Blood×Blood


10 :銀次 :2007/03/10(土) 03:42:46 ID:mmVcVLk7

〜10〜ver.風明

 目を開けていられないほどの眩しさに目を閉じた瞬間、まるでジェットコースターに乗っているかのような浮遊感に包まれた。内臓が持ち上がるような感覚が去った後、ようやく眩んだ目も昨日を取り戻し始め、気づいたときには見覚えのある砂丘の真ん中に立っていた。そして、ほんの数メートル前には、初めて出会った時と同じ姿でケルが立っている。

「ケルの目が光って・・・・・・そうか、ココは俺の中か。さっき俺達になにしたんだ?」

『あぁアレか。アレは目から大量の魔力を放出しただけだ。貴公達の体には、精神エネルギーの抑制作用がある事は話したな?同じように、強すぎる精神エネルギーを拒絶する機能も備わっているんだ。ほら、よく物語などで化け物に遭遇すると瘴気にあてられて人が倒れるとかいうだろう? ソレと同じで私が視線から放った強力な精神エネルギーにあてられて意識が飛んだんだ。』

 あんな可愛い姿をしているくせに、なかなか凶悪な事を前置きも無くするものだ。要するに、頭ど突いて気絶させたようなモノなのだから。

「なんか危なそうな事したな・・・・・・。でも・・・俺、もうケルの力使えるのに、意味あるのか?」

『そこなんだがな、あのキメラたちは普通の夢の世界の生き物じゃ無いって話したな? 夢の生き物の改造の技術は現世には無い。そもそも、現世の物では精神体には基本的に触れられないからな。
つまり、この件には必ず裏で私が住んでいる世界である神界が必ず一枚かんでいるはずだ。確かに風明、貴公は私の力を使う事が出来るが、アレはまだ状態Tだ。神界の神や魔獣に立ち向かうなら、状態Uになる事が絶対条件だ。』

 風明の表情がケルの話が進むに連れて曇る。ようするに意味が分からないのだ。ケルもその事に気づいたようで・・・

『簡単に言うとだな、「黒幕に強い奴が絶対居ます。ソイツを倒すにはパワーアップしなくちゃいけません。」・・・・・・ということだ。わかったな?』

 と出来るだけ噛み砕いて言い直す。風明はそこまで簡単に言わなくても・・・っとでも言いたげな表情だが、そこはスルーしてケルは話を続けた。

『さっき話した状態Tっていうのは、体の一部を守護神と共有する状態だ。昨晩の風明の状態はこれだ。共有する範囲は、血液が流れる時に最も細胞から溶け込む魔力が多いポイントから上下左右均等に広がって体の約20%の範囲だ。貴公の場合は、精神エネルギーそのものであるキメラに喰らい付かれた事で、抑制作用が極端に低くなって魔力放出し放題の右腕を私と共有することになる。風明の体の中で、右腕は魔力を最も強く放出できるポイントだ。覚えておけよ?
状態Tになると、普段隠れている私の存在が表面に20%だけ具現化するから、普段の状態に比べて貴公の存在が20%減る。つまり、状態Tを解いた時に減少した二割分の魔力が体から欠乏しているため、その分体に疲労感が残るが、これは休息をとれば三時間ほどで回復するからあまり気にしなくて良い。
状態Uは、体全体を守護神と共有する。状態Tに比べて桁外れに強い魔力を発揮できる分、消耗も激しい。状態Uになっている時は、私と貴公の存在がちょうど五分五分で体内に存在する事になるのでな・・・・・・。解除した後の回復にかかる時間は個人差や慣れの影響が大きいが、始めのうちは半日ほど寝込むかもしれんな。それ故に、発動には注意が必要だ。覚えておけ。』

「おっおい・・・・・・まさか、体中があんなに厳つく・・〜・くなるのか?」

 途中が聞き取れないが、まぁキモくとか禍々しくとかそこ等辺の単語が入る事だけは間違いなさそうだ。
正直少し不服そうな表情でケルが答える。僕だって好きであんな姿なんじゃないよぉ〜だ!・・・・・・っとでも言いたげである。

『安心しろ。状態Uは私の割合が増えるぶん、より私の今の姿に近づく。状態Tの時のような不完全で、見るからに人間でない姿にはならないはずだ。まぁ多少は獣の姿が混じる点もあるかもしれないが、基本的にほとんど人間の姿だよ。
しかし言うのは簡単dも、体を完全な五分の条件で別人格と共有するのはなかなか難しい事でな。例えば、貴公の力が私と差がありすぎると、私にその意思が無くても優先的に支配権が私に移ってしまう。コレはそんな状況に陥るのを防ぎ状態Uを使いこなすための修行だ。他の四人も状態Uの修行を行うと思うが・・・・・・そうすぐに出来るものでは無いのでな。じっくり取り組む事になるから覚悟しておいてくれ・・・・・・


さぁ、修行を始めるぞ!』

 望むところだ!・・・・・・という表情で、風明は力強く頷いた。


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