一場面集


1 :森谷 空 :2011/10/09(日) 15:54:07 ID:ncPinitk

文章練習を始めました。
気持ちの維持につながると思い、こちらを使わせていただきます。
一場面で書きたい中心点を書くというやり方です。
広がっていけたら、と思っています。

よろしくお願いします。


22 :森谷 空 :2011/11/05(土) 01:57:03 ID:ncPinitkoe

メデューサ先輩

「今日も綺麗だったなあ、メデューサ先輩」
「だよな、もう見るたびにきゅんきゅんだよ、俺」
 下駄箱で、スニーカーへ履き替えている渉の横を話しながら通っていく少年たちがいた。表情はどこか上せていた。渉は出入口のドアを押しながら、「まただ」と思った。
 授業が終わり、それぞれが思い思いの方向へ散る。渉は帰路へつくため葉っぱを時折踏みながら校門へ歩いていく。
 メデューサ先輩のことは入学してすぐに聞こえてきた。その先輩と目を合わせると硬直してしまうのだという。外見が美しいからだという話だが、渉にはいまいちぴんと来なかった。そんなことってあるだろうかと。
 やっと通り慣れてきた門が見えてくると、右手の道から歩いてくる女の子が二人いた。一人が楽しそうに話し、もう一人の子が静かに合いの手を打っている。二人の胸元に揺れる緑リボンは二年生のものだ。渉の目は自然と静かな彼女へと吸いつけられた。
 綺麗な黒い髪がまっすぐ胸元まで下りている。顔は白く、その中で唇のほのかな赤が目立つ。目は大きくて柔らかい雰囲気だ。微笑んだ時に下がる目元が心を引きつける。全体的に細く、姿勢がいい。やや斜め後ろを歩いてみてわかるが、渉よりも背が高い。
 不意に彼女の首が回り、渉の方へ顔を向けた。慌てて「あっ」と声を漏らし、何気ないふりをしようとしたが、もう遅い。どくんと胸の音がした。
 彼女と目が合っていた。
 透きとおった印象の、綺麗な目だ。その目を見つめていると自分の体がそこから消えてなくなってしまったように感じられてくる。周囲がやけに静かで、反面、体全体が脈動を激しくし、力が入らない。自分が息をしているかもわからなかった。この人がメデューサ先輩かと渉は気づいた。
 彼女が隣の女の子へ視線をずらすと、渉は勢いよく息を吸い込み、大きく吐いた。不自然なほど呼吸が乱れている。鼓動がうるさい。
「ね、あたしの言ったとおりでしょ、この子可愛いー」と聞こえてくる。
 彼女の隣の女の子が口を開いているから彼女の声だろう。メデューサ先輩は「うん、ほんとだった」とどこか嬉しそうに返事をしている。
 渉は胸に手をあてたまま、しばらく動けなかった。顔も体もやたらと熱かった。あの噂は本当だったなと実感した渉だった。
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 本文60分。
 設定40分。
 合計約1時間40分。
 1160字。


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