だ!」
雪が降ってきた。一年振りぐらいだろうか、雪を見るのは。
少年は歩きながらそのようなことを考えていた。今年の冬は暖かかった。しかし今日になっていきなり寒くなった。天気予報でも今日は雪かも、と言っていた。
少年は雪が降る中、公園に向かっていた。ルンルン気分でスキップしながら。
「あはっははは」
少年は笑って、回りながら道路を歩いていた。少年はこの光景が好きなのだ。空から雪が降る。一年に数回しか見れない。白く冷たい綺麗なもの。そしてこの場所には自分しかいない。一人だけの景色、一人だけの空間・・・
少年は公園に着いた。いつもよりも早く着いたかも知れない、浮かれているからだ。
『何これ・・・』
公園には、少女が立っていた。
「誰だろ・・・」
自分だけの場所に女の子が立っている。怒りがわいたが、その感情はすぐに消えた。少女の顔を見た瞬間に。
可愛い少女だった。少年の顔が赤くなる。そして、少女に話しかけた。
「これは、雪って言うんだよ」
少年は居ても立って入れずしゃべりかけてしまった。
「お前これ何とか言ってたよな。」
『う、うん・・・』
少し強い口調で言ってしまった。
「これはなぁ。雪って言うんだ。ゆ・き!」
『ゆ、き?』
「そうだよ。雪。これはなぁ、冬になると降り出すんだ。綺麗だよなぁ・・」
と言うと少年は、空を見上げた。
『そうだね』
少年は隣の少女を見れなかった。というより見られなかった。恥ずかしくて空しか見れなかった。
「じゃ、俺もう行くわ。じゃぁねぇ!」
少年は、恥ずかしくその場を去ってしまう。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
全力で走った。公園が見えなくなるまで。
「さっきの子誰だったんだろう・・・」
少年は再び空を見上げた。しかしもう『雪』は降っていなかった。


4 :快司 :2008/06/22(日) 16:07:28 ID:P3x7YkQF

初見

校庭の隅に一際目立つ木があった。本当に大きいその木はこの中学が建てられたときから立っている。その木には色々な噂があり、その木の下には死体が埋まっているだとか、その木の下で告白して上手くいくと、そのカップルは一生結ばれるなど・・・誰が作ったか分からない色々なうわさ話がある。
その木の下で本を読んでいる一人の男子生徒がいた。彼の名前は藤原俊彦。みんなからはトシと呼ばれている。中学3年。まじめな性格、成績はそこそこでき、人望も厚い。ルックスも結構いいほうだ。
トシは昼休みになると教室を出て、その木の下で本を読むのが日課となっている。この時間がトシは好きであった。透き通る風、何も聞こえず自然の音しか聞こえない。雲が動いている。「雲は自由で良いなぁ・・」とトシはいつもこんなことを考える。時間はすぐに過ぎていく。
「キーン、コーン、カーン、コーン・・・」
チャイムが鳴った。トシは重い腰を上げ教室に向かった。

「起立、礼!」
委員長が号令をかける。再び詰まらない授業が始まる。こういう気分が乗らないときは、空でも眺めるのが一番楽だ。
「あぁ・・雪降らないかなぁ・・」
今は5月。降るわけがない。
「またですか?ヒロ?その雪降らないかな発言」
後ろの席の神野がやれやれと言いたげにヒロに話しかけてきた。
神野とヒロは幼稚園からのつきあいだ。小学校の低学年の時は喧嘩ばかりしていたが、だんだん年を重ねていくにつれて仲良くなった。ゆえに二人は親友と呼ぶべきだろう。
「良いんだよ。俺は自然が好きなんだ。特に雪がな」
と神野にとびっきりの笑顔を返してやった。
「そこ話すのはいい加減にしろよ!」
教師が、二人に注意をする。
『はーい』
二人そろって返事をしてしまった。クラスから笑い声が聞こえる。

学校が終わり、ヒロが校門を出ようとした時、
「あのぉヒロ君。ちょっと良い?」
クラスの女子が話かけてきた。
「何?」
「あ、あのぉ・・・ヒロ君・・・。やっぱいいや。ごめんね。引き止めちゃって。」
少女の顔が少し赤くなる。
「うん。別に良いよ。また明日。じゃぁね」
ヒロが少女に笑顔を見せる。すると少女はさっき以上に顔が真っ赤になった。
「もてる男はつらいねぇ・・」
ヒロが歩いていると、隣りに神野がやってきて肘で突いてくる。
「いったい何のこと言ってr」
「あぁ、そんなこと言っちゃって、このこの」
再び肘を突いてくる。やれやれ。ヒロは歩くスピードを上げる。
「ちょっと待てって!」
神野が追いかけてくる。それを笑いながら、またスピードを上げる。いつも通りの日常だ。今日までは・・・


次の日、遅刻ぎりぎりに、神野が走ってきた。
「はぁ、はぁ・・間に合った。あぶねぇ」
「バカだなお前はいつもこんなんじゃ、幼なじみとして哀れに思うよ・・・」
と冗談を言ってると、担任がやって来た。
「急何だが、転校生が来た。中途半端な時期だがみんな仲良くな。じゃぁ入ってきてくれ」
と担任がうながすと、とても可愛らしい女が入ってきた。
「彼女の名前は・・・」
「あ、先生私が言います。私は佐々木佳奈です。ヨロシクね」
クラスの全員が彼女のことを歓迎していた。すると彼女はクラスを見渡しながら笑顔を降りまいている。
と彼女はヒロの顔を見ると、何を思ったのかずっとヒロの顔を見ている。
「おいおい。ヒロ。いきなり転校生がお前の方見ているぞ!憎いねぇ、色男!」
冗談はやめろ。とつっこむが確かにそうだ。なぜ自分の方をずっと見ているだ。だんだんクラスメイトも気付き始め、このままではまずい状態になる。
「じゃぁ、佐々木はあそこの席に座ってくれ。」
担任が促す。
「あ、はい」
トコトコと自分の席に座る。しかし、ちょくちょくこっちを見てくる。いったいどうしたんだ?


5 :快司 :2008/06/23(月) 20:04:26 ID:P3x7YkQF

初見1-2

「じゃぁ、佐々木の世話係を・・・この言い方は失礼か。慣れるまで一緒に付き添ってくれる人はいるか?」
「ヒロがいいと思いまーす!」
「バカ!?よせよ」
いいぞいいぞと、クラスメイトたちが合いの手を入れる。やめてくれ・・。
「佐々木、ヒロでもいいか?」
佳奈がヒロの方を見つめる。そしてヒロも。二人の目が合う少しの沈黙が流れ、
「べ、別に構いませんけど・・」
クラスには拍手が飛び交った。
「はぁ・・まじかよ・・・」
ヒロは机の上に倒れ込んだ。クラスはまだざわめいている。いい加減にしてくれ・・・

放課後、ヒロはブルーだった。昼休みは本が読めず、転校生に付きっきり。しかも放課後になっても校外を案内してくれと言われてしまい、仕方なくつき合っている。しかも神野やクラスの男子が後をついてきている。
「バレバレだよ・・・」
「ヒロ君何か言った?」
「何でもないよ。気にしないで。あぁここが図書館で、あそこが公民館・・・」
一時間以上案内した。正直疲れた。
「ねぇヒロ君。ちょっとあそこで休憩しない?疲れたよね?」
と佳奈がすぐ近くにある公園を指さした。
「うん。もちろんいいよ」
二人は公園のベンチに座った。端から見るとカップルに間違われても仕方ない。
「今日はごめんね。付き会わせて・・・」
「ううん。いいよべつに・・」
二人の間に沈黙が流れる。
「あのさぁ、佐々木さんってどこから来たの?」
ヒロが問いかけた。
「えっと・・・海外から・・」
「へぇ〜すごいじゃん。いわゆる帰国子女ってやつねぇ」
再び沈黙が流れる。


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