青春を謳歌せよ


1 :ケーニッヒ :2006/08/17(木) 07:34:39 ID:n3oJY3YH

 初めまして。私の名前は立花春香(タチバナ ハルカ)
 17歳、千葉県の私立高校、登竜門高校の2年生、青春真っ盛り!!  ……なんだけど……

「あ、あの、誰か風紀委員に立候補する人いませんか? あの……みんな聞いてる?」
 4月、新たなクラスでの最初の行事、委員決めが執り行われている。
 今、オロオロしながらクラスを仕切っている……もとい仕切ろうと努力しているのが私。一度で良いからやってみたかった学級委員に立候補した途端、こうなった。
 今の教室内の状況は、私の声<みんなの騒ぎ声 といった感じ。こういう大事なときに限って先生は「プリント忘れちった♪」とか言ってどっか行ってしまった。
 先生がいないのをいいことに携帯をいじるやつやらマンガを読み出すやつやらまでいる。
「あ、あの、ちゃんと話聞いてよ」

 ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ

 パン、と思いっきり手を打ち鳴らしてみた。……効果なし。
 パン、という音が再び聞こえた。そして今度は一気に静まりかえった。
「なぁ、後で決めんのもメンドイし、さっさと決めちまおうぜ。帰りてぇんだよ」
 教室の真ん中辺りに座っている男子生徒からありがたいんだかよくわからないお言葉。だが、おかげで教室内が静かになった。何この違い?
 「ありがと」と口パクで言うとプイっとそっぽを向かれた。

 結局、最後まで委員会の立候補者は現れず、アミダで決めることになった。

 で、放課後。
 私は今、至福の時を過ごしている。
 帰宅中の私の隣にいるのは、先ほど私に助け船を出した男子生徒、阪口渉(サカグチ ワタル)。私の幼なじみにして、初恋の相手兼現在の恋の相手。顔がいいからライバルが多い。
「つぅかさ、おまえ学級員に立候補したんならちゃんと仕切れよな。なんで俺があんなことしなきゃいけなかったんだよ」
「……ごめん」
 これが現実。一緒に帰ってるとは言っても理由は家が隣だから。それだけ。
「それと、すぐに謝る癖直せよ。うっとうしい」
「ごめ……あ」
 ため息をついて首を横にふられた。あきれられている! いつものことだけど。
 昔はこうじゃなかった。もっと仲良かったし、言い合いだってできた。でも、私が渉を意識し始めた頃からどうもそれができなくなってきてしまい、今に至る。

「おっ! あれに見えるは!!」
 突然、渉が走り始めた。目的は数十メートル先を歩く宝石、もとい宝石並に光り輝く女子生徒。
「よう、佐々波さん。一緒に帰ろうぜ」
「あら、阪口君。いいの? 彼女放っておいて」
「いいのいいの。っつか、あいつ彼女じゃねぇし」
 渉が声をかけたのは佐々波エレナ(サザナミ エレナ)。父が日本人、母がイギリス人のハーフ。その美しさは同姓でさえまともに顔を合わせると赤くなってしまうほど。容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群。つまり、完璧。

 一人取り残され、敗北感と共に虚しく帰ることになった。


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