先生と僕


1 :緋桜 :2007/03/04(日) 00:49:37 ID:PmQHunWc

 始めまして、緋桜と申します。
この小説は男女三人(四人?)がいろいろどろどろうやうややってる感じのお話です。
かなり殺伐としているうえ同性愛・性的描写も(そのうち)含まれる(かも)しれないので、苦手な方はご注意ください。


2 :緋桜 :2007/03/04(日) 00:51:51 ID:PmQHunWc

 夏休みが明けて数日。部活を引退してしまうと、やることがなくて暇だ。否、やることはきっとたくさんある。たとえば九月末から始まる中間テストの勉強とか、たとえば10月中旬にある模試の勉強とか、たとえば三年生になると同時にやたらと目の前でちらついている高校受験の勉強とか。
 でも璃紅はそれらに対するやる気がどうしても出なかった。かと言って、夏休みに友人とうんざりするほど遊んだから今更学校帰りに寄り道する気にもなれず、真っ直ぐ帰った。
 三年生になって付き合い始めた彼女もいるにはいるが、夏休み中まったく連絡をとらなかった。隣のクラスの子で、学年でも三本の指に入るほどの美少女だ。告白されて付き合うようになったのだが、まだキスどころか手すら繋いでいない。一学期の間は部活が忙しく、デートも一度もしていない。このままメールも電話もしなければ、自然に終わってしまうのだろう。
 別に、それでもかまわないと思った。
 告白されたことは嬉しかったし、多少なりともすきだと思ったからこそ付き合うことにしたのだけれど、追いかけてまで自分の元に繋ぎとめておきたいわけではない。十年来の幼馴染にそれを言うと、あんたサイテーだね、と言って笑われた。幼馴染はいつも璃紅(りく)の言うことを、否定するかのように笑う。
 歩いていくには億劫で、自転車で行くには近すぎる道を璃紅は歩いて帰る。徒歩十五分という距離は、歩くという行為自体はなんともない。ただ、教科書の入った鞄が重いだけで。毎日持ち歩いたスポーツバッグは、中学最後の総体が終わると同時に姿を消し、代わりに学生鞄の中に詰め込む教科書の量が増えた。ただそれらが自宅で開かれることはなく、毎日璃紅とともに学校、自宅間を往復しているだけなのだが。
 家に着くと、まだ四時半にもなっていなかった。こんな時間に家にいるのは本当に久しぶりだ。築三十年の古い家の扉を開く。生前祖父が建てたというこの家は都内では珍しい一戸建てで、母と姉と祖母と璃紅の四人で住むには広すぎるくらいだった。父は璃紅が生まれる前に他界し、一緒に暮らしていた祖父も、璃紅が小学校に上がった歳に亡くなった。二人とも、同じ病気だった。この家の男はみんな早世なのかねぇと、璃紅を膝に乗せた母の隣で祖母は呟いた。そのときは祖母が何のことを言っているのかわからなかったが、成長するにつれて「早世」の意味も自分が「この家の男」であることもわかるようになった。


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甘辛流小説家ギルドGAIA
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