クルセイド


1 :OKOTAKO :2007/04/14(土) 00:12:05 ID:mcLmumQH

はじめまして。OKOTAKOと申すものです。
なにを思ったか突然、小説を書いてみました。
グデグデのお話になる予定です。
あと初心者ですので、なにとぞ暖かい目で見守ってください。

誤字脱字その他いろいろな指摘、お願いいたします。


2 :OKOTAKO :2007/04/14(土) 00:13:39 ID:mcLmumQH

クルセイド

突然。世界を、構築する、すべてが、・・・止まった。

世界を構成するすべてが色あせた。

寸前まで聞こえていた街の雑音も。道行く人も。談笑中の友人も。広場の時計塔も。
・・・全てだ。

―――――ああ、またか。

少女は声には出さず嘆息する。
もういつの頃からだろうか。最初なんて思い出せない。少なくとも、ここ2,3年ではないことは確かだ。
理由なんかわからない。意味なんて知らない。ただ、分かることは・・・・


『私は、世界に取り残されている』


そう。万物にとって平等であるはずの“時の流れ”に、自分はたまに見捨てられるのだ。
それでも以前はまだよかった。少なかったのだ。今よりも。
発生は不規則ではあったが、せいぜい数ヶ月に一度あるかないかだったし、停止時間も恐らく10秒程度だった。

しかし、だいたい3ヶ月ほど前・・・今年最初のオリーブの植え付け期のころから事情が変わった。もちろん原因なんて分からないが、月に定間隔で2、3度必ず停止が起こるようになった。
停止時間も30秒から長くて2分ほどになった。さらには、停止/解除そして停止というように連続して起こり始めたのだ。

「・・・・はぁ。」

今度は声に出して息をついた。
少し曇り気味の空を見上げ、隣の友人を見つめ、街の雑多を見る。
何も、なにも、ナニモ、全て、すべて、スベテ、停止した静寂の世界。

本当に、これはなんなのだろうか―――

独り静かに思考する。

・・・今日はいつまでこの孤独を味わえばいいのか。

ふと、もしずっとこのままだったら。など、いやな考えが頭によぎる。

無意識に両の肩を抱き、目を閉じる。
大丈夫。なんとなくだが、分かる。
この孤独は長くは続かない。きっと今日ももうすぐ終わる。
そんな気がする。根拠なんてなにもないが、それでもある種の確信めいた何かがある。
だから、きっと―――――


「―――っと。―――――ちょっと!どうかした?ちゃんと聞いてるの?」

音が戻った。

色が戻った。

風を感じた。


――――世界が、動き出した。


ゆっくり目を開き、隣の友人を見る。さっきのように色あせた灰色ではなく、きちんとした肌に、色彩を感じるコーディネート。

「いや。なんでも。ちょっと目にごみが、ね。」

咄嗟に返答し、場を取り繕った。
知人は少しいぶかしむが納得し、話を続けだした。


少女は曇り気味の空を見上げ、最後にもう一度、嘆息した。


3 :OKOTAKO :2007/04/14(土) 00:15:26 ID:mcLmumQH

クルセイド

――――ああ、まただ。

いつもの検査の途中。突然、白衣の人が動かなくなった。
それだけじゃない。見ると、私に繋がれている検査機も動いてない。
心音、脳波、ともに停止。・・・・0ではない。波の形をしたまま、まったく動かない。
壁を見る。いつもは染みひとつない純白。でもいまは少しくすんだ灰色。
この空間で色彩を保っているのは、私だけ。
ふと白衣の人の腕時計を見る。10時22分34秒

しばらく見ていても動く気配はない。

「・・・ふぅ。これは、いったいなんなのでしょうか。」

もういつの頃からだろうか。最初なんてわからない。少なくとも、ここ2,3年ではない。
私がこの施設に連れてこられたのが4年前。12歳になった直後だった。
その頃はすでにこの空間を知っていた。というより、物心ついたときには、もう知っていた気がする。よく覚えていないが。

だが、昔に比べ、最近はずっと頻繁に起こるようになった。
昔は忘れたころに、ふとやってくる程度だったのが、最近では2週間ごとにやってくる。
いつもだいたい同じ時間だ。それに加え、動き出したと思ったらまた停止、ということも少なくない。
止まっている時間も長い気がする。正確にはわからないが。

私は、この施設が大嫌いだ。

ここに来てからほとんど太陽を見ていない。
いつも人工灯の味気ない光ばかりだ。肌なんて不健全なまでに白くなってしまった。
・・・・いや。もとから結構白かったですけど。

一度、この現象を利用して外に出ようとした。
もう少しでうまくいきそうだったが、結果失敗した。
エントランスに着いたとき、急にみんな動き出したのだ。白衣の人たちは「いつの間に、こんな場所に。」と不思議がっていた。

だが、そんなことはどうでもいい。
失敗した。・・・でも成功しそうだった。
白衣の人は気付かなかった。だったら、もう少し長くみんなが止まっていたら・・・・きっとここから出れる!

私は静かに目を閉じた。1、2、3、4、5、―――ゆっくり数を数えていく。
120、121、12・・・

「―――おい、聞いているか?04(フィーア)。おい!」

120秒。カウント前の思考時間を考えるとプラス60秒前後といったところか。

これなら、いける!

私はゆっくりと目を開け、

「はい。聞いています。―――検査はすみましたか?」

いつもの台詞を口にした。


世界からも見捨てられた静寂の時間。
私は、とても待ちどうしい。
誰もが忘れた時間だから。私はそれで救われる。
恐らく次も、2週間後。―――――私はようやく、世界(そと)に帰れる。






ここに連れてこられて以来。私は初めて笑顔を思い出した。


4 :OKOTAKO :2007/04/14(土) 11:51:09 ID:mcLmumQH

クルセイド

―「転校生」―

0、

「くそっ!なんで僕がこんな目に!」

少年は夜の市街を必死に駆けながら迫り来る理不尽に向かって叫んでいた。
背丈は170前後、顔はいたって平凡だが、右手には無骨な自動拳銃。

左手には・・・いや、左腕には同年代と思われる少女を抱いている。
少女は明らかに異国風の外見。腰まである見事なアッシュブロンドに蒼の瞳。
くっきりした鼻梁に小さな口。一言で言えば、美人だ。

「巧(たくみ)!この愚鈍!急ぎなさい、追いつかれるっ!」

・・・・口さえ開かなければ文句はない。

障害の少ない大通りではすぐに追いつかれるだろう。すばやく脇にあった狭い路地へ飛び込む。

走る、

走る、

走る。


――まだ気配がある。


勘に従い振り向きもせずに気配へ発砲。

弾弾弾弾弾弾弾ッ!

「■■■■■■■■■■ッーーーーー!!!!」

深く響く絶叫。・・・いや、咆哮か。
どちらにせよ気配は消えていない。
左右の分かれ道。迷う暇はない。反射的に左に曲がる。
そして少年はその失敗を悟った。

―――行き止まり(チャックメイト)!?―――

振り返る。目の前には、10を超える異形のなにか。
―――いや、知っている。こんな醜い化物(バケモノ)なんか見たことも聞いたこともないが、それでも遺伝子(ほんのう)が理解(わか)し(っ)ている。これは・・・この怪異は。

「っ!!」
腕の中で少女が息を飲む。
少年も覚悟を決め、瞳を閉じる。



世界が、白く染まり、そして、少年は・・・・・


novel plaza system
甘辛流小説家ギルドGAIA
produced by COLUN.