海賊日誌


1 :高槻 桜駕 :2008/01/01(火) 22:20:51 ID:WmknPcti




    セルヴェス暦 825年  2月15日   天気 : 大荒れ



今日から、日記をつけようと思う。
日記…というより、日誌、かな。僕の個人日誌。
日誌なんてつけた記憶はないから、…というより、記憶自体ないんだけどね。まあ、日々あったことを、これを読む”誰か”のために記録していこうと思うんだ。


まずは自己紹介、かな。
僕はフィル。年齢は…見た目は15歳くらいなんだって。職業は、海賊。数日前に海賊になったばっかりの新米だけどね。
海を漂流しているところを、この海賊船に救われた。なぜか僕ひとりで、しかも気付いたときには記憶がなくなっていたんだ。だから、数日前以前の記憶は、まったくない。といっても、字とか、物の名前とかは覚えていて、この船の船医さんは『全生活史なんとか』っていう難しい名前の、親とか友達とか生まれた国とか、僕に関わる個人的なことだけがわからなくなってしまう記憶喪失だろうっていってた。なにか、強いショックを受けたりしたときになるんだって。数ヶ月もすれば、自然と思い出すだろうって。
それで僕は、記憶が戻るまで、ここで厄介になることになったんだ。
名前も思い出せなかったから、とりあえずってことで、その日から僕は”フィル”。


ほかの船員の紹介もしておこう。


僕の名付け親、ユリウス=キーツ船長。28歳。
青みがかった銀髪と蒼い海色の瞳の、海賊船の船長っていうより、貴族の若様って感じのかっこいい人だ。顔立ちが派手なんじゃなくて、落ち着きのある、穏やかな整った顔っていうのかな。
優しくて、みんなからも慕われている。この日誌帳も、キーツ船長がくれたんだ。
普段は舵をとったり、航路の相談をしたりしているらしい。


副船長のレガートさんは、キーツ船長の親友なんだって。歳は同じくらいかな?
赤い炎のような髪を背中の真ん中くらいまで伸ばして、それを無造作に束ねている。レガートさんはキーツ船長とは違ったかっこよさで、顔立ちは派手め。どこにいても目を惹く、いろんな意味で目立つ人。
いつも楽しそうに笑っていて、明るい人なんだ。でも、すっごい強いんだって。本気で戦うと、まるで別人みたいになるって噂。


船医のイヴァン=アーヴィング先生。キーツ船長やレガートさんよりも、少し年上かな。
発音しづらいってこともあって、キーツ船長とレガートさん以外は、みんな「先生」って呼んでる。キーツ船長たちは「アーヴィ」って呼んでた。
先生は背が高くて、癖のある綺麗な金髪をしてる人。僕にはよくわからないけれど、医者としての腕はすごくいいらしい。


船員は、船長、副船長、船医、あとは僕を含めて五人だけ。


食事全般の係の、リオル。15歳くらいだけど、料理の腕は抜群だ。
大人しいんだけど、いろんなことにすごく詳しくて、様々なことを教えてくれる。


航路や目的地を決めるために、船長に地図を提供して相談に乗る、地図師のライディ。年齢不詳。
背は僕と同じくらいだけど、詳しいことはわからない。


鍛冶や、矢など消耗武具全般の製作、武器の修理役のゼルガさん。刈り上げた短髪と、冬でも薄着の、逞しい身体つきの人だ。
頼りがいがある兄貴って感じ。


自称、”戦闘要員”の、クレイシス=シルヴァさん。みんな「クレイ」って呼んでる。
明るい金茶色の髪とオレンジ色の瞳。21歳くらいかな。
剣も、槍も、弓も、誰も勝てないくらいに強い。
時々甲板でレガートさんと剣の練習をしているんだって。僕も一度しか見たことはないけれど、剣のことなんかわからない僕から見ても、見惚れそうなほど綺麗な剣捌きなんだ。
船長やレガートさんとは昔からの知り合いらしくて、「ユリウス」「レガート」って呼んでた。時々、船長のことを「ユーリ」、レガートさんのことを「レガ」って呼ぶんだって。


そして最後に、雑用担当の僕、フィル。


この海賊船は、ごく少数の、そして極めて若い船員たちで構成されているんだ―――――


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