夢のまた夢


1 :塚里一 :2008/08/13(水) 12:39:20 ID:ocsFuDuk

 むしゃくしゃして書きました。いつまで続くかわかりません。
 まぁ,全年齢向けの同人ノベルでも見るような気持で見て下さい。
 ちなみに,登場人物の大半は俺の知り合いがモデルです。
 それでは,楽しんで下さい。


2 :塚里一 :2008/08/13(水) 12:41:44 ID:ocsFuDuk

 広大なキャンパスに,青々と茂る木々。ポプラ並木やイチョウ並
木で知られるこの大学のメインストリートを,俺は彼女と歩いてい
た。夢にまで見た状況。俺は,彼女をチラチラと横目で見ながら,
ついついにやけてしまう顔を整えるのに必死だった。
 高校の同級生でった彼女とは共に浪人し,同じ予備校に通い,そ
の果てに俺は地元の医学部に,彼女は離れた土地の看護科へ進学し
た。メールのやりとりを続けること4か月。
 「大学に遊びに来いよ。案内してやるぜ」という俺のメールに彼
女は首肯の意を示し,今に至る。まさに至福。世界は俺を中心に回
っているのか。こみ上げる笑いを抑えることが出来ない。
 「ねぇ」そう言って彼女は俺の方を向いた。俺は,ん? と彼女
と目を合わせる。
 「私ね……」
 あぁ,ついにこの時が来たのだ。これ以上ないほどの高揚感。俺
は高鳴る胸を押さえて彼女の唇が動くのを待った。
 「○○のこと……」
 さぁ,さぁ。次の言葉を早く。さぁさぁさぁさぁ!

 PiPiPi! PiPiPi! PiPiPi!

 一瞬でフェードアウトする意識。やけに欧米的な音が俺の頭の上
で鳴っている。その発生源(ポンコツ目覚まし時計)に正拳突きを
食らわせて息の根を止める。ベッドの上に体を起して呼吸を整えた。
また,この夢か。いつまでも未練を引きずる男だな。俺も。
 はぁ〜あ。と大きなため息をつきながら再びベッドに横になる。
あれからもう一月か。枕元の携帯電話を開いて,よせば良いのに
メールボックスを見てしまう。
 そんな余韻に浸る間もなく階下から親の呼ぶ声が聞こえた。そう
いえば,今日から大学だったな。うぃ〜,とか言いながら階段を降
りていった。

 大学の近くの駅で友人と待ち合わせをする。学部は違うが中学の
同級生でまぁ,仲はいい。相変わらず背中に長モノを背負っている。
居合道部に入っているこいつは,ギャルゲのヒロインの名前をその
刀に付けている。アホとしか思えん。ちなみにその命名は彼のブロ
グで大仰に告知され,必殺技と固有結界の名前まであるというのだ
から驚きだ。もっともその命名に俺が一役買っているのだが。
 「で,どうする?俺たちには大学をさぼる権利とゲーセンに行く
権利があるが,お前はどちらを選ぶのかな?」
 新学期初日から容赦のない奴だ。だが,まともに授業に出る気も
しない。少し考えて俺はこう答えることにした。
 「ふむ。お前と違って未来有望な俺は,大学をさぼることなどで
きない。故に午前中はトレセンで,その後ゲーセンに行こうではな
いか」
 「相変わらずの筋トレオタだな。おk,同行しよう」
 そう言いながら携帯を取り出して,メールを始める。あらかたい
つものメンバーに午後からゲーセンに行くと連絡しているのだろう。
全く用意のいいことだ。感心しながらメールが終わるのを待ち,そ
のままトレセンへ向かった……。


3 :塚里一 :2008/08/14(木) 13:19:41 ID:ocsFuDuk

Day Dream 1

 「見どころは多々あるが,俺のお勧めはこの博物館だよ」
 俺はそう言って彼女の手を引いた。レンガ造りの壮大な建物に入
っていく。総合博物館。この大学における研究成果の貯蔵庫にして,
一大劇場。自分のいる大学を紹介する上で,この場所ほどおあつら
え向きな場所はない。この日の為に,案内員講習に忍び込み,展示
の説明の練習も済ませてきた。つまり,今この空間は俺のフィール
ドだ!何人の干渉も許さず,ただ俺の意思のままに動く。まさに最
高のデートスポット。これぞ真のGスポ……!
 いかんいかん取り乱してしまったようだ。体の前に広げれた両手
を慌てて戻す。彼女が不思議そうな顔でこちらを見ているのが妙に
イタイタしい。何をやっているんだ俺は。
 この博物館は一般市民にも無料で公開されている。自身の研究成
果を惜しみなく曝すのは総合大学故の余裕なんだろうか。まぁ,旧
帝大の末席なだけはある。一階から順に展示物を説明していく。彼
女は眼を光らせて聞いてくれている。これぞ,至福の時。何より,
誰かに認めてもらいたい気質の強い俺は,こういう状況に実に弱い。
饒舌が過ぎる。
 ちょっ,ちょっと待って。と彼女が俺を制止した。そんなに説明
されても覚えられないよ。と,彼女はいう。

 ―――それに,○○と一緒にいれるだけで……

 そこまで言って彼女は頬を赤らめた。心なしか俺の顔も熱くなっ
ているようだ。俺もそうだよ,と言おうとしたが中々声が出ない。
何故だが胸が苦しい。今更何を緊張しているんだ俺は。それに顔が
ますます熱くなって……。

 「って,アチぃ!」
 跳ね起きた。その拍子に何かが跳んで行く。俺はゆっくりと立ち
上がってそれを拾いに行くことにした。どうやら筋トレの後の無空
のポーズの最中に眠ってしまったらしい。そして,また彼女の夢を
見た,という訳だ。最早夢と言うにはリアルすぎる世界。というよ
りも俺に都合よく構成されたシナリオ。妄想世界が繰り広げられて
いる。しかし,トレーニングの後とはいえ,こんな時間に寝てしま
う俺ではない筈だ。疲れているのかな?
 そう考えながら(思いのほか遠くまで跳んで行った)物体を視認
する。手に取る。仄かに熱い。反対側を触る。べたべたする。そし
て,熱い。不思議そうな顔でそれを見ているとそれの所有者であろ
う男が現れた。
 「おう。起きたか?」
 ここに一緒に来た悪友だ。トレーニングセンター内だというのに
私服で動き回っていやがる。諸悪の根源はこいつの筈だ。だが,心
優しい俺は釈明の余地を与えてやろう。
 「あぁ。いくつか聞きたいことがある」
 「なんだ?」
 「先ず,これは何だ?」
 そう言って,俺は手の中のものをそいつに向かって放り投げた。
 「貼るほっかいろ,だが」
 そう言ってあいつはそれをキャッチせずにゴミ箱にスルーパス。
 「何故,そんなモノがここにある。今の季節は夏だぜ,血沸き肉
踊るサマーだぜ!?」
 「いや,もう秋だが。オートマムだが。まぁ,鞄の中に新品同様
で入っていたんでな。有効利用させてもらった」
 「ほう。どのように利用した?」
 やばい。キレそうだ。俺のハートフルドリームをぶち壊したコイ
ツをどうしてくれようか。俺の腰が低めに沈む。
 「幸せそうな寝言を言ってる男の顔に貼り付けてやったのさ!」
 俺達は同時に動いた。俺は前方(そいつの方向)にタックルし,
そいつは横に跳躍。機転を利かせて俺はタックルの姿勢から飛び込
み前転をする。相手にガラ空きの背中を突かれるのを防ぐためだ。
そのまま身体を捻りながら起こし,正対する。見合ったのは刹那。
俺達は互いに前進した。俺は投げを狙い,奴は丹田への掌打。腹筋
に力を入れてやり過ごす。相手の襟首を掴み,そのままキャストオ
フ! だが,その瞬間相手は後ろに跳んでいた。態勢を崩した俺は,
無様に地面に這いつくばる。
 「で,どんな夢みてたんだ?」


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