純白の光と漆黒の闇


1 :桜綺 :2006/12/07(木) 21:28:56 ID:PmQHxJzG

この話には現代なのに剣士がいます。
中学生が剣を振り回してます。(危っ

剣を振り回してる=流血など、痛い表現などもありますので
苦手な方はお気を付け下さい。


2 :桜綺 :2006/12/07(木) 21:50:47 ID:PmQHxJzG

第一話

・・・4月。

桜が咲くこの季節、中立 真尋(なかだち まひろ)は絶塚(たちづか)中学校に入学した。
真尋が通う絶塚中学校は優秀な剣士を育成するためのエリート校。
真尋の腰にも、刀が差してある。

真尋は2組の扉を開けた。
クラスは静まりかえっており、皆剣の手入れに必死である。
真尋が席に着くと、隣に座っている女子は真尋に話しかけてきた。
「・・・ねぇ、ちょっと失礼なこと聞くけど・・・貴方って男?女?」
真尋は隣の女子をきっと睨んだ。
「・・・俺が着ている服が女子の制服に見えるか?」
「いやー・・・。なんだか女の子っぽい顔に見えて。
あっ、あたし、吉渡 九十九(よしわた つづら)。」
「・・・中立 真尋。」
すると九十九はクスッと笑う。
「名前も女の子みたい。」
「・・・悪かったな。」


教室の扉が開き、一人の男子が2組に入ってきた。
その瞬間、教室に緊張の空気が流れる。

「・・・吉渡、なんで皆かたまってるんだ・・・?」
「・・・中立知らないの?あの人、今年の入学試験三位で合格した人だよ?」
九十九がひそひそと真尋に話す。
真尋は眉間にしわを寄せた。
「・・・でも一位じゃないんだろ?ああいうスカしたのって気にくわねぇ。」
「入学試験34位の中立 真尋君がそんなこと言えるのー?」
九十九はにやりと笑みを浮かべた。
真尋は「なんでそのことを知っている」と聞こうとしたが、やめた。


3 :桜綺 :2006/12/07(木) 22:14:58 ID:PmQHxJzG

第二話

放課後、真尋は人気の失せた廊下を歩いていた。
真尋は朝以来、入学試験三位合格の人物が気になっていた。
一体どれほどの強さなのか、どのような剣さばきをするのか、そればかり気にかけていた。


「・・・あ。」
真尋は思わず声をあげた。
目の前には、入学試験三位合格のあいつ(名前知らない)ともう一人男子がいた。
真尋は歩み寄り、剣を抜き、入学試験三位合格の方に向けた。

「・・・俺と、勝負しろ。」


九十九は図書室にした忘れ物を取りに行く途中、剣がぶつかり合う音を聞いた。
九十九がその方向へ向かうと、真尋と入学試験・・・(略)が真剣で勝負をしていた。
「わ、勇気あるなー。中立。」


金属同士がぶつかり合う音だけが廊下中に響く。
二人の刀は組み合ったまま押し合っていた。
「・・・そういえば、お前の名前・・・聞いてなかった。」
真尋がそう言うと、相手は数秒遅れて答えた。
「・・・風舞流(ふうぶりゅう)の正当後継者、西宮 風理(にしみや ふうり)。」
三位合格のあいつ・・・否、風理は真尋の刀を押し返した。
真尋はもう一度風理に斬りかかった。

真尋が刀を振り下ろすと風理はいとも簡単に避ける。
・・・真尋の口の端がつり上がる。
真尋は振り下ろした体勢のまま斜め右上に斬り上げた。

普通の刀では、打撲のダメージしか与えられない斬り方だが、
真尋の刀は風理の頬を切り裂いた。

「・・・両方を鋭く研いであるのか・・・。」
風理が頬を拭いながら言う。
「・・・なかなかいい刀を使うな、お前。」
「お前じゃない。中ノ太刀両斬流(なかのたちりょうざんりゅう)の正当後継者、中立 真尋だ。」


4 :桜綺 :2006/12/07(木) 22:35:54 ID:PmQHxJzG

第三話

真尋はもう一度刀を振り下ろす。
「・・・中ノ太刀両斬流・燕返し(つばめがえし)!」
もう一度先程と同じ技を繰り出した。
・・・だが、風理は体を反らし刀を避け、真尋の刀は空を斬った。

「もうその技は見切った。」

風理は一気に真尋に詰め寄った。
風理が振り上げた刀を真尋が受け止めると、真尋の体は数メートル先まで飛ばされた。



「・・・あの西宮って奴、思ってたより強い。」
九十九が現場で呟く。
すると、風理といた男子が口を開く。
「あいつの家はかなり名のある家だ。いわば天才型ってやつだ。」
「へぇ。・・・ていうか貴方誰?」
「人に名前を聞くときは自分から名乗るのが剣士の基本だが?」
そう言われ、九十九ははっと口を押さえた。
男子は思わずぷっと吹き出した。
「あたし、吉渡 九十九。九十九折り流(つづらおりりゅう)正当後継者。」
「そうか。俺は粉砕刃鋼刃流(ふんさいじんこうはりゅう)の正当後継者、児藤 葉眞(ことう ようま)だ。」

自己紹介がすんだところで、二人は観戦に戻った。


「さすがは入学試験三位合格。やっぱり強いな・・・。」
真尋は既に肩で息をしていた。
風理は息を少し切らしているものの、相変わらず無表情だ。

・・・先に動いたのは、風理。
一瞬で真尋の間合いに入り、蹴りを繰り出す。
風理の蹴りは真尋の手に当たり、真尋は剣を手放してしまう。

「もらった!」

風理は刀で真尋の制服と体を浅く切り裂いた。
真尋は剣を手に取り、立ち上がった。

「「・・・!!?」」

この場にいる全員(真尋以外)が驚愕した。

風理が制服を切り裂いた事により、真尋の胸元はさらけ出されていた。
・・・しかも、その胸元には男子にあるはずのない膨らみが二つ。

真尋を除く三人が驚きのあまりかたまっていると、数秒遅れて真尋がやっとで気がつく。


「・・・何してくれるんだ、馬鹿野郎ーっ!」


真尋の叫びが、廊下中に響いた。


5 :桜綺 :2006/12/10(日) 01:11:30 ID:PmQHxJzG

第四話

「まっさか中立が女の子だったなんて・・・。」

九十九はそう言って風理をちらりと見る。
「・・・何だ。」
「別にー?・・・まぁ、あたしは薄々気がついてたけどね。」
九十九がそう言うと風理は普段に増して眉間にしわを寄せた。

「・・・でも、何で中立は男装してんだ?
別に剣士になるんだったら吉渡のように女としてでもなれるのに、どうして。」
葉眞が真尋に問う。
真尋は頭の整理をつけて話し出した。

「・・・俺には双子の兄さんがいた。
昔は兄さんが中立家に伝わる中ノ太刀両斬流の正当後継者になるはずだった。
・・・だけど、兄さんは中立家を裏切って姿を消した。
だから、俺が正当後継者になったんだ。
中立家は男しか正当後継者にしないという決まりがある。
だから俺は幼い頃から男として育て上げられたわけだ。」
一通り話し終えると、真尋の顔は険しくなった。

「・・・兄さんは・・・中立を裏切り、たくさんの中立家の人を殺しすぎた・・・。
だから、妹である俺が兄さんを正しい道に戻してやらなきゃいけない。
この学校に入学したのも、そのためだ。」
「そのため・・・って、じゃぁ中立のお兄さんはこの学校内にいるってこと?」
九十九が尋ねると、真尋は静かに頷いた。
もうこれ以上の情報はないのか、真尋は口を閉ざした。

「そっかー。真尋も大変だね。
・・・よし、あたし達も真尋の手助けするよっ!」
真尋は驚いた顔で九十九を見た。
いきなり「真尋」と呼ばれたことに戸惑いを隠せないようだった。

「・・・待て。『達』ってどういうことだ。
俺達は協力する気なんて・・・」
「ない、とは言わせないよ?」
風理の言葉を九十九が遮る。
「真尋の胸見たの、誰だったっけー?西宮。」
九十九がそう言うと、明らかに風理の顔が赤くなるのが分かった。
その様子を見て、葉眞がくすりと笑った。

「・・・協力してやっても・・・構わない。」
風理がつまったように言う。
「へぇ、お前が人のために動くの、初めて見る。」
葉眞が笑いながら言った。
九十九は真尋に向かってグーをつきだし、その親指を立てた。
真尋は微笑んで九十九に同じポーズで応えた。


6 :桜綺 :2006/12/11(月) 22:23:30 ID:PmQHxJzG

第五話

桜の花が散り終わった並木道を真尋は通学のため通っていた。
しかし、真尋の表情は重かった。

なぜならば、今日は春の遠足の日だからだ。

しかも、単なる遠足ではない。
旅館に泊まるのだ。
旅館ということは、風呂はもちろん温泉。
男子達と混ざって入るなど、出来るわけがない。

ふぅ、と真尋はため息をついた。



「おっはよー、真尋ー♪」
「よぉ。」
「・・・。」
クラスに入ると九十九達がすでに来ていた。
真尋は席に荷物を置いて、九十九達に早速相談する。

「んー。誰もいないときに入る・・・とか!」
「いや、一般客もいるのに男風呂にはまずいだろ。」

九十九と葉眞はあれこれ案を出す。
風理はこういうのは苦手なのだろう、黙ったままだ。
「よしっ。真尋、あたしと一緒に女風呂に入ろう!」
「は?」
「決まり決まり♪」
真尋は了承していないままに九十九は勝手に話を進める。
真尋は納得のいかない顔で葉眞と風理を見た。
「・・・いいんじゃねーか、中立。女風呂だったら違和感ないし。」
「だな。」

結局3対1ということで、真尋は初めて女風呂に入ることとなった。


7 :桜綺 :2006/12/11(月) 22:43:52 ID:PmQHxJzG

第六話

遠足といえど、剣士育成のエリート校の遠足。
もちろん単なる遠足なわけがなかった。

到着するなりランニング10q。
終わると次はトーナメント方式の斬り合いだった。

「真っ尋ー。相手誰?」
九十九が後ろから声をかける。
「湖楼 奏(ころう そう)・・・だったような。」
「あ、その人知ってる。関西出身で、確か関西No4の中学生。
あたしはね、月夜 鋭士(つきよ えいし)って人だった。」

「関西No4か。強敵だな。」

突然の声に振り向くと、立っていたのは風理だった。
「西宮・・・。お前の試合相手は?」
「津垣 晃(つがき ひかる)。」
真尋の問いに風理は淡々と答える。

「・・・ふぅ、やっと終わったぜ。」

そう言って歩いてきたのは葉眞だった。
葉眞は試合を終えて来た直後なのか、汗を流している。
「・・・勝ったか?」
「当然。」
風理の問いに葉眞は歯をのぞかせて笑う。



「・・・第四試合に出場する選手、中立 真尋さん、湖楼 奏さん、ステージに来て下さい。」



流れたアナウンスに真尋に緊張が走る。
そして鞘を持つと真尋はステージに向かう。

「真尋ーガンバレー!」
「・・・まぁ、せいぜい頑張れよ。」
「気を抜くなよー。」

真尋の背に三人の激励がふりかかる。
真尋は一度振り向いて微笑むとステージに立った。


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甘辛流小説家ギルドGAIA
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