Blood×Blood


8 :銀次 :2007/02/18(日) 04:20:45 ID:ommLPnxD

〜8〜

「・・・・うっそやろぉ?」

 夜の学校探検から一夜明け、学校に行くと・・・・・・校舎の傷が直ってた。
 風明が叩きつけられてひびの入った壁も、炎によって溶けた地面も、昨日の夜のあらゆる痕跡が消えうせていたのだ。
 ちなみにこのお決まりのリアクションをとるのは拓真が3人目。いつも遅刻している美香以外の4人はすでに登校しており、その異常な光景をすでに目の当たりにしているのである。

「漫画やあるまいし・・・・・・こんなんアリかよ? あの痕跡が原因で今日の授業がなくなるんを、マジで願っとったのに!」

 いやいやこの世界も漫画と似た様なもんだろ・・・・・・とかいう鋭いツッコミはあえてスルーさせていただきます。
 教室に入ると、いつものメンバーのうち自分と姉を除いた3人は、すでに太一の机のところに集まっていた。ちなみに、美香は拓真が起きる時と同時に起こされ、拓真が家を出る時も声を掛けたが、まだけたたましいいびきをたてながら三度寝を満喫している頃だろう。
 彼女が教室に登場したのは、2限目の丁度真ん中辺りで、まだ眠そうな顔をしながら教室にいつものようにノタノタと入ってきた。
 さて聡明な読者様の事ですから既に気づいているでしょうが、1限目の授業前にすでに登校しているいつものメンバーは4人。そして驚いたのは3人。なぜか1人驚いていないのである。その男は・・・・・・

「・・・・・・俺、なんでか知ってる。昨日、ケルに聞いた。今日の放課後、全部話すから俺の家、来て。」

 そう、風明である。まぁ、風明ならケルから何も聞いていなくても驚いていないように見えるかもしれないが。(内心驚いていても、リアクションが小さすぎてわからない。)
 ちなみに、『ケル』とはおそらく”ケルベロス”愛称のことで、いかつい見た目とは裏腹に、実は小動物にめがなかったりする。実は小動物だけじゃなくてセントバーナードみたいなバカでっかい犬とかも好きだったりする。まぁ、早い話が彼は動物が好きなのだ。
 昨日の傷が残っているのか、彼の右手には手の平と甲だけを覆う指を覆う部分が無い手袋がはめられていた。
 昼休みに皆で飯を食べている最中に、ほとんどいつも相槌を打っているだけの彼が、一言だけそう言うと、弁当を食べ終わり5限目の古典の授業中、睡魔と闘う体力を養うために眠ってしまった。ちなみに風明が寝起きが悪いので、ムリに起こさない方が良いと分かっている彼らはペチャクチャと会話を弾ませながら食事を楽しんでいた。


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


 キィ〜ンコォ〜ンカァ〜ンコォ〜ン・・・・・・

 部活終了時刻のチャイムが鳴り響く。手ぇ抜いてるとかそんな厳しいツッコミはいれないでね♪
 ちなみに五人は全員部活に所属している。既に紹介したが拓真は剣道部で、和葉は卓球部だ。太一は陸上部に所属しており、風明はラグビー部、美香はバレー部に所属している。
 彼らの学校はの校舎は、夜の間定時制の高校が利用するため、部活は必ず5時20分には終わり、急いで片付けをして5時40分には生徒全員が学校の敷地から出ないとならないという、鉄の掟がある。
 ちなみに、太一と拓真は一度だけ下校時刻を3分オーバーした事があり、下校時刻などとっくに過ぎているにもかかわらず、職員室で8時30分まで説教を喰らった事がある。
 そんな時間まで校舎に残して説教できる位の余裕があるなら、3分位のオーバー位許しても良いじゃないか・・・・・・と内心2人とも思ったが、そんな事を言ってその日中に家に帰れないなんて事態になったらシャレにならんので、そこは黙って優等生の仮面をかぶって、迫真の演技で反省しているように見せた。
 ちなみに美香が8分下校時刻をオーバーした時も同じ生徒指導の教師が校門に立っていたが、「暗いから気をつけて帰るんだよ!」っとにこやかにとても優しく・・・・・・いや、とても嫌らしく笑顔で見送ってくれたという。
 学校の教師はやはり女の味方なのだ。女の教師はガキでしょうも無い事をする男子生徒を煙たく扱い、男の教師は徐々に発達してくる体に下心丸出しで、女にやさしく接するのだ。男とはなんとも不利な待遇の生き物である。
 まぁそんな話をしているうちに、今日は5人全員が下校時刻前に校門を既にくぐったようだ。

「ギリギリセーフ!」

 チャイムが鳴り終わるギリギリに校門をくぐり、野球のセーフのジェスチャーをしながら琢磨が残りの4人に合流したところだった。

「セーフちゃうわ! うちら待たせてんから! 50円のアイスで手をうとうじゃないか。」

「なにいっとんねん! お帰りなさいませご主人様やろが!!」

 まるで紳士のような口ぶりでカラカラと笑いながら美香がおねだりする。いつもの事だ。美香は何かあるたびにおごってだの買ってだのと頼んでくる。しかし、本人も本気で言っているわけではなく、むしろ本当に買ってあげると戸惑って申し訳なさそうにしょんぼりしてしまうのだ。
 確かに彼女は軽い一面もあるが、そういう人間的なところの芯はしっかりしているようである。しかし、本当に仲の良い兄弟だ。街を2人で歩いていれば、10人が10人が、その仲の良さから恋人同士と勘違いする事だろう。

「はいはい、じゃれるのはそん位にしてとっとと風明の家に行くぞ。俺と風明は別に良いけど和葉と拓真達は家まで時間かかるんだから早く済ませたほうがお得だろ? ドラマ見る時間が無くなっちまうぞ?」

 風明と太一はこの学校の近所に住んでいるが、残りの3人は電車通学なので、一度全員が家に帰ってからだと余りにも時間がかかるので、今日は珍しく5人で風明の家に向かって下校するのであった。
 太一の言葉に「はぁ〜い、わかりました隊長!」などと穏やかな返事を返しながら、彼らは風明の家へと歩き出した。
 
「それにしてもお前らの日常会話はホント漫才みたいだな。」

「当たり前やん! オチの無い話はしたらあかんのが、関西のルールやろ!」

「・・・ここ・・・・・・関西じゃない。」

「風明うっさい! ここがヨーロッパでもアメリカでもうちがおる周りだけは関西やねん!」




・・・・・・こんなたわいの無い会話が・・・当たり前に出来る幸せな日々が、すこしでも長く続いて欲しい。



 風明は流れ星の流れない夜空をを見上げ、願った。


novel plaza system
甘辛流小説家ギルドGAIA
produced by COLUN.