風船美少年


1 :九谷遥 :2007/12/09(日) 22:49:07 ID:o3teVAsL

1話  恋が上手にできない君へ

「ごめん。もう君とは付き合えない…」


突然の告白。
しかも別れ。
最近冷たいから薄々は気付いてた。


「…そっか。…」


涙なんか、こんな奴に流さない。


彼は俯いたまま、何も言わない。
だから、言ってやった。


「サヨウナラ、私の初恋」


そう、初恋だったから。











風船美少年










あれから一週間。
彼は浮気していた女の子と付き合ったらしい。
と、いうよりあたしの親友。
ずっと隠してたみたい。

でも、あたしは落ち込んじゃいない。
もう、終わったんだから…

「彼氏欲しいな…」

今日は本屋に行って、彼氏をうまく作る本でも探すか。

開き直って、放課後を待った。



「美穂っ!!」

帰るつもりでいたら、親友の七海が走ってきた。

「何?」
「たーちゃん知らない??」

たーちゃん…あたしの元彼、隆史のことだ。

「隆史君?見てないけど」
「嘘っ!!今日は一緒に帰るって言ったのに…」

逃げたんだな。
隆史は人一倍逃げ足が速い。

「まぁ気にすることないよ」
「気にするよぅ〜」

と、いうより。
そんな事より、普通元カノに聞く?


「あたし寄るところあるから先に帰るね」
「う、うんっ!!明日!!」
「うん。明日」


こうして七海と別れた。



いらっしゃいませ。

店員のそんな声を聞いて本を探した。

探し出して数時間が経った頃、ふと目に入った古汚い本。
安売りになっていた。

なんだこれ。
と思いながら手にとる。
題名は「恋が上手にできない君へ」。
なんか臭い。
でも読んでみたい。
美穂は足をレジに向かわせた。





「風船にあなたの名前を書いて飛ばすだけ。」

読んだ。
そんなに厚い本ではなかったので、30分もあれば読めた。
というか、なんだよそれ。
インチキだ。
と思ったが、一応やってみることに。

田中  美穂

風船の色はピンクがいいと書いてあったのでピンクに。

「これで本当に彼氏ができるのか?」

嘘くさいが、やってみて本当に彼氏ができれだ儲けもの。
そっと、窓から放した。



彼氏ができるように願って…

今日はもう眠りについた。


2 :九谷遥 :2007/12/16(日) 18:39:32 ID:m3kntkzi

2話 ついてない君へ


風船を飛ばした次の日。
なんら変わりのない日。




風船美少年




「……退屈…」

「美穂〜別れて暇なんでしょ?合コンセッティングしてあげようか?」

「ん〜」

彼氏が欲しいとは漏らしたけど、今はそんな気分にはならなかった。

「ごめん、悪いけどパス」

「え〜なによ〜美穂目当てのヤツ結構いるのよ?」

「そうなんだ。また今度紹介してよ。今日は気分乗らないだけだから」

「そう?わかった。今日は断っておくわ」

「わかった。ごめんね」

「いいって。じゃーねー」

そういって友達は立ち去っていく。
なんで気分が乗らなかったのか、今更ながら考えた。



「あ」

わかった。昨日…
あの胡散臭いおまじないをやったからかもしれない。

「バカらしいなぁ。あんなの信じてるのかな。私」

鞄を持ち直して、靴をはきかえる。
顔をあげると隆也と七海がいた。

「…やだやだ。運悪い。遭遇するとかツイてない。さっさと帰って寝よ」

二人の側を通りすぎ、早足に進む。



あと少しで家というところで、家の前に誰か立っているのにきづいた。

「…あの?」

背の高い人。茶色の短髪で、なかなかカッコイイ。

「田中 美穂さんですか?」

「え、あ、はい」

なんで名前をしっているのか…

「これ、なんだかわかりますか?」

「え?」

その男性が背中の影から出したのはピンクの風船。昨日名前を書いて飛ばした…

「あ!」

あのおまじない…本当に!?


3 :九谷遥 :2007/12/26(水) 19:39:58 ID:o3teVAsJ

3話  僕を呼んだ君へ



風船美少年




「それ、昨日の…」

「ちゃんと届きました」
 
ニコッと微笑んでくれた。
 
ドキ…
 
む…胸キュン!!
そんな笑顔であたしを見ないで!!
 
「え、ちょっと待って、あたし彼氏できてないよ!?」

「はい、僕があなた様の彼氏ですから」
 
にこやかに話す彼。
想定外の答え。
一瞬、間ができた。
 
「あ、あなたが…あたしの彼氏…?」

「はい。実はこの本、なかなか彼女のできない僕が勝手にあの店に置いたものなんです。」
 
なんてインチキな!!
 
騙された!!
 
と嘆いた。
しかし、彼の容姿をもう一度見直した。
 
上から下まで…
なんという、び、美少年…
この世にこのような美少年が本当に存在しているのだろうか…
と疑わしくなるような美少年。
 
「僕の彼女になってください。美穂さん」
 
と、トキメキました!!!
 
「も、勿論です!!」
 
勢いに任せて言ってしまった。
 
「ありがとうございます」

「あ、あの、一ついいですか?」

「はい、なんでしょう?」

「その執事雰囲気やめて…」

「…駄目ですか?」

「彼氏なのに執事は嫌!!」

「…彼氏らしく…ですね?」

「う、うん……わかったらいいけど…」

「OK!これでいいだろ?」

 
そんな言い方されると今時の男前じゃん!!
てかめっちゃタイプ!!
 
「そ、それでいいのよ!!いかしてる!!」

「よかった!じゃぁよろしくな!」

「うん!」
 

美穂の笑顔に少しトキメイた。
予想外の可愛い女の子。
こんな子が恋に悩んでいるなんて…
世の中は理不尽すぎる。
 
「あ、あなたの名前、聞いてなかったよね」

「俺?俺は聖羅、奇勝 聖羅!(きしょう せいら)よろしくな!」

「うん!聖羅君!」

「聖羅でいいよ。ハイ、これ俺のメアドとпBいつでもメールしてこい!相談も乗るし!」

「うん!ありがとう!じゃぁ…」

「俺も美穂と同じ高校だから!明日迎えに来るよ!」

「うん!待ってるよ!今日メールするから〜!!」

「おう!」
 
二人はそう言って別れた。
 
美穂はふと思った。
一つ年上の学年で超モテ男がいるって聞いたことがある。
もしかして…
 
「聖羅って…」
 
何者!?


4 :九谷遥 :2007/12/31(月) 23:30:08 ID:o3teV7PA

四話 傷心な君へ



次の日、目が覚めたのはいつもどうり。

枕元においてあった携帯がヴヴヴっと鳴った。アラームはもう止めてあるのに、こんな朝早く誰だろうと携帯を開く。

 

「あ。聖乃…から」

 

メールは聖羅から。件名はおはよう、から始まり、八時半くらいに迎えに来ると書いてあった。

 

「律儀だな〜聖羅も。用意しよ」

 

パチンと携帯を閉じ、着替え始めた。

 

 

ピンポーン

 

「はーいっおはよっ聖羅」

 

「おはよ。行こうか」

 

「うん」

 

他愛のない話をしながら学校へいく。

昨日初めて会ったとは思えないほど、楽だった。

 

「今日、一緒に帰れる?」

 

「うん。大丈夫」

 

「じゃぁ玄関あたりで待ち合わせしようか」

 

「わかった。じゃぁ放課後」

 

「授業中メールするかもね」

 

「あははっ授業中は駄目でしょ」

 

そういって、聖羅は先に行く。

とんっと後ろから押された。

 

「おはよ。あれ奇勝センパイだよね。いつのまにゲットしたのよ美穂」

 

「え?」

 

「すっとぼける気?カッコイイから結構人気あるんだよ」

 

「へぇ〜」

 

「とりあえず教室行こう。遅刻する」

 

 

 

授業中、まさかとは思ったけどメールが来た。

聖羅から

 

「うわ。やるぅセンパイ」

 

『暇だ。教科何やってる?』

 

「暇だって…自習なのかな?ウチは古典っと」

 

授業が終るまでの数十分、聖羅とのメールに集中した。

その後も昼休みとか、午後からの眠い時間にメールが来たりと、楽しかった。

 

全部の授業が終わり、帰ろうとしたところ七海が話しかけてきた。

 

「美穂、今日ずっとメールしてたよね。誰としてたの?」

 

あんたには関係ないっとか思ったけど、無視するわけにもいかなくて。

 

「せ…奇勝センパイ」

 

危うく聖羅と言いかけた。

さすがに聖羅、と呼び捨てにするのはまずいと思った。

 

「奇勝センパイ?!なんでしってるの?美穂」

 

「まぁちょっとね…」

 

「もしかして…彼氏、とか?」

 

「……どう、だろうね」

 

少し七海から視線をはずす。

ガラッと扉が開いた。入ってきたのは隆史。

目があったけど、喋る気はない。

 

「七海、うしろ」

 

「え?あったーちゃん!」

 

「悪い。待たせたか?」

 

「ううん。じゃぁね美穂」

 

「うん」

 

隆史と腕を絡めて帰っていく。

立っていた美穂だが、再び椅子に座り込んでしまう。

やっぱり、あんな光景を見るのはつらい。仮にも自分が好きだった人なんだから

 

「はぁ…」

 

誰もいなくなった教室。

空しいけど、席を立とうという気にはならなかった。

 

「待ち合わせは玄関だったはずだけど?」

 

「っ!」

 

急に聞こえた声に振り向く。

扉に背を預けた体勢の聖羅。

 

「聖羅…」

 

「まだ教室にいるとかありえねぇよ。さっさと鍵占めて帰るぞ」

 

美穂の手を引き、立たせる。

美穂の手を引いたまま、鍵を閉め、鍵を返すべく廊下を歩く。

 

「ねぇ聖羅…私って運悪いのかなぁ…何が悲しくて元彼のイチャイチャ現場見なきゃなんないの?」

 

「は?」

 

朱色に染まった廊下。

 

「さっきさ…元彼と彼女がいちゃついて帰ったわけ。私の目の前で

もーサイアク。追い討ちほんっと傷つくって…」

 

聖羅に引かれているほうとは逆の腕で、顔を覆う。

 

「…まだ、ソイツのこと好きなのか?」

 

「…そういうんじゃないけどっ」

 

「なら別にいいだろ。俺だけ見てろよ」

 

腕の隙間から見た夕日に染まった聖羅。

すっこぐカッコよくて、夕日とは別に頬が染まるのを感じた。


5 :九谷遥 :2008/03/07(金) 20:56:03 ID:m3kntkoL

第五話 君には嫉妬を覚えさせたくない

「俺だけ見てろよ」


あの後何も話すことができなかった。

何を話していいのやら
全くといっていいほど、わからなかった。

その間、聖羅は黙って傍にいてくれた。

あっという間に家の前に来てしまった。


「家だね…」


流石にこのままではヤバいと思った。


「じゃぁ」

「あの、」


去ろうとした聖羅の腕を掴んだ。

「今からデート、できますか…?」

黙っていてくれたお礼に。

「………うん、いいよ」

そう言って掴んでいた手を手で掴んだ。



二人は美穂の家を通り過ぎて、デートに向かった。






どこにいこうか?

と聞かれて、少し戸惑ったが、「ゲーセンに行ってプリクラ撮りたいです!!!」と言った。

聖羅は笑顔で肯定し、近くのゲーセンに向かった。




ゲーセンの中はいつもどおりの賑やかさだ。

だがしかし、これがまた自分を追い詰めることになるとは、思わなかった。

「あの機械で撮りたいっ!!」

「うん、あれで撮ろうか」

聖羅が足をすすめる。

「あれ?誰か入ってるみたいだよ?」

「ホント?じゃぁ少しま…」

美穂が言い終えるまえに前のお客さんが出てきた。

「あれ?美穂…?」

出てきたのは、七海だった。
それに…

「あ、」

隆史の声が聞こえた。
一瞬美穂の動揺が見えたが、立て直したようだ。

聖羅は美穂を気遣って「早く撮ろう」と背を押した。

「逃げるの?」

突然、七海が言った。

美穂は止まった。

「あなた、まだたーくんが好きなんじゃないの?」

衝撃の一言だった。

美穂の引き金を引いた言葉だった。

「七海、あたし、もう諦めてるから。」

正直に、言ってやった。

「嘘ね」

しかし、七海はどんどん追い詰めていく。

「七海、」

「たーくんはちょっと黙ってて」

今まで怒ったことがなかったので、隆史はちょっと引いた。

「ねえ、勝負しない?」

「ちょっといい?」

間に入ったのは聖羅だった。

七海は目を見開いた。

今まで視界に入っていなかったようだ。

「奇勝センパイ…」

七海の目の色が変わった。

「お会いできて嬉しいです…」

七海は聖羅の手を掴んで、目を輝かす。

「ここでなにしてるんですか?」

「ん?美穂とデートだけど?」

聖羅はわかっていた。

この女は自分に思いを寄せている。

この女はもうすぐ、浮気をすると、わかっていた。

だって俺は――――――――――

一方七海は、聖羅のこの言葉に固まってしまった。

「え…?嘘ですよね?」

「嘘じゃないよ。さ、撮ろうか。美穂」

呼び捨て。

七海の中で衝撃が走った。

聖羅は美穂の背を押して、プリクラを撮り始めた。

「…………許せない…………」

七海はもう、隆史のことを忘れていた。

隆史も衝撃を受けた顔をしていた。

元カノが、あの有名人の聖羅センパイと付き合っているなんて…

「な、七海…」

七海には、隆史の声が届かなかった。








ハイッ チーズ カシャッ

いい顔ができない。

無理矢理デートしてくれたのに、本人の自分が、いい顔ができない。

「美穂、忘れて」

「…え?」

「今は俺の顔をみて、笑って」

美穂は言われたとおり、振り返って聖羅を見た。

一瞬。
反応が遅れた。

聖羅は美穂にキスをした。

カシャッ

「………」

撮られた。

これは…

「にひっ。チュープリ☆」

っ!!!!!!////////////

声にならない叫びが、体のなかに響いた。

これが最後のショットだった。






七海はあれから隆史と帰った。

もう七海は何も話さなかった。

余程悔しかったようだ。

隆史は思った。

自分は放してはいけない人を手放してしまった。



end


6 :ofmaoogk@gmail.com :2013/04/17(水) 08:47:57 ID:z3rGtFkGkA

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はじめまして。突然のコメント。失礼しました。 フェンディ バッグ http://www.fendiofficialstores.com/


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