S/S/P


1 :アズライト :2009/02/02(月) 16:17:05 ID:WcuDtFu4






And, I begin to move. 


Tears are putting. 
The smile became a mask. 


Still, it doesn't care. 


Set up, and walk. 
Do not stop. 




  さぁ、遊びましょう?
     《――Now let's play》




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2 :アズライト :2009/02/02(月) 19:19:16 ID:WcuDtFu4

◇ カーテンコール ◇







「―――で、SSPって何の略?」





 いつも通りの何の変哲もない朝。

 そこには栄えある我らが神聖なる学び舎の変わり果てた姿があったというわけさ。





   ≪ 祝☆S/S/P開催決定!!w ≫





 歴史的価値すら感じさせる校舎。白い壁に、手入れの行き届いた美しい庭。
 生徒達に清清しい朝を感じさせる景色の中に、昨日までは影も形も前触れもなかった横断幕がズドーンと掲げられている。

 うん、見事なぶち壊しだ。

 っていうか、いい加減この学園の生徒会は総辞職したほうがいいと思う。




「ストーン・サーチ・プレイ。<石探し遊び>って意味だよ」

「おぉ、アルエイ」
「…アルフィーね。いい加減クラスメートの名前くらい覚えようよ、ナナイ」


 脳内回線の一部が視覚的ショックにより硬直していた間に、最近ようやく顔を覚えたクラスメートがやってきた。


「君、2年生だよね?クラス替えしてもう二ヶ月たってるんですけども」
「名前とか顔とか、覚えんの面倒なんだよ。別にいいじゃねぇーか、席が隣なだけなんだからよ」

「普通、真っ先に覚えるポジションだよね、明らかに」



 しるか。



 人当たり良さそうで黒いオーラを滲ませる微笑みには、正直鳥肌が立つ。
 しかし怒りよりも呆れの方が強いらしい。

 溜め息を一つついて、アルなんとかは横断幕を見上げた。



「まさか在学中に条件が揃うとは、僕は運が良いらしいね」
「条件?」


「SSPの開催条件さ♪」













 ≪ ―――さぁ、あそびましょう? ≫













 いつもは爽やかな校門。
 丁寧な挨拶が交わされ、上品な制服に身を包む生徒達が背筋を伸ばして歩く道。


 国内有数の名門学園の朝が騒がしい事など、生徒会長が乱心しない限りはありえない。


 けれど、今日はいつもと随分違ってしまった模様。


 皆が威厳ある校舎を見上げ、顔を見合わせたり戸惑ったり喜んだり。


 私も倣って校舎を見上げると、なぜか黄色い布にピンク(しかも蛍光色)の文字が書かれていて、さらにその文字を見て硬直してしまう。



「…もう生徒会なんて、解体すればいいのに…なんて」



「同感」
「!」

 降ってきた低音に振り返ると、困ったように笑う男子。


 各学年は成績順にクラス分けされる。
 クローアといえば第二学年のトップクラス<ユノ>の「クロ様」でお馴染みの美少年だ。


「お、おはようございます」
「おはよう、リィカ嬢」


 同じ部活とはいえ、後輩の私に声がかけて頂けるなんて嬉しい。
 …視界にあんな横断幕がなければ、尚更だったのに。


「SSPに文句はないが、あれはなぁ…」
「えぇ、あれは…流石に…」



「「悪趣味(だろー)(ですね)」」














 ≪ 貴方はだぁれ? ≫













「あ、クローアだ」

 とりあえずナナイの無知さは置いといて、僕は手を振ってクローアを呼び寄せる。
 隣の女の子も一緒、ということは彼の知り合いらしい。リボンの色が青いので一年生と分かる。


「アルフィー?珍しいところで会うな」
「こんな幕張られちゃね」
「…確かに。おはよう、ナナイ」


「……誰だ?」


 彼はある種の天才だろうか。
 毎日のように女子が騒ぎ立てるクローアや隣席の僕を覚えていないなんて。

 仮にも<ユノ>の一員。優秀なはずなのだが、どうにも彼は他の人とは別次元にいるようだった。



「…ナナ、クロ様と同じクラスだったのではないのですか?」
「そうなのか?ってか彼氏できたんか、リィ」

「ち、違いますよ!たまたまお会いしただけですっ」


 と、クローアに付いてきた女の子が赤くなって訂正した。
 …あれ。


「そして恋は始まる…。青い春だねぇ、お嬢さん」
「青春真っ盛りの少年Aが何言ってるんですか!そしてクロ様に失礼ですよ!」


 ナナイについていける人がいた?
 というか、ナナイが親しげに話す人間をみたのは初めてだ。


「リィカ嬢なら大歓迎だけどな、オレは」

「おい、勝手に口説いてんな」
「自分から話振っといて!?」













 ≪ ねぇ、私に気付ける? ≫













 いつも早い時間から学校に来ているアルフィーを校門で見かけることは滅多になかった。カバンが無いようなので、一度教室に行ったんだろう。

 その隣には<ユノ>でも珍獣のように好奇の的にされているナナイがいた。
 成績は優秀。しかしどこか他とは違う生き物。
 運動も出来る。けれど何故か型に嵌らない。

 興味があって声を掛けたこともあるのだが、オレのことはスッカリさっぱり忘れているらしい。

 悪い奴ではないのは確かだが。


「リィカ嬢はナナイと知り合いなのか?」

「えぇ、血縁なので」
「でも半年ぶりくら―――」
「一週間前ぶりですよね?ナナ」

「………そうか?」

「そうです。美術の課題をしてたら寮の門限を過ぎて帰れない、って」


「門限って、…9時だよね?たしか」


 そもそも校舎は8時で閉まるはず。
 窓から出たとでもいうのか、ナナイは。

 思わず笑ってしまうと、乗馬部の後輩でもあるリィカ嬢は「情けないです」と零した。


「でも縁者がいると良いよね。この学校、家名廃止制だから相手がどこの貴族か名族か分からないし」
「卒業したら親友が王族だったりしてなー。オレは結構面白がってるけどな、こういうの」


「生徒会長が実は婚約相手だったりしてなぁ〜、リィ」
「婚約してません。…冗談でも止めてください」




  












 ≪ ほら、私は動き出す ≫












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