これが僕の、


1 :藤崎 茅 :2012/09/16(日) 15:40:18 ID:zAVcPmmc

夢の話。

大した内容じゃないけれど、年に1,2度。
酷いときは一週間連続で見たりもする。
しかも必ず、事細かに覚えているのだから面白い。

さて。前振りはこれくらいにしよう。

これから始まるのは、
僕が見てきたさまざまな夢の話。
色々とご都合主義だが所詮、
夢の中で作り出した話でしかない。

それらを踏まえた上で、どうぞ。


2 :藤崎 茅 :2012/09/16(日) 15:43:58 ID:zAVcPmmcrH

T

これが年に一度は必ず見る夢。

この夢を見るときは、
寝る前まで昔の事を思い出していた時が多いらしい。
如何せん夢のなかの話だ。
クオリティが低いのは見逃して欲しいね。


3 :藤崎 茅 :2012/09/16(日) 15:59:26 ID:zAVcPmmcrH

心臓が緊張に高鳴る。

この人の話が終われば、ここに集っている人達は全員敵になるのだ。
ビビり性の血が騒ぐ。
僕は飛び抜けて運動神経が良いわけでも頭が良いわけでもない。
なにもかも平凡。平凡極まりない。
それに比べ、このブロックに配属された彼らは、僕なんかよりきっと頭も良いし運動神経だってあるん
だろう。僕なんて開始早々狙われるか、囮にされること受け合いだ。
そんなのはごめん被りたいね。
いくらバーチャル世界とはいえ、痛いものは痛いだろうし。
何より無様な姿をさらしたくなどない。

「………では開始は30分後のチャイムの音で。ルールに基づき、公平なゲームを行うように。以上解
散」

解散と言われた瞬間散々になる人の群。
恐らくは武器を調達しにいったのだろう。 
このゲームのルールは簡単。
弾切れがないように特殊加工された銃で撃ち合い、あるいはナイフやらの刃物の類で切りあうだけ。
誰かと協力してもよし、騙し討ち闇討ち大いに結構。
ただし自殺はできないらしい。
代わりにリタイア用の脱出ボタンを付与された。
その脱出ボタンを利用して人質をとり全員をリタイアさせようなんて魂胆の奴もいるが、それはルール
で禁じられている。
あくまでも、一対一か複数対複数の戦闘でなくてはならない。

「はぁ…僕も行くか」

廊下を隠れ家はもう見つけておいた。
道すがら、回りの様子をうかがう。
階段の下に人の気配がある。
屋上にも影。狙撃するつもりなのだろうか、ならもう少し隠れるべきだ。

各教室…防弾ガラスが新しく新調されたようで、立て籠れば生き残りも恐らく可能だろう。
しかし、同じことを考える人は多いようで。既に派党を組んで立て籠られた教室が多々ある。

まぁ、ここじゃなくても場所はある。気に病むことじゃない、早く武器を手に入れないと。

そうして辿り着いた校長室。
もうめぼしい銃器は残っていないが壁に立て掛けられたスコープ銃を手に取り、振り返る。

「………あ、あった。これが良いや」

マシンガンに、ショットガン。
あと小型ナイフとサバイバルナイフ。

「これだけあれば充分」

袖の内側と腰にナイフを仕込み、肩にスコープ銃とショットガン、マシンガンをかけて、目当ての場所
へ向かう。

なるべく人目につかない所を足音を立てないように進む。
居場所がバレて狙われれば、今から向かう場所は行き止まりになる為、逃げる事も隠れる事も出来なく
なってしまう。
そうなれば、詰みだ。
それだけはなんとしても避けなければならない。

「……っ、よし着いた」

見上げたプレートには『旧蔵書庫』と記されている。

ここなら、誰も気付かない。普段は鍵もかかっているし、そもそもうちの学校で図書館の蔵書庫の奥の
こんなところまで来ないだろう。
そんな事を考えながらがちゃりとドアノブを回す。ギィイとドアが軋み、埃が舞い上がる。
一歩踏み入れた途端、湿気とカビ臭さに包まれる。潜むには絶好の場所じゃないか、なんて思いながら
低い戸をくぐり、持ち込んだランプに明かりを灯してからドアを閉める。
階段を下っていけば、本棚と乱雑に積み上げられた本が山積みになった場所に出る。
万が一攻められても本が邪魔して簡単には動けないだろうし、奥へ潜んだ僕に少しだが勝ち目はある。
それに校舎はなるべく維持するように義務付けられている為、破壊工作も行えない。

一先ず腰を落ち着ける為、武装は動き回りやすいよう最小限におさえ、回りに古本を二重、三重に積
み、煉瓦のようの組み上げた要塞を作る。カモフラージュに普通に積んだ本もいくつかあるし、一杯に
つまった本箱も5、6個積んでおいた。手前からみれば、古本が大量に積まれているようにしか見えな
いだろう、多分。

「うまくいけば勝てる…かも」









目覚めたら、16時。
始まってからもう7時間が経過している。

「武器の手入れしながら寝ちゃったのか」

解体してしまった銃を素早く組み立てながら辺りに人の気配がないことを確認する。
誰の気配もないことにほっと一息つきながら、少し見えた勝利の兆しに気を緩めてしまったことを反省
する。

「油断大敵。しっかりしろ、僕」

そう呟いて、頬をパンパンと叩き気合いをいれる。

その時。

だだだだっと多数の足音が響き、入り口の扉付近を悪態を付きながら蹴りつける音が聞こえる。

「…………戦闘か…」

スコープ銃を構え、ドアを見遣る。
開ける気配はないが、いつ入ってくるかわからない状況にかわりはない。
スコープ銃を下げた瞬間、銃声が一発響いた。
それにつられるように銃声が次々と響き渡る。
本格的に銃撃戦が始まったらしい。

徐々に銃撃の音は少なくなっていき、最後に一発。
悔しげに叫ぶ男の声をかき消すように、鳴り渡り、止んだ。

静かになった書庫の空気を微かなバイブ音が振動させる。


4 :藤崎 茅 :2012/09/16(日) 16:04:09 ID:zAVcPmmcrH

途端。

世界が暗転して天井を見上げていた。

御察しの通り、僕は目を覚ましたわけだ。
耳元でけたたましく携帯のバイブが鳴っている。

もしこれが平行世界の僕の記憶であるならばなかなかに面白いんじゃないか
などと思いながら未だブンブンと震え続けている携帯を止める。

時刻は7時15分。


5 :藤崎 茅 :2012/09/16(日) 23:26:32 ID:zAVcPmmcrH

おっと、今更だが登場人物の紹介を。

・橘 瑛(たちばなあきら)
まぁ一番上だから察していただけたとは思うが、僕だ。

・桐原 零(きりはられい)
親友1。鈍感、しかし妙なところで鋭い。

・西園 悠里(にしぞのゆうり)
親友2。驕らないし奢らない金持ち、つまり守銭奴。偏食家。


この親友どもは後々出てくる筈である。


6 :藤崎 茅 :2012/09/30(日) 21:54:06 ID:zAVcP7QJoG

U

気付けば、僕は全力で逃げていた。
階段や動かないエスカレーターを3段飛ばしで駆け上がったり一息に飛び降りたり、エレベーターに飛
び乗ったり。
時には隠れたり、潜り込んだりもした。
それでも逃げ切れなかった。
振り返ると白い影が蠢いていて、まるで招き寄せるように手を振っている。
その白い影は徐々に実態を表し、灰色の塊になり、スピードを増した。

「畜生がァ…!」

一旦外に出て、鉄柵を乗り越え一階へと飛び降りたら、振り返ることなく疾走する。
しかし、背後で鈍いどすんという音が響く。まさか、と思って振り向けば灰色の塊は、柵を押しきり柵
ごと落ちてきた。

「ふざけんなよ、そのまま怯めクソ野郎!」

そんな罵倒じみた祈りも届く筈がなく、
灰色の塊は、四つん這い状態で、更にスピードを増して追ってきた。
あれほど巨大ならば急な方向転換も出来ないだろうと思い、ぐっと踏みとどまって、ギリギリまで引き
付け横に避けた。
ドガァンと物凄い音を立てて、壁にぶち当たった灰色の塊は、止まった。

逃げ切れる、と確信し建物の中へと逃げ込む。
さすがにあの巨体で、これほどに狭い建物を走り回るのは無理だろう、と物陰に隠れ、灰色の塊の方を
見る。

ゆっくり、のたのたとよろけながら、壁から離れた巨体は、キョロキョロと辺りを見回し、僕の姿がな
いことに気づいたらしい。ブルブルと震え始めた巨体は、大きなわめき声を上げ、

あろうことか分裂しだした。

「ふっ…ざけんなよ…化け物め…!」

小さく悪態をついて、人より2回り程大きくなり、二足歩行まで始めた灰色の怪物共を見遣る。

「どうやって逃げ切れってンだよ…!」

トイレは駄目だ見つかったら逃げられないそれこそ詰みだ。 なら屋上か? いざとなったら飛び降りっ
しかねェけど…
どうせクソみたいに強いんだろうから、
最終的にはその手しかないだろう。
あいつらに殺されるくらいなら、自分から飛び降りて死んだ方が何千倍もマシだ。
恐怖心立ち止まっている暇も振り返っているはない。
非常階段へのドアを蹴り開ける。
多分効果はないと思うが扉を鍵ごと閉めてから、階段を2段飛ばしで駆け上がる。
躓きそうになりながらも必死に登り続ける。
階段が途切れる先に、扉。しかし当然のごとく鍵がしまっているわけで。

「ふざけんなよ…」

心臓が恐怖にばくばくと鳴り続けている。
丁度下で壁にぶつかる音がして、階段が振動する。

がたんと何かが壊れるような音と共に、屋上へと続く扉がぎぃと軋んだ音を立てながら開いていく。飛
びかかるように扉の隙間に手をかけ、勢いよく扉を開く。
ぶわりと風が吹き抜けた。
フェンスの向こうには、闇しかない。
落ちたらどうなるかなど考えたくもないが、そんなことに構っている暇もない。
フェンスをよじ登って越える。
わずかな足場に足を下ろしたとき、扉の向こうから灰色の巨体が現れた。

「は、来たのか。来るよなぁ。狙いは僕だもんな」
影がにやりと笑ったように見えた。
「でも残念だったな」
走り出した巨体が手を伸ばす。その手から逃れるように、

後ろに飛んだ。



空を見下ろしながら落ちる。


そう言えば誰かが、
飛び降りてから地に着くまで約3秒と言っていたのをぼんやりと思い出す。
屋上から此方を凝視している灰色の巨体を見て、笑った。



「僕は、お前の物にはならないよ」


7 :藤崎 茅 :2012/09/30(日) 22:05:26 ID:zAVcP7QJoG

「…っ?!」
地面にぶつかると同時に飛び起きた。
ばくばくと鳴り続ける心臓の音だけが夢の名残だった。
「っあー…、夢か」
汗でベッタリと張り付いた服を脱ぎ捨てる。
時刻は6時27分。
些か早いが、今から寝れば確実に遅刻するだろう。
それに、もうあんな夢はみたくない。

鳴り続ける携帯に向き直りながら、溜め息をついた。


この2つめの夢は、決まって精神面が非常に不安定なときに見るものだった。

この夢を見始めた原因は、
中学時代、俗に言うメンヘラに類する同級生に
付きまとわれたからだった。
もう疾うに関係は切ってあるが、未だにトラウマだったりする。

思い出すだけでも身震いものなので、
詳しくは、またいつか。


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