誰でも書き込める創作日記


5 :異龍闇◆AsVGmnGH :2007/05/05(土) 05:39:46 ID:QmuDsJYm

アクションシーンの書き方について


 感想室での酋長さんからの要望によりアクションについて筆を取ってみようと思います。
 今回は細切れのシーンだけでなく、私がアクションを組み立てる際の総合的な視点から語りたいと思います。
 少し長いですが、お付き合い戴けるとありがたいです。

 まず、これは私の考えですがアクションには色々と下準備が要ります。

【構成把握】
 自分の作品に対してそのアクションが本当に必要なのか考える事から始めます。こと作品によっては
アクションを昔の皇帝ばりに「来た、見た、勝った」で済ましても問題ないものがあります。言わば、何処に
重点を置くのかを見極める事です。作品の中でそこが見せ場となったり、主題となるならキチンと書き込むべき
だと私は感じます。純文学ではちょろっと喧嘩が有ったくらいで終わる表現も、アクションを主題にするなら
そこだけが回想シーンに入ることもままありますね。私自身、生かしきれないアクションであるなら無くした方が
作者のためになると感じることがあります。やはりアクションは様々な描写を入れるために読者の理解を促すのが
難しく、的確に描写したつもりでも読者の知識では理解出来ないものもあると思います。ですから、アクション苦手
だなー、と思うのでしたらスッパ切ってサラッと流すのもありだと私は感じます(むろん挑戦するのは多いにあり
でしょう。限界は誰も定めてません)。


【分析】
 で、作品にアクションが必要だと感じたら、次は自身が既に作ったキャラクターの分析で、そのキャラが生かせる
アクションを見つけます。
 私がよくやるのはテーブルトークRPGなどのキャラクター作成を基準にしています。これを採用するのは既に
ゲーム化、システム化されているのでキャラ同士の比較が簡単だからです。
 例えば私の場合はGURPSを基準にしてますので、

能力:
 体力(筋力と疲労の総合値)
 敏捷性(運動能力)
 知力(知識量と創造力を含んだ頭の良さ)
 生命力(傷に耐えられる度合いや死ににくさも含む)
特徴:
 反射神経や我慢強さなど、特定の恐怖症や痛みに弱いなどのゲームの特殊な状況での有利不利を表す、魔法の基礎レベルなども含む
技能:
 例えば剣、短剣など武器ごとに分けた技術の上手さ、鍛冶技術や物理など、熟練度や知識量も扱う

 と言った形でキャラクターの中身を詳しく読み込みます。
 例えば、能力によって違った戦い方が出来ると思います。体力と生命力があれば重戦士のように敵を蹴散らし、
攻撃を受けながらも闘うスタイルでしょうし、敏捷性と知力が高ければ、いわゆる盗賊タイプの暗殺的な戦いとなるでしょうし、
また特徴で魔法や超能力、気功などが使えるのでしたら、それを基準にした戦略を立てる事となるでしょう。
 魔法の傾向によっても違うでしょうから、それも考えるのは作者の楽しみかもしれませんね。
 技能は、例えば、能力も低く、有利な特徴(関節外せるほど柔軟だとか)がなくても、帳消しにしてしまう事があります。
 言わば、見た目ヨボヨボの爺さんが陳式太極拳や楊式太極拳や武式太極拳や簡化二十四式太極拳とか二十六式六合太極拳とかで
黄色い嘴の若造の奴らをブッ倒すカタルシスを味わうのがこれですね。
 大抵(GURPSの場合は)、技能は敏捷力や知力を元にしますので、ある程度の技能があるなら、元になる能力は高いと思います。
ですが、「昔から才能が無かったからこれしかなかった」と言う説得力を数値で示し、小説で書き起こすのも私はありだと思います。
(むしろ【燃え】ますね!)
 上記に加えて、性格的な傾向を加えるのもありかもしれませんね。最後は必ず足技で決めるとか、スロースターターだけど
スイッチが入れば徐々に敵を圧倒していくなんて感じですね。

 むろん、上記の分析の手法は私個人のやり方なのでドラクエ方式が良いとか言うのは作者のご自由にしてください。

 また、そう言った場合には技能にたいする知識がある程度必要ですので、あまり知らない場合にはぼんやりと、抽象的に
書く方がよろしいかと思います。例えば、商業で出ている作品でボクシングのスエーとダッキングを間違えていたりとかある
みたいです。この話の意味が分からなかったら、少なくとも『すぐに』ボクシングの話を書くのは止めた方がいいですね。
下調べなどは重要です。


【状況作成】
 敵味方双方のパラメーターが作成された時には次に戦う状況をします。
 まずは、私の場合には戦闘の世界観、世界全体の大枠から決定します。
 例えば魔法が一般的で無い世界で、味方が使えて敵が使えない時には、時には大軍を引っ繰り返す事になるかもしれません。
 一般的であれば初っ端から火力に任せての打ち合いになるか、必殺技として温存しておく事があるかもしれませんね。
 また世界観では戦闘のリアルさも付け加えます。
 相手が二人以上ならかなりの戦闘技術を持っていても確実に苦戦するのか? それともドラゴンボールみたく戦う人間が常人を
遥かに超えた戦い方をするのか? この辺りをイマイチ記述しきれないと、読者が頭の中で想像出来ずに『?』が付くでしょう。
その中間だとしても、空を自由自在に飛ぶのか、壁を足場にして走る程度なのか、自転車にやっと追いつけるくらいは普通に走れる
のかでもイメージは違ってくるでしょう。その辺りを始めに記述しておけば、例えば、主人公が滅茶苦茶足が速くても、空中から攻撃
する敵に苦戦するといった状況を作ることが出来ます。

 私が個人の小説を見てたまに思うのが「結構主人公とかスンナリ勝っているな」って印象ですね。本当に十派一絡げの雑魚なら
まだしも、特撮で言うなら怪人クラスの敵に作戦も勝機も理由も無く勝つのは私個人としては納得いきません。地形、隠し武器、
仲間からの支援、敵の弱点、それらをついてようやく勝てるくらいでもおつりが出ると思います。
 むろん、主人公が圧倒的に強いと言う設定であれば良いでしょうが、多少は変動がつまらないでしょう。
 まぁ、沈黙シリーズのスティーブン・セガールやリベリオンのジョン・プレストンのように絶対に負けないと言う、ある種ギャグの
領域まで高めるのもある意味ありだとは思いますが、それもサジ加減次第ですね。

 あとは世界観が出来たら戦う状況です。
 制限時間はないのか? 人質や何かの要素で能力を不利に制限されていないか? 戦う人物はその戦闘の中でパワーアップ
とかするのか? 本当に戦いに勝つことで勝利は得られるのか? 主人公や相手はどんな戦い方を好むのか?
お互い能力をどの程度知り合っているのか? 罠や他の隠された要素は無いのか? 戦っている場所は平面か? それとも空か、
建設中のビルの鉄骨の上か?

 そんな感じで状況を決めたら、世界観に合わせた戦い方です。
 リアルなら現実的に先に殴った方が勝ちでしょうし、漫画的なら先に必殺技を出した方が逆に死亡フラグです(笑)

 こんな感じで役者(キャラクター)の次に舞台(世界観や状況)を整えて、ようやく書き始めます。
 むろん、長ったらしく書いていますが、私も一から十まで細かくはしていない時もあります。ですが、出来るだけ細かい方が作品
を続ける際に後々矛盾も少なく困らないので最初はちょっとだけ頑張ります。
 キャラクターの絵を描いてー、と言うのもありますが、大いに結構だと思います。ただ自分で描いて満足するだけでそれを文章
で表現し切れていないのはよくあると思いますので、色々と注意すべきでしょうね。



【文章作成】
 これら上記によって、酋長さんの一番知りたいと仰る戦闘の【テンポ】や【リズム】は変わってくると私は感じます。
 【テンポ】が文の長さなら【リズム】は展開のタイミングでしょうか?
 実際の武術などでも重視される通り、音楽と戦いは似通っています。
 黒人のダンスから生まれたカポエラなどでは音楽に合わせて蹴りあいをする事がありますし、古来から日本の武道者は
能を好みました(庶民は歌舞伎でしたが)。

 よってドラゴンボールライクのざっくばらんな戦いなら、敵の殲滅こそが第一目的でしょうし、かめはめ波が出るまでをじっくりと、
しかしスピーディに書くべきでしょう。むろん、対戦者同士がボコスカ殴りあってもすぐに死ぬ事はないのですので、殴り合い
でのテンポが作れます。ある意味、音楽で言うならロックやフルメタル調の展開が予想されるでしょう。テンポが早く、リズムが
一定のものでしょうか?
 逆に人間同士の、時代劇のようなシビアな対戦なら、刀をいつ抜くのかようなジワジワと心理戦を繰り広げるので、多少は助長
でも、雰囲気を盛り上げるなら一文が長いのもありだと考えます。ただ、殺られる時は一刀の元に終わるので長く停滞した時間と
緊迫した瞬間、つまり緩急を意識すると良いでしょう。個人的に言うとたそがれ清兵衛のような息遣いが音楽となるような張り詰めた、
しかし、緊迫の中に膨大な感情や戦闘に関する情報が含まれた戦い方となるでしょう。テンポはゆっくり目でも、突然リズムの
拍子がガラリと変わるものですね。


 私がお勧めするのは戦闘シーンのイメージとなる音楽を聴きながら書いてみる事です。
 私自身は普段の描写を書く時には使いませんが、戦闘を書く時だけはテンション自体も上がりますし、リズムを意識出来るので
音楽を聴きながら書いています。むろん、集中するために聞かない事もありますので一概に言えません。ですが、音楽が文全体の
リズムを合わせてくれるので利用するのはお薦めです。

 リズムが取れれば、省いても良い描写、アレンジ出来る描写がジャズのように出てくると思います。これによっているかいらないか
の動作の取捨選択がやりやすくなると思います。
 雑魚ならサラッと流し、中ボス辺りでじっくり、一度目のラスボスの登場と負けでテンポダウン、不死鳥のように復活して
後はボスを倒せるノリまでに主人公達が漕ぎ着けるって感じですね。
 わざとリズムを崩して、中だるみを防いだりと出来ますので、戦闘を音楽と対比させるのは非常に良いと思います。

 ちなみに最近、私自身は逆に無テンポ、拙著で一撃で終わるようなリアルな形で書いています。今までドラゴンボールライクな
モノが多かったので、ちょっと意識して書いてます。実際の戦闘もそれなりに技量があれば三発以内で終わるのは普通です。
それ以上の殴り合いは野良犬の喧嘩だと、某中国拳法の老師は言っていたりしてます(まぁ、人の何処を殴るかやグローブの有無
でも変わりますのでK-1などは参考にし過ぎないのが宜しいでしょう)。


【文章見直し】
 見直しをする時は作品全体のテンポからも見てます。緩急がきつ過ぎれば面白い描写でも削りますし(文章自体は使うかもしれない
のでコピーして取って置きますが)、逆に必要なら脇役の戦いにもクローズアップして、周りを固める事があります。
 こんな感じで全体のバランスを取ればOKだと思います。

 それに読者の読める能力にある程度合わせるのも重要かもしれません。例えば、達人は地面を蹴らずに超高速の
股関節前後の支点移動で身体を浮かせて動きますが、そんな事を言っても普通の人はそんな感覚無いので分からんでしょうし、
それを上手く言い換えるのも【テンポ】を制御するのに重要だと感じますね。長くダラダラ語るより上手い比喩表現でズバッと
解決するのが良いかと思います。
 比喩表現は実際のアクションを外から見る事が無ければ難しいでしょうし、スポーツ番組などを見て上手い比喩を模索してみる
のもいいでしょう。
 酋長さんが動作を捉えきれないのは頭の中でイメージが出来ておらず、それに対する的確な比喩か描写がまだ上手く固まってない
からかもしれませんね。
 他にも戦闘が上手い人(個人的には夢枕獏先生とか)の作品を参考にしてみるのもいいかもしれませんね。ただ、自分の【リズム】
や【テンポ】が見つからないうちは他の文体に引き摺られるかもしれないので、注意した方がいいかもしれませんね(私もその辺り
悩んでます)。


 以上で、私がアクションで意識する事です。他にも考えている事がありますが、あとは蛇足的なものです。
 皆さんの参考になれば幸いです。アクションに関して拙著で感想や批評を戴ければ励みになりますので宜しくお願いします。


novel plaza system
甘辛流小説家ギルドGAIA
produced by COLUN.