-STRONGHOLD-


1 :旭◆meAxurHm :2007/10/21(日) 03:30:59 ID:PcWAsizF

 真っ白で無機質な何も無い部屋の片隅に、両膝を抱えた一人の少女が座っている。
 目には生気がなく、何も無い白い床を呆然と見つめていた。
 手入れが行き届いていないせいだろうか。黒く長い髪はお世辞にも美しいとは言えない。だがしかし、白く透き通った肌と目鼻立ちの整った顔はとても美しい。

「おい、10642(イチゼロロクヨンニ)。仕事だ」

 どすの利いた男の声とともに、冷え切った鉄の扉が嫌な音を立てて開かれる。
 小太りでいかにも悪人と言った顔つきの男である。
 男はゆっくりと少女に近付くと、少女の目の前でしゃがみこむ。
「次はこいつだ」
 男が手に持っていた写真を顔の前に差し出すと、少女は虚ろな目をゆっくりと写真へ向ける。
 写真には灰褐色の髪に碧(あお)色の目をした男が写っていた。
「お前もよく知っているだろう。次の標的(ターゲット)は"フォート・セルリア"だ。確実にその手しとめてこい」


2 :旭◆meAxurHm :2007/10/21(日) 04:00:10 ID:PcWAsizF

1、RIOTER

「あー…腹減った。なんかねーのかよ。まったく…」
 午前7時――窓から差し込む朝日の眩しさで目を覚ますなり、男は灰褐色の髪をかきあげながら、ホテルに備え付けてありそうな小さな冷蔵を覗き込む。
「…食えるわけないよな……」
 冷蔵庫に唯一転がっていた少し変色したハムを手に取る。
 どうしてもっと早く食べなかったのか。どうしてハムは腐ってしまうのか。
 男は深い溜め息と一緒に、ハムを冷蔵庫に仕舞い込む。
 窓に目をやれば、眩しい朝日に眠気を吸い取られていく。空腹を寝てやり過ごす事さえ許されない。
「仕方無い。あいつの店にでも行くか」
 男はハンガーにかけてある上着を羽織り、机に無造作に置かれた銃(ガン)をその上着の内ポケットに忍ばせる。


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甘辛流小説家ギルドGAIA
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