あの童話のうらがわ改


1 :モーグリー :2009/07/24(金) 23:07:50 ID:nmz3k7u3

すいませんパスワード忘れました。

このお話は童話のうらがわを作者が考えたらこうなりました。

1話の執筆期間は一週間とハイペースで書ききったため、
もしかしたら読みにくいかも知れません。
更新は基本一週間ごとです。
それ以上早めると閲覧数が伸びないので・・・。

あと、感想室でコメントくれるとテンションが上がって、
童話のストックが増えるかもしれません。


3 :モーグリー :2009/07/31(金) 19:13:02 ID:nmz3k3Pc

こうして、狩人は満足しながら森へ帰っていきます。
狩人が森を歩いていると、狼と出逢いました。
 「おぉ、狼か」
 「なんだ、狩人か」
この狼は妖怪の一種で、とても賢く人の言葉を話し、人に化ける能力を持ち合わせていました。
それと、肉や肝は人にとって毒なので美味しくありません。
そうなので、狩人は狩ったとしても得が無いので無視し、狼は狼で食べるには分が悪いし、成人男性は不味いので無視してました。
 「狼よ、どこに行くんだ?」
 「森の魔女の家に」
 「そりゃ、またなんで?」
 「調子が悪いらしく、赤い者を見ると妖怪化してしまうらしい」
 「それで?」
 「さっき、魔女の曾孫に逢って、赤いずきんを被っていたから危ないだろ?
            寄り道させて、今、それを魔女に伝えに行くところだ」
 「じゃあ、早くいけ」
狩人がそう言うや否や、狼は目の前から消えていました。
 「大変だなぁ…」
狩人は家路を急ぐのでした。
狼が魔女のおばさんの家に着きました。
狼が扉を開けると、布団を被って、休んでいる。
おばさんがいました。
 「おぉ、狼かい?」
 「おばさん、あんたの曾孫が、赤ずきんを被ってやってくるぞ!!」
 「本当かい?マズいねぇ」
 「呑気に言ってる場合か!!曾孫を食べちまうかも知れないんだぞ?」
狼は必死におばさんに伝えます。
 「そうさねぇ〜、あんたが、わたしになってくれ」
 「はっ?化けろと?」
 「そうそう」
しかし、狼が化けるには条件がありました。
それは、化ける対象を丸呑みして、腹に入れておくことでした。
 「ほれ、入るよ」
 「ちょ、ちょ、フガゴフ、ゴックン…」
おばさんは狼の口の中へ、無理やり入り込みました。
仕方ないので、狼は化けます。
しかし、若干狼の体内の赤色を見たおばさんの、妖気にあてられ、不完全に化けて、
口、耳、手が狼と人間の中間ぐらいになってました。
しかし、狼は慌てていたので気付かず、ベッドにもぐり、寝たフリをし始めました。


4 :モーグリー :2009/08/08(土) 06:41:09 ID:m3knrDW3

 「なんで、わたしゃがこんな目に…」
狼が嘆くとお腹が内側から引っ張られます。
 「いでで!暴れるな!」
ガチャ
 「ばぁちゃん大丈夫?」
赤いずきんを被った赤ずきんちゃんが現れました。
 「うぅーん、うぅーん」
 「おばあちゃんの声はどうして、そんなにしわがれてるの?」
 「ちょっと風邪ひいちゃってね、ゴホゴホ」
 「おばあちゃんの耳はどうしてそんなに大きいの?」
 「お前の声がよく聞こえるようにだよ。赤ずきん」

……省略

 「おばあちゃんのお口はどうしてそんなに大きいの?」
狼はなんかもううっとしくなったので、
 「お前を食べるためだぁ!!」
狼はキレました。
赤ずきんを頭からかじりつこうとくわえます。
しかし、腹の中のおばさんが慌てて暴れ出し、
更に赤ずきんが暴れたので、また丸呑みしてしまい、
おまけによろめき、レンガの暖炉に頭をぶつけて気絶してしまいました。
おばあちゃんも赤ずきんちゃんも
狼が倒れた衝撃で気絶しました。
しばらくして、狩人がさっきの狼の話を聴いて、なんだが胸騒ぎがしたので
魔女の家に訪れました。
扉を開けると、腹が異常に膨れた狼が倒れています。
 「おい、狼!?どうした!?」
狩人が揺すると狼が目覚めます。
 「あぁ、狩人か…」
 「どうしたんだ?いったい?」
 「お腹の中に、赤ずきんとばあさんが…、取り出してく…」
ガクッと、狼はまた気を失いました。
 「取り出せって…、言われてもなぁ…?」
狩人は悩みます。
しばらく悩み、ハッと思いつきます。
 「そういや、さっきの刃物でやれば…、」
先ほどの発明売りの少女から買った
切れ味の良い刃物『メス』を取り出して
狼の腹に切り込みを入れ、中を傷つけないように内側にみねを押し付け、
裂くように切り開いていきます。
 「これ、なかなか難しいな、っと」
まず特殊な力に包まれた赤ずきんを取り出し、
更に切り開き、同じ力に包まれたおばあちゃんも取り出しました。
 「なんだこの膜?おそらく魔女の力だろう…。
  さて、あとはえーと、こうして、ここがこうなって、これでどうだ?」
狩人が本に乗っている通りに縫合すると、
傷が無いように見えるぐらい綺麗に縫えました。
 「さっ、狼、起きるんだ」
 「むっ?うぅん?腹が軽い…」
 「早く逃げろ、赤ずきんに説明する時に不便だ」
 「むっ?あぁ、わかった」
狼は狩人と出会った時と同じ速さで森に消えていきました。


5 :モーグリー :2009/08/14(金) 11:01:49 ID:m3knrDW3

赤い頭巾と赤いケープをこっそり隠してから、
狩人は赤ずきんを起こします。
 「ふぇ?狩人さん?こんにちは〜」
  「あぁ、こんにちは、ほら、おばあちゃんだよ」
 「あら?おばあちゃん、床で寝るから体調が悪くなるんだよ〜、ほら、起きて〜」
赤ずきんがおばあちゃんを揺すります。
 「あら、赤ずきん、よく来たね〜」
おばあちゃんは赤ずきんを抱きしめます。
  「俺はお邪魔みたいだな」
狩人は扉を開けて、家の外に出ます。
扉を閉める時、赤ずきん越しにおばあちゃんがウィンクをしてきました。
狩人は、少し驚いた後、ニコッと笑って、扉をゆっくりと閉じます。
しばらくして、赤ずきんが出てきました。
 「あれ?狩人さんまだ居たの?」
  「あぁ、ところでおばあちゃんは?」
 「私と話してたら疲れたって、言って寝ちゃった」
  「そうか、なら、はい、これ」
狩人は赤ずきんの赤い頭巾と赤いケープを差し出します。
 「ワァ!!ありがとう!!狼に盗られたと思ってたの!!」
赤ずきんちゃんは大喜びで頭巾とケープをつけました。
  「取り返しておいてあげたんだよ」
 「ねぇ?狼を追っ払ったのも狩人さんなの?」
  「そうだよ」
 「どうやってー?」
  「それはね……」
狩人は赤ずきんちゃんの家まで、
どうやって追っ払ったか、嘘の武勇伝を話しました。
幼い赤ずきんちゃんは
この武勇伝を信じきってしまい、大人になり、この武勇伝を元にした
有名な童話を書くのですが、
みんなはそのうらがわにこんなお話があったのは
赤ずきんちゃんには内緒にしておきましょうね☆









6 :モーグリー :2009/11/12(木) 13:58:03 ID:nmz3k3Pc

第2話 注意書き

グロテスク描写や暴力的な描写がされています。
苦手な方は読まないことをオススメします。


7 :モーグリー :2009/11/12(木) 14:00:24 ID:nmz3k3Pc

第2話 三匹の子豚

ある時仲の良い
子豚と狼がいました。
子豚と狼はある時約束をします。

『五年後にあおう』

こうして五年間、子豚と狼は別れた。

狼は五年間生き抜いていた。
生きるために走りつづける為の肺を作った。
特殊な技術も身につけた。
五年後に会う子豚に恥じないように守れるように。

子豚は別れた後、生き別れた兄弟と会った。
子豚は三匹になった。
三匹は協力してレンガの家を建てた。
ある時、子豚がレンガの家を持つのに腹を立てた魔女がいた。
魔女の家は藁と木の2つ。
魔女は子豚達の家を襲った。
子豚は二匹殺された。
狼と約束した子豚は魔女に呪いをかけられ、
記憶を消され、年をとらない、
魔女のことを主人と思うだけの操り人形になってしまった。

そして、五年後の約束の日、狼は訪れない子豚を必死に探した。
すると
魔女に襲われどうなったかわからない。
という事を聞いた。
狼は怒り狂い魔女の元へと向かった。


8 :モーグリー :2009/11/19(木) 06:24:38 ID:nmz3k7u3mH

魔女はレンガの家で子豚に鍋を煮込ませ、自分は薬品の倉庫と化した藁の家で薬
品を探していた。
すると嗅覚を頼りに狼がやってきた。
狼は魔女に
「子豚をどうした!!」
と家の外から大声で問いかけた。
魔女は身の危険を感じ隠れていた。
「返事をしないと言うなら直接聞くまでだ!!」
狼は身につけた特殊な技術による大声で藁の家を吹き飛ばした。
吹き飛ばされた家の後から魔女は慌て逃げ出す。
近くにあった木の家の中に隠れる。
「どこに行こうと同じだ!!」
藁の家を飛ばしたように狼は木の家を吹き飛ばした。
魔女はまた慌て逃げようとするが、足の速さで狼に追いつかれ、切り裂かれてし
まった。
狼は魔女の首を持ってレンガの家の子豚の元へ向かい、こう叫んだ。
「子豚よ!!お前を縛る者は俺が倒した!!もし生きているのなら約束を果たそう!!

生首の魔女はまだ生きていた。
最後の気力で子豚に改ざんした記憶を返し、魔法をかけた。
それに気づいた狼は魔女の頭を叩き壊す。


「うわぁああアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
子豚はいきなり記憶が返され、叫んだ。改ざんされた記憶は
狼との約束、
兄弟達の家、
そして、
兄弟が死んだということ
魔法は兄弟達が自分のそばにいるという幻覚。
幻覚の兄弟は言う。
「狼が僕らの家を吹き飛ばして食べにきた」


狼は子豚の叫びに心配し歓喜した。
生きていたことに対しての喜びと魔女に何かされたのでは?
という心配。
慌てた狼は扉を開けようとしたが扉はビクともしない。
大声でレンガの家を吹き飛ばそうとしたがビクともしない。
狼はさらに慌てどこか入る場所を探した。
そして、煙突を見つける。
「今、助けにいくぞ!!」
煙突から狼は中に入った。
しかし、その下には巨大な鍋が。
狼はその中に落ちた。
すぐにでも中から出れば狼なら全身が火傷を負うが命は助かっただろう。
しかし、狼は一時的に動きを止めた。
入った鍋の前に子豚がいたからだ。
「こ、子豚…、たす、けに…」
狼はただれた手を子豚に伸ばした。
しかし、子豚はニコリと笑顔になり、狼の手を無視し、鉄製の蓋をした。
「ハハハッ!兄さん達、やったよ!!狼をやっつけた!!でも、なぜか涙が出てくるん
だ。狼をやっつけたのに…、やっつけたから嬉しいんだよね?アハハハハハハハ
ハハハハハ!!」
涙を流した子豚の渇いた笑い声だけがその場に響いたとさ。
END


9 :モーグリー :2010/06/12(土) 18:33:48 ID:scVco3WDtm

第3話

これは、そう、
とっても迷惑なお話。

たいそう力をもった。陰陽師がいました。
その陰陽師またたいそうな変わり者で、
都では宝の持ち腐れで有名でした。

ある早朝、そんな陰陽師が都で川沿いを調査という名目で散歩していました。
するとお椀が流れてきて、草に掴まりました。
陰陽師はなんとなくお椀の傷付き方が気に入ったのと
不思議な何かを感じ、お椀を拾います。
お椀の中にはよく見ると不思議なとても小さな若者がいます。
若者は体に似合わず、大きないびきをかいて寝ています。
陰陽師はしばらく若者を観察した後。
 「おい、若僧。おきよ」
陰陽師が若者の頭を人差し指でつつきながら起こします。
「んっ…?ンッ!?」
若者はお椀の上で立ち上がります。
「おい!あんた!!ここはどこだ!?」
 「ここか?ここは都だ」
「都!?それは真か!?」
 「嘘ついてなんになる」
「そうか、とうとう都か!」
若者は爛々と目を輝かせます。
 「して、若僧、このお椀はお前の物か?」
「むっ?いかにも、このお椀と箸を使って川をくだってきたのだ。」
 「ふむ…、都には何をしにきたのだ?」
「うん?それがしはもののふとなって、孝行息子になりにきたのだ!」
 「ふむふむ、若僧、なら今からお前を武家屋敷に連れて行ってやろう」
「なんと!?それはありがたい!!」
 「代わりにこのお椀を儂にくれるか?」
「おお!!こんなお椀で良いなら喜んで差し出そう!!」
そう言って若者は陰陽師の肩の上に飛び乗りました。
「さっ!早く案内してくれ!」
 「ほいほい」
陰陽師は武家屋敷に向かいます。
 「そうじゃ、若僧、お前の名は?」
「んっ?それがしは一寸と言う」
 「そうか、では、一寸、落とされるでないぞ」
陰陽師は一歩、踏み出した。
踏み出すと言っても地面にではなく。
空に。
「へっ?」
一寸が抜けた声を出す。
 「ほっほっ!!ヒョ〜イとな。」
陰陽師は空中を跳ねながら武家屋敷へと向かっていく。
「ちょっと待っ、ガッ、そん、なに跳ね、ゲフッるとそれがし」
 「黙っておれ、舌を噛むぞ」
陰陽師がそういうと、
一寸の口はがっしりと閉じて、一寸が開けようとしても、
びくともせず開かなくなってしまいました。
それから陰陽師が数十歩歩いて、都の山の麓にある武家屋敷につきました。
 「ふむ、あらよっと、と、な」
陰陽師が空を歩き、
武家屋敷の警備の者達を無視して屋敷の奥の庭に降り立ちます。
 「ほれ、ついたぞ。一寸とやら、もうしゃべってもよい」
陰陽師は一寸を木の葉の上に下ろしてから、そう言います。
するとさっきまでビクともしなかった一寸の口が開き、
一寸は胃の中の物をもどしてしまいました。
「ウグッ、ウエッ、エグッ、うぷっ、ひどいめにあった…」
もどし終えた一寸は口の端を拭いつつ陰陽師を睨みます。
「やい、お主、武家屋敷まで連れてくるのは良いが警備の者に許可を得てないではないか!!」
 「ふむ、吐き終えたか。巻け、落ちよ」
一寸の訴えも聞かず、陰陽師は一寸を木の葉からつまみ上げて、
木の葉に向かって言います。
すると摩訶不思議な事に木の葉は丸く纏まり、枝から落ちました。
「やい、やい!!お主!!それがしをからかっておるのか!!」
 「まぁ、落ち着け一寸、そうガミガミ言うでない、儂は天才じゃから大丈夫じゃ」
「なぁにが天才か!!ガミガミ(以下略)!!」
一寸が騒ぎ陰陽師が眉をひそめていると、
「あら、そこにいらっしゃるのは、陰陽師様では?」
屋敷の方から優しく透き通るような声が陰陽師に投げかけられます。
 「うむ、おぉ、姫様。ご機嫌いかがかな?」
「えぇ、おかげさまで、とても調子が良いの」
陰陽師が振り返って挨拶する。


10 :モーグリー :2010/07/28(水) 03:32:26 ID:tcz3uerAz7

内容:
そこには一輪の花が咲いていた。
一寸には少なくともそう見えた。
新雪のように白く、絹のようにキメ細かな肌。
夜空のように黒く、青葉のように艶やかな髪。
整った目立ち、袖で隠されている口元を、懇願してでも見たくなってしまうような魅力。
そして、その美しさの中にどこか儚げさを漂わせている。
一寸は口をあんぐりあけて、見とれてしまった。
 「それは喜ばしい。そうです。姫様に面白き男を連れて参りました」
  「まぁ、陰陽師様が面白いと感じる方なんて珍しいですね。それでその殿方はいずこに?」
姫が口に手を当てて首を傾げる。
 「ほれ、ここに」
陰陽師はつまんでいた一寸を手のひらに乗せて、姫の前に差し出す。
  「まぁ、可愛らしい。お人形ですか?」
姫は惚けた一寸の頭をツンツンとつつく。
  「これ、一寸挨拶をせぬか」
 「ハッ!!姫様お初にお目にかかります。我が名は一寸、この身朽ち果てるまでお伴したく参りました。」
一寸は正気になって、姿勢を正し、姫に頭を下げた。
  「まぁ、あなた生きてるの?」
 「はっ、このような小さい身なりでございますが、男児でございます。」
  「人形だなんて言ってごめんなさいね。一寸。」
 「滅相もございません!!」
 「そうです姫様。このものをからくり人形のように、姫様の遊び相手として雇うてくれませぬか?」
 「なっ!?」
  「まあ!それは実に楽しそうです。お父様にお願いしてみますわ。陰陽師様の推薦が御座いますものきっと聞いてくださいますわ。」
 「それがしはものふがふがが」
一寸の口を陰陽師が押さえつけて封じます。
姫はそんな様子も気にせず、陽気に楽しみで期待に満ちた表情をして、
屋敷の別棟に向かっていかれました。
それを陰陽師は見送った後、指などを噛んでいる一寸を解放します。
 「やい!お主!話が違うではないか!からくり人形だ!?お遊戯の相手だと!?それがしはもののふとなってだな!!」
  「まぁまぁ、落ち着け一寸。考えてみるのじゃ、もののふとなってもお主の着物や鎧、刀を誰も用意はしてくれぬ。」
 「う、うむ…」
  「それにお遊戯の相手であるという事は姫様の御身が危のうなった時に守れるではないか、もし、守ったとしたらそれは立派な手柄となり出世も夢ではないぞ?」
 「な、なるほど!!」
一寸は陰陽師の話を疑いもせず。信じ込みました。
その後、一寸は無事召し抱えられ、姫様のお遊戯相手として雇われます。
「ふむ、良かったの、では、儂はこれで。お主にたまに勉学を教えに来てやろう」
そう言って陰陽師は来たときと同じように空を歩いて帰っていきました。
それから星々が三回ほど回りました。
陰陽師はたまに空からやってきて姫と一寸に勉学を教えてまた帰っていきます。
姫様は年を重ねるごとに麗しくさらに艶やかになっていきました。
そんなある日、丑寅(東北)の山から鬼が下ってきました。
その鬼はとても強く、死者は出さねども、
刃が通らず、弓は射抜けず、人の大きさほどもある石を投げられてもモノともしませんでした。
一度は陰陽道のもの達が必死に追い返しましたが、
また3日後やってくると鬼は言って山に帰りました。
陰陽道のもの達は精根つき果て、回復には3日では足りません。


11 :モーグリー :2010/08/16(月) 08:56:39 ID:tcz3ueQnVk

すぐに武家の者達が呼び出されました。

「鬼の通り道として都の中心を通って、未申の方向に抜けていくもよう」
 「お主のところの屋敷は鬼の通る道で二条の大橋の手前だったな」
「二条の大橋を通られればすぐに天皇のおわす場所です」
 「なんとしても二条の大橋は守らねばなりません」
「馬や車が通りやすいように屋敷は取り壊す」
 「ハッ」
「あのうつけの陰陽師はなにをしている。先の撃退戦に参加してなかったようだが」
 「はっ、今なお、行方は知れておりませぬ」
「あの者さえ居れば…」

こうして一寸達のくらす屋敷は取り壊され、
姫は父の命により、女の身なれど長刀をもって、一寸は縫い針を腰に差し、二条の大橋に向かいました。

「姫様、御身が危のうなりましたらお逃げくだされ、この一寸、姫様を守るために鬼を一時でも止めてみせましょう」
「ふふ、一寸、大丈夫ですわ、この二条の大橋の前に二千軍勢、さらに橋の真ん中に千の軍勢。
 そして、私たちがいる二条の大橋の終わりに五百の軍勢。鬼がいくら強かろうとこの軍勢の前にはなすすべありませんわ」
「そうで御座いますが、もしもの時にはお逃げください」
 「約束はできません。一寸も一緒でないと」
「姫様…」
一寸の目頭がジーンと熱くなったがぐっとこらえ

「姫様、拙者の」
「鬼だぁ!!鬼が現れたぞ!!」
一寸は言いかけた言葉を止め、声のする方を振り向いた。
白く長いたてがみを振り乱して、赤鬼が軍勢の攻撃をものともしないで向かってくる。
槍で突かれようと槍の方が折れ、刀で斬りつけようとも刀が折れ、
矢はそのたてがみに振り払われ、竹の柵は踏み潰され、軍勢の中には戦う為に用意した馬で逃げ出す者、川に飛び込んで逃げようとする者、それに巻き込まれて川に落ちる者、
皆、蜘蛛の子を散らすように、恐れ、おののいていた。

一寸の周りの者達も皆、命惜しさに逃げ出している。
しかし、姫は長刀を構えて、猛進する鬼の前に立つ、一寸はその肩の上。
鬼が姫の長刀の前で立ち止まった。

「ミツケタゾ!!オマエ、ミヤコイチウツクシイヒメ!!」
 「鬼の言葉などききとうありません!!」
鬼はしげしげと姫を眺めた後

「タシカ、ミメ、ウツクシイ!!イタダク!!」
鬼は姫に手を伸ばしてくる

 「させぬ!!」
一寸は鬼の言葉に無我夢中で鬼の前に立った。
といっても、姫を捕まえようとしていた鬼の指先にだが。

 「ナンダ?ムシ?」
「我もののふなり!!鬼よ!!姫に手を出そうというなら、我を倒していけ!!」
 「グァハッハッ!!トメル、ムダ」
鬼はそう言って一寸を掴んで

「クロウテヤル」
口に放り込んだ。
一寸は噛まれてはいけないと喉に飛び込む
口内に飛び込んだ一寸は、鬼の唾液に衣服が溶けていく中、
鬼の喉奥に飛び込んだと同時に腰に付けた縫い針を刺す。

「ゲフッ!!ゲフッゲィフッ!!」
それと同時に鬼がむせた。
針はポキッと折れて、一寸はあえなく口の外へ、

「のわぁああ!!」
鬼の口から勢いよく飛び出た一寸はむせた鬼の鬣に絡まる。

「イダイ、イデェ!!」
鬼が喉をかきむしる。
今までどんな業物も通らないで痛みを感じた事もなかったであろう鬼の体。
その体に始めて走る痛み。
それはもう凡人より痛みに弱く、そして苦しみも人一倍です。

「イデェヨォ!!ヌケェネェ!!」
鬼は長い鬣や腰布から暴れ回って、宝物やらガラクタやらを振り落とす。
姫はすっくと立ち上がって

 「鬼よ、我が僕の一寸ならばお主の口に入り、針を抜けよう。
  お主がこれ以上暴れないと誓うのであれば、一寸に抜くよう命じます」
「ワ、ワカッタ、チカウ、チカウ。ヌイテグレェ」
 「わかりました。鬼、痛みでも暴れてはなりません。一寸、抜いてやりなさい。」
鬼は姫にそう言われて、大人しくなり、鬣に絡まっていた一寸は命からがら這い出して。

「はっ、御意」
鬼の口に飛び込みます。
刺した針の元に着きますが、一寸の小さな体で鬼の生命力を維持する管から抜けるはずがありません。
急がないと鬼の唾液で体が溶けてしまいます。
一寸は渾身の力で針が刺さった場所に指を挿し、針を抜きやすいようにしようとしました。
しかし、鬼の血は思ったよりも力強く

「のわぁああ!!」
一寸は針ごと血に吹き飛ばされ口の外へ、

「イタイ、ナイ」
「もう大丈夫、針は抜けました。山にお帰り」
「ウガ、カエル。」
鬼は機嫌よく鼻歌混じりに潰した街の上をドシドシと踏んで山に帰っていきます。
鬼は嘘をつけない生物なので、もう暴れることはないでしょう。

鬼の姿が見えなり、姫はへたりと座り込んで一息つきます


12 :モーグリー :2010/08/16(月) 11:54:14 ID:tcz3ueQnVk

「ま、守る事が出来ました…」
「姫様!!姫様!!」
「一寸?どこです?」
一寸がいたのは鬼がもがいた時に落とした物の山。

「無事でしたのね。んっ?これは…。一寸、血を拭いますわ」
「そんな姫様、フガフグ」
姫は鬼が落としていった小槌を一寸についた鬼の血を拭いながらこっそりと拾います。
拭いきって、一寸に姫は聞きます

「一寸、あなた何か願い事はあります?」
 「願い事でございますか?」
一寸は小首を傾げながらそう言う。

「そう、願い事。今回の褒美になにか差し上げますわ」
 「そうでございますか、ですが姫様、拙者の欲しいモノは手に入れられないのでございます。」
「なぜです?」
 「拙者は姫様の近くにいられるだけで幸せだからです。」
「それは困りました・・・。」
 「ああ、そのようなお顔をなされないでください。拙者の欲しいモノですね。うーむ…、」
困り顔で考える一寸。
「そうです!拙者の欲しいモノは姫様を此度のような偶然ではなく、しっかりと守れる大きく丈夫な体です。それを得るためにひ」
「そうですか、では、大きくなぁれ」
姫は一寸の話を遮り、一寸の上で木槌を一振り。
するとどうしたことでしょうか。

一寸の体が巷の男達に優るとも劣らない大きさになり、
衣もそれに合わせて大きくなったのです。

「これはいったい・・・!?」
 「陰陽師殿が前にお教えくださった。神秘の宝、打ち出の小槌を鬼が落としていったのですよ」
「なんと…」
  「むすめよぉおおおおどこだぁああああああああ」
一寸が絶句していると遠くから姫の父親の声がする。
姫が弾むような軽やかな足取りで父親がいる方へ向かう。

 「さぁ、一寸、お父様のとこへいきましょう。ついてきてくれますよね」
振り返り、微笑み、目を細めながら一寸に手をさしのべる。

「無論、この身尽き果てるまで、おともいたします。」




その後、鳶が姫の打ち出の小槌を持って行き山の中に消え、
星が幾らかまわった後、一寸が鬼などの魑魅魍魎に対抗するために陰陽師殿の勧めで法師となったのはまた別のお話。

これで不思議な木槌と若者の物語は終わらない。
もう少しだけ続きます。


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甘辛流小説家ギルドGAIA
produced by COLUN.