ひまわり


1 :テラー :2009/03/29(日) 19:08:52 ID:PmQHsnPJ

 ずーっと未来。世界は、全体的に陸続きになっちゃっていた。
 えらいこっちゃ、国境どうしよう。なんて騒いでいたけど、国という国がどんどん減っていった。
 今じゃ、日本領と同じでかさの「村」なんて当たり前だった。
 環境がバカみたいに変わってしまって、人間はもちろん動物にも影響が出てきた。
 妖精みたいな鳥とかその辺を飛び回ってるし、二足歩行の蛙とかもいる。しかも喋る。
 そんなファンタジーな世界になってしまったころ、また事件が起きた。
 世界中のありとあらゆる花が消えてしまったのだ。
 みんなまたえらこっちゃ、って騒いだけど。それから数百年、あんまり大変なこともなく、普通に暮らしてきた。

 ある日、またまた事件が起ころうとしていた。

 小さな辺境の町、リベア。ここで、その町の長老と以下数名が暗い祠で今年もいい年でありますように的なことを神様に頼んでた。
 すると、突然地震が起きて、祠の壁の一部にひびが入った。長老たちは急いで避難して、地震が止んでからもう一度祠に入った。
 祠には、神様を書いた絵が壁全体に描かれている。その絵の太陽の部分だけが、見事にひびで割れてしまっていた。
「こりゃ、神様のお告げじゃ! 近々太陽がなくなっちまうぞ! えらいこっちゃ!」
 で、人類またまた大騒ぎ。こりゃ、なんとかしなくちゃね。


2 :テラー :2009/09/13(日) 22:14:43 ID:rcoJsJs7

1 旅に出よう

「というわけで、弥恵(やえ)様お願いしますじゃ」
「却下」
 信仰と献身の町、リベア。ここは古くから神への信仰が盛んで、小さな町の中心には大きな神社があった。
 その神社に名前はなく、ただ「現主言奉(げんしゅげんぽう)の社」と呼ばれていた。
 なんでそう呼ばれるようになったのかは知らないけれど、とにかくそう呼ばれていたのだから仕方ない。
 そして、その神社には1人の巫女さんがいた。なぜ神主ではなく巫女なのかというと、完全に書いてる人の趣味だからだ。

「なんと! 巫女様がお断りに!」
「きっと巫女様ですら手におえない状況なんだ!」
「巫女様の法力でも太陽の消滅を止められないのか!」
「このままでは、本当に太陽が消えてしまう!」
「えらいこっちゃ!」

 長老とその取り巻きが騒ぎ始めた。
「いやいやいや、私に法力とかないから。てか、太陽の消滅って信じられるわけないじゃないですか」
「どっこい、こちとら証拠がありんす」
 もはや何を言ってるのかわからないが、取り巻きの1人が写真を手渡した。
「これは?」
「湖の祠にあった壁画の絵です。ほら、太陽のとこだけひびが入ってるでしょ!」
 言われてみてみる。確かに、古代エジプトっぽい絵が描かれた壁画の太陽だけが、不自然に割れていた。
「神のおつげじゃー! 神のおつげじゃー♪」
 長老がまた騒ぎ始めた。最後の音符のマークで若干イライラした弥恵だったが、とりあえず本当にやばそうなのは把握した。
 が、知ったところでどうしようもない。自分に特別な力があるわけでもないし、法力とか勝手にこの人たちが作った設定だし。
「まあ、大変なのはわかりましたけど、私にどうしろというんですか」
「待っておったよその言葉!」
 あ、やっぱりむかつくこのじじい。弥恵は、湧き出る怒りを抑えるの精一杯だった。
「実はですな、この世には太陽の代わりとなる花があるそうなのですじゃ」
「太陽の代わりになる花?」
 そんなバカな。普通はそう思うけど、弥恵はぜんぜん思わなかった。だって、ここはもうファンタジーな世界なのだ。昔じゃ考えられないくらい。
「全盛期のわしなら、バんなそカな! って一蹴してたところですがのう。いかんせん、この世の中はずいぶんとファンタジーになったもんじゃ」
 聞き覚えのあるフレーズがあったが、とりあえず無視する。

 確かに、昔はもっとごてごてした狭い世の中だったというのは、弥恵も大人たちに聞かされていた。もっとも、その大人たちもその上の人たちから聞いただけの話らしいが。
 そう思うと、このじいさんは一体何年生きているんだろうと思う。軽く300歳くらい? 弥恵は、変な想像を頭から振り払った。
「で、そんな花があったとしても、もうこの世にはその花はないんでしょ?」
 そう、花は何百年も前に消えてしまったのだ。昔は陸続きではなく、いろんな大陸に分かれていたと聞く。それが突然くっついちゃって、環境が変わってしまったせいか花が住みづらく、絶滅したんだろうといわれていた。
 ……そう考えたら、長老は300歳どころじゃないなぁ。弥恵は、もう一度変な想像を振り払った。
「いや、だから弥恵様のところに来たのですが」
「……はい?」
 花が絶滅してたから自分のところに来た?
 弥恵の頭は、結構パンク寸前だった。
「覚えていないのですか」
「その昔、弥恵様は」
「お母上との散歩のときに」
「花を見たとはしゃいで」
「町中のみんなに」
「自慢しに」
「来たではないですか!」
 取り巻き4人が、一列に並んで一言いっては後ろに戻りつつ、弥恵のところへ来た理由を述べた。
 弥恵から見れば、ハッキリいってぶち切れても許される行為だった。
 というか、案の定ぶち切れた。
「あんたらは人をおちょくって楽しいのかぁーッ!?」
 どこからか薙刀(なぎなた)を取り出し、乱暴にそれを振り回した。
 長老と取り巻き3人は、ぎゃーぎゃーと慌てふためく。が、

 バシッ!

 無造作に振られていた薙刀は、一瞬でその動きを止めた。
「げっ!?」
「なってませんぞ、弥恵様! さては、修行をサボっておられましたな!」
 取り巻きの1人が、簡単にそれをつかんでしまった。
「さすがアルベルト!」
「武術に関しては誰にも負けない!」
「よっ! 脳筋野郎!」
 最後のはほめ言葉とは思えないのだが、本人はたいそう喜んでいた。
「とりあえず、最後まで話を聞いてくだされ」
 長老は、何事もなかったかのように続けた。
 話をぶち切る要素を作っていたのはどちらだろう。弥恵は、そう考えるだけで殺意が沸くのだった。


3 :テラー :2010/01/03(日) 14:34:42 ID:rcoJsJuGkc

 果てしなく続く草原。そこには、いろんな生物が住んでいた。でも、主に凶暴な性格だった。
 そんなわけで、非常にゴツゴツした体のイノシシ数匹に追いかけられている2人の男たちは、外ってすごい危険な場所なんだなぁと実感していた。
「おいミキ! あのイノシシ共すごくやばいぞ!」
「そうだね。でも、地図によればもうすぐ町が見えてくるはずだから、そこに逃げ込めば……あっ」
 ミキと呼ばれた男が、前方を見て絶句した。
「どうした……あっ」
 背中にでかい剣を背負ってる男も、絶句した。
「……イノシシってさ、突進力がものすごいらしいんだよね」
「……」
「成人男性でも、直撃食らったら重傷は免れないんじゃないかなぁ」
「なんで今それ言うんだ?」
「……予備知識で覚悟した方がいいかな、と」
 2人の会話は、そこで止まった。前方に見えるは、群れを成すイノシシ数匹。
 後ろは、いつの間にかさらに数を増したイノシシ数匹。
 ほぼ同時に突進してきた。2人は泣いた。
「り、リース! ちょっとは抵抗しようよ! その背中のでかぶつだって飾りじゃないでしょ!?」
「もとからその気だよ」
 リースは、背負っていた剣を握り締める。
「どらああぁぁ!!」
 気合をこめて、リースは立ち向かってくるイノシシに剣を振り下ろした。

 ガンッ!

 剣を相手に振り下ろした場合、刃物であるわけだから切れるのが普通だ。
 だがしかし、リースの振り下ろした剣は、イノシシを切らずにでかいたんこぶを与えて気絶させるのみだった。
「ええっ!?」
 ミキは驚いた。
「ええっ!?」
 リースはたいそう驚いた。
「!?」
 イノシシまで驚いた。
「おおぅ!? なんだこれ、錆びすぎだろ! 完全に鈍器と化してるじゃねぇか!」
 自慢の剣の変わり果てた姿に、リースは若干泣きそうになった。
 しかし、鈍器と化そうが武器は武器。少しだけだが、希望が見えてきた。

 みしっ!

 そんなことはなかった。リースの持っている剣は、先ほどイノシシをたたきつけたショックで中心に大きなヒビが入った。
「ワァオ」
 万事休す、そんな単語が思い浮かんだ。
 武器を使えないと悟ったイノシシたちは、2人を取り囲むように寄ってくる。今すぐにでも突進を仕掛けてきそうだ。
 リースは嫌な汗しかでなかったが、最後の願いを込めてミキを見た。
「おい、ミキ。アレ(・・)を使えないのかよ」
「使いたいけど、この辺なんもないしなぁ……」
「雑草ならあるじゃねぇか」
「……試してみようか」
 イノシシに囲まれた状況の中、ミキはカバンから本を取り出した。
「頼むよ、雑草たち」
 そして、なにやら呪文のようなものを唱え始めた……。


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