神様物語


1 :多樹 :2007/04/08(日) 23:34:04 ID:m3kntDV4

天界に在する神様の書斎にて、一人の少年が契約書にサインした。
「で、俺はどこで何すりや良いんだ?」
少年は書斎の机で書類の束とにらめっこしている男に訊く。
男は書類から顔をあげて少年の顔を見ながらいう。
「おまえは今日から神空町(かみくらまち)の守護をしてもらう。三年間やり遂げればお前を1級に昇格してやる」
少年は契約書をいすの上において笑う。
「成果を上げれば即神様?」
「もちろん。まぁまずないだろうけどね」
少年はそれを聞いて書斎から出て行った。
最後に背中に神様の声がかかる。
「サポートとして華蓮(カレン)をつれていきなさい。夢宇」
神様の言葉に神様の息子、夢見 夢宇(ゆめみ むう)は手を振って振り向かずに答える。
「はいはい。あと蓮華(れんげ)をつれてっていい?」
「ご自由にどうぞ」
神様の息子の足音は高らかに高らかに・・・・・・。
天使たちの声に吸い込まれていった・・・・・。


2 :多樹 :2007/04/09(月) 23:34:51 ID:m3kntDV4

【朝、学園にて】

 私立神成学園(しりつしんせいがくえん)。そこは高い学力を誇り、同時に金を誇っていた。
それもそのはず、創始者が超のつくほどの大金持ちだったため、学園のいたるところに金という金をかけたからである。そのため少し前までは現代版貴族(つまり金持ち、むしろ超大金持ち)のみが入るような場所だったが、数年前から現代版平民(つまり庶民)も入学し始め、今ではそこそこの学力(もしくは金銭)があれば誰でも入学できるようになっていた。
 そしていま、春もうららかな五月の初め、高校から入学したものも昔から居るものもうちとけだした今日この頃の午前9時、時期神様は大きなあくびをした。もしも今ここに天界の者が居たら呆れて溜息をつくだろうというほどに平和そうなあくびである。
ボーとした顔立ちの死んだ魚のような目をしている身長162の15歳、それが神様の息子、夢見 夢宇だった。今そんな彼のもとに一人の男子生徒が歩み寄ってきた。
「なぁ夢宇ぅ、チェスやろうぜ!」
もちろんその手の物の持ちこみは禁止されているが、話しかけてきたクラスメイトの手にはチェス盤とその駒が握られていた。
本来時期神様がそんな規則違反に参加してはいけないのだが、夢宇はやさしくほほえんでyesをかえす。
「さぁて賭ける?」
「三千円」
「よーし!俺も三千賭けよう!」
しかも参加したうえ賭け事まで始めた。
(いまなら華蓮はいない)
などと考えながら夢宇は駒を一つ動かした。
 ちなみに華連というのは夢宇の監視役としていっしょにいる天使の名前でる。
赤いショートの髪に明るい澄んだ空色の目。身長は150前後と小さめだか顔立ちと雰囲気は妙に大人びたものがあった。もちろん黙っていればの話だが。
 
数分後、三枚の紙幣を財布にしまう時期神様のもとに一人の少女がやってきた。
そしてつかつかと窓際にある夢宇のななめ後ろの席に座り、かばんから一冊の本を取り出して読み始めた。この少女こそ監視役の天使、秋乃風 華蓮(あきのかぜ かれん)である。
まぁ監視役といっても彼女自身それは本来の仕事のついでだと思っているので常にいっしょにいるわけではない。せいぜい休日や学校内でいっしょにいるぐらいだ。
では彼女の本来の仕事とはなんなのか?
それは本人もよくわかってはいなかった。ただ上からは人間の世界でさまざまなことを学べとしかいわれなかったからである。
まぁそんな天使と時期神様が二人とも席についたとき、担任がのそのそと入ってきて、皆は慌てて自分の席に着いた


3 :多樹 :2007/04/11(水) 16:44:52 ID:m3kntDV4

3時間目と4時間目の間に、夢宇のもとに一人のクラスメイトがやってきた。
くるくるした茶色の天然パーマの男子だ。
「なぁ夢見ぃ、あれ知ってる?」
天パーは夢宇の前に立つなりおもむろにそういう。
「・・・・・あれと申されましても、どれ?」
首をかしげる夢宇に、天パーは「そりゃそうだ」といってうなずいた。
「最近さぁ、学園内に変なのがでるらしいよ」
「・・・・不審者?」
夢宇は次の時間の準備をしながら聞く。
「んーなんていうかなぁ・・・・?・・・・・怪談?」
「いや俺に訊かれても」
夢宇は苦笑しながら言う。
天パーもまぁねぇといって続きを話始める。
「なんでも最近白衣を着た殺人鬼の霊が出るらしいんだよねェ。あ、なんで霊なんだ?って訊くのなしね、俺も知らないからさぁ」
夢宇はちょうど言おうとしたことをとめられて思わず黙りこんでしまった。
「でね、なんでもうちの生徒が一人襲われたんだってよ。同じ一年生で今日は休みだけどさ」
ちょうどその時、チャイムがなり、大柄な教師が入ってきた。
天パーもその他のクラスメイトも慌てて自分の席に戻っていく。
夢宇はその様子を眺めながらぼんやりと考える。
(もしかして七不思議って奴だろうか・・・・。それともなにかの事件の始まりなんだろうか・・・・。もしも後者なら、おれは何かしないとなぁ)
夢宇はおおきなあくびを一つした。


4 :多樹 :2007/04/13(金) 19:07:38 ID:m3kntDV4

神様の世迷言?

人気の無い放課後の図書室。その中にいる二人の男女。
「2005年、4月4日、理科職員が学園内で自殺。それ以来不吉な噂が流れ始める・・・」
女のほうは先程から学園に起こった事件を記録しておく黙示禄を見ながら何かを呟いている。
男のほうも同じように過去の記録を見ており、その腕にはめられたデジタル画面と針が両方ともついている腕時計は、午後8時を指し示していた。
そのうち女のほうが先に過去の記録ファイルを閉じ、椅子の背もたれに寄りかかりながら上を見上げて深い溜息をついた。
「ねェ夢宇、やっぱりこれはただの噂だと思うよ?もし本当なら天使であるあたしや時期神様のあんたがきずかないはずないじゃん。そんな人間に肉体的ダメージを与えるほどの悪霊の存在に」
天使・華蓮の言葉に夢宇はファイルを閉じていう。
「でも実際に被害者がいる。それに霊じゃないなら人間がそれをやってるってわけだろ?ならそれも放って置けない」
二人は噂の真実を確かめるために生徒会副会長である華蓮の地位を利用して閉館の時間が過ぎても図書室で過去に何か無かったかを調べていた。
「だいたいほら、あたしたち一応学生じゃん、予習とかさぁ」
静寂が支配する図書室が一瞬さらに静かになり、静かな声が響いた。

「怖いの?」

「・・・・・だってしょうがないじゃん。あたしたち天使に悪霊や人間を撃滅する力は無いんだから」
そういってふてくされる天使に対して夢宇はちいさく笑い、手を差し出していった。

「大丈夫、守るよ。俺がお前を。必ず」

「え?」


5 :夢見 夢宇 :2007/04/18(水) 18:24:07 ID:m3kntDV4

天使

    ―オレガ、マモルヨ―

この時、時期神様は確かにそう言った。
 本来よりこの男と同じ瞬間、同じ世界で生まれた少女はこの男を神にする為だけに存在しているのかもしれない。はっきり言って、神と天使は使い手と道具の関係である。
なので、少女は意味を理解できなかった。
目の前で笑う時期神様は笑いながら続ける。
「だってそれが神の仕事だろ?」
その一言を聞いて、少女は弾んだ気持ちを一瞬で通常へと戻す。
  ―なんだ、やっぱり私は道具なんだ―

 今この男が言ったのはつまり「このシャーペンを大事に扱う」。これと同じ意味だったのだ。
けして私を認めてくれたわけじゃない。ただ、他の者同様に私を【華蓮】ではなく、【天使】としてかみていない。
誰もがそうだ。他の神々も私を天使の一人としか見なかった。
だれも私を認めない。私はこいつら【神】にとってあくまでも【天使の一部】なのだ。

「あたりまえでしょ。神が守らずにこの【世界】を誰が守るのよ」

少女がそう言った時、音が校内に響いた。
静寂と闇を裂く待ち望んだあってはならない、音が。


6 :多樹 :2007/04/22(日) 14:58:04 ID:m3kntDV4

その昔、世界を追放された者がいた。
神はその者が戻ってこないように扉に鍵をかけた。
7つの鍵を。
そしてこの日、さびついた鍵の一つが、あっさりと壊れた。


7 :多樹 :2007/04/22(日) 14:59:26 ID:m3kntDV4



    「なんだ、思ったよりも脆いな」
    それはソウ言った


8 :多樹 :2007/04/28(土) 21:30:42 ID:m3kntDV4

闇夜の怪物

     キャァァァァァァァァ

夜の学園内に響き渡る悲鳴。
その声が終わるか終わらないのうちに夢宇は教室から飛び出した。
その後ろを華蓮がついていく。

 (嘘だろ!?なんだよこれ・・・!!)
そして悲鳴の発信源だと思われるおもわれる一階の踊り場にそれはあった。いや、それはいた。
地面の上でのびる5、6人の学生とその学生を見下ろすフードの男。
残念なことに暗がりであることとフードを深くかぶっているため顔はわからない。
だが身長的に自分とさほど変わらない年かもしれないと夢宇は考える。
「何だ、お前?」
普通に考えれば倒れている学生たちの友人の一人かもしれない。だが、目の前にたたずむフードの男のはなつ何かとその手に持っている長い木の杖が目の前にたたずむ男が人間じゃないことを物語っていた。
両目で男を見据えながらじりじりと少しずつ夢宇は後ろに下がっていく。
自分たちに近い独特な違和感をその場に与えている者。
それはつまり、その男が人間ではないという確かな証拠。
男は夢宇のほうを向くと、笑っているかのような口調で夢宇に話しかける。
「おやぁ?これはこれは時期神様。このような場所でどうなさったのですかぁ?」
そういって深深と右手を腹の前に添えて頭を下げた。
「質問に答えろ!何をしていた!?」
おもわず怒鳴る。
「おお怖い、怖い。なにって食事ですよ。我々は毎週最低でも3人分の魂を吸収しなければなりませんからねぇ」
男はそういってまわりに倒れる学生たちを指差した。
「まぁ流石に食べ過ぎですかねェ?1日で6人分も食べてしまっては・・・」
そういってわずかに男が目を伏せた時、華蓮がようやく追いつき、何も無い空間から一人の男子生徒と一匹の猫が現れた。


9 :多樹 :2007/04/30(月) 22:08:08 ID:m3kntDV4

神+天使と悪魔と怪物

 なんの変哲も無い日常の中にいた私立神成学園の二番目に大きな新校舎の踊り場に世界的異例が起きていた。
踊り場の南側入り口でかたまる時期神様。その後ろで息を切らしながら状況を理解できていない
天使。
踊り場の北側の壁の前に突然現れた人間ではない雰囲気をたたえる少年と一匹の黒猫。
そしてその踊り場の中央でまわりに数人の学生を倒れさせているこれまた人ではない雰囲気を携えるフードの男。

フードの男が突然現れた少年に芝居がかかった声をかける。
「おやおや今夜はずいぶんとお客様が多いですね」
夢宇は後ろにいる華蓮に気を配りながら少年を観察する。
自分より身長がやや高い白髪の少年。自分と同じく学生服姿で、その首には小さなロザリオがついている。
「あれ?ねぇ夢宇・・・。あれ大野神君じゃない?同じクラスの」
などと後ろから華蓮がいうが、あいにく人の顔をおぼえるのが得意ではないため、夢宇の頭の中に該当する人物は出てこない。
だが、そんな彼にも一つだけはっきりと理解していることがあった。
  (今ここに人間はいない)
「何者だよ、お前ら・・・。悪魔か?」
夢宇が天界で教えられた人と動物以外の存在は神と天使と魔獣等、そして悪魔だけだった。
そのためこの状況で浮かぶものは悪魔だけだからである。
しかし、フードの男はやんわりと首を振り否定をする。
「いいえ。私は悪魔ではありませんよ?神様」
そういいながら男は杖を持つ手を振る。とたんに夢宇の足元がえぐれた。
「私はあなた方神によって存在を消されたもの」
もう一度振る。今度は黒猫を連れた少年の足元がえぐれた。
「そもそもあなたち天上人は人間にそっくりだ。自分たちにとって未知の存在は神である権限を駆使してこの世界から存在を消し去ろうとする。人間たちの魔女狩りとさほど違わない行為だ」
男は両手を広げて夢宇に言った。
「私は【夢魔】。お前たち神によって存在を消されたもの」
次に少年の方をむき、高らかに叫ぶ。
「良くきけ悪魔。私たち夢魔は貴様ら天上人に終りを宣言する!封印は残り五つ!それら全てが解けるのが先か貴様たちの意思が決まるのが先か!はははははは」
そして叫び終わると同時に闇の中へと消えた。狂った笑い声を残して。
笑い声がきえ、のこった沈黙。
そしてその沈黙を、遠慮がちな声が破る。
「え〜と・・・・もしかして君は神様かな?俺は悪魔のロキ。とりあいず御互い状況を確認しない?」


10 :多樹 :2007/05/14(月) 00:00:53 ID:m3kntDV4

【夜はふけて・・・・】

 突然だが、夢宇は神と天使しか見たことが無い。
なので今回夢宇は初めて悪魔に出会ったことになるのだが、夢宇は以外にも自宅(夢見家―といってもどこにでもありそうな二階建ての一軒家)にある自室で、その悪魔となごやかに会話していた。
ちなみに今現在夢宇の部屋にいるのは悪魔のロキと夢宇のみである。華連は神に報告するために秋乃風家に戻っており、ロキとともにいた黒猫はロキに何かいわれてどこかへかけていった。ロキがいうには、なにかすることがあるらしい。

「んじゃまずは俺ら悪魔のことを教えるな。おれたち悪魔はおまえたち神に人の命を奪うことを許されている。だから俺らの仕事は地獄の管理と罪を犯した者に罰を与えること。まぁ普通は手当たり次第に命を刈ることはないけどな。よっぽどおもい罪の奴だけさ」
ロキは軽い口調でそういうとどこからかこの町の地図を取り出して床にひろげる。
そしてそれをのぞき込みながら首をかしげた。
「そもそも封印って何だ?この町には俺ら以外のなにかがいるのか?いや、それ以前に俺らの“意思が決まる”ってどういうことだ?」
「・・・・・・・わからない」
夢宇は小さく首を振りながら答える。それを見てロキは深いため息をついた。
「確かにこの町の“気”は強い。でもそんな何かが封印されているなんて話は上からも聞いていない。おまえもだろ?・・・・やっぱり。ってことはもしかしたら上の奴らも知らない可能性があるってこった」

結局二、三時間二人で考えたが、何一つ状況は変わらなかった。
「くっそぉ・・・・なんなんだ・・・あい・・・つ・・・。グー」
「親父のやつマジでしらねぇの・・・・か・・?。グー」
・・・・寝た。
二人の人ならず者の問題は消えず、時間だけが過ぎていった。


11 :多樹 :2007/05/28(月) 23:55:31 ID:m3kntDV4

【寝起き】

午前9時。窓から差し込む日の光りで夢宇は目を覚ました。
一応ベッドに寝ている。どうやら昨日は寝ぼけた頭でなんとかベッドまではたどり着いたらしい。だが、夢宇には一つ疑問があった。
なぜ、なぜ自分の真横で、同じ布団で、この男が寝ているのだろう。
スースーと寝息を立てる悪魔を見ながら夢宇は機能していない頭をフルに稼動し、五分かけて結論にたどり着いた。
「・・・・僕が寝ぼけて毛布か何かと間違えて引っ張り込んだんだろうな・・・きっと」
なんせ寝ぼけているので彼は自分の言っていることがどれだけ無茶な内容なのか気づかぬまま、のそりとベッドから這い出て、リビングがある一階へと降りていく。
夢宇は現在自らの通う学校から徒歩15分の位置に住んでおり、同じ家に住む家族構成としては、夢宇の妹瑠奈(ルナ)、監視役の華蓮、そして夢宇の強い要望によって下界にやってきた華連の姉の計4人暮らしである。といっても3日に一度の割合で夢宇の兄がやってくるので、ほとんど5人といっても過言ではない。
しかし、どうやら今日はルナは部活動に行っていているようで家にはおらず、監視役の華蓮もその姉もいない。
「・・・・」
「にゃ、にゃははおはようございます夢宇様」
代わりに、一匹の黒猫が食台の上にちょこんと座っていた。
夢宇は無表情に固まる。その様子を見て猫が心配げに訊いてきた。
「あの・・・私のこと、ロキ様より聞いていらっしゃいますよね?」
しばし固まったまま夢宇は考え、時期に短く
「ああ」
と答えた。猫はほっとしたように息をはいたがその様子を見ながら猫に「ああ」に続く言葉を吐き出した。
「特に聞いてないけど」
夢宇はフリーズ状態からもとにもどり、入れ替わりに猫が固まる。
しかしすぐに猫は礼儀正しく夢宇に向かっていった。
「失礼致しました、時期神様。私目は上級悪魔ロキ・F・ギルスレイアに仕える使い魔、ネロ・マーズディック・ギベロスタインと申します。以後、お見知りおきを」
そこまでいって頭を下げる猫を見ながら夢宇はあぁやっぱり時期神様の立場ってすごいんだな。などと考えて一人ボーっとしていた。
それもコレも全ては寝起きのせいだったと夢宇は後に言い張っていた。


12 :多樹 :2007/05/28(月) 23:55:33 ID:m3kntDV4

【寝起き】

午前9時。窓から差し込む日の光りで夢宇は目を覚ました。
一応ベッドに寝ている。どうやら昨日は寝ぼけた頭でなんとかベッドまではたどり着いたらしい。だが、夢宇には一つ疑問があった。
なぜ、なぜ自分の真横で、同じ布団で、この男が寝ているのだろう。
スースーと寝息を立てる悪魔を見ながら夢宇は機能していない頭をフルに稼動し、五分かけて結論にたどり着いた。
「・・・・僕が寝ぼけて毛布か何かと間違えて引っ張り込んだんだろうな・・・きっと」
なんせ寝ぼけているので彼は自分の言っていることがどれだけ無茶な内容なのか気づかぬまま、のそりとベッドから這い出て、リビングがある一階へと降りていく。
夢宇は現在自らの通う学校から徒歩15分の位置に住んでおり、同じ家に住む家族構成としては、夢宇の妹瑠奈(ルナ)、監視役の華蓮、そして夢宇の強い要望によって下界にやってきた華連の姉の計4人暮らしである。といっても3日に一度の割合で夢宇の兄がやってくるので、ほとんど5人といっても過言ではない。
しかし、どうやら今日はルナは部活動に行っていているようで家にはおらず、監視役の華蓮もその姉もいない。
「・・・・」
「にゃ、にゃははおはようございます夢宇様」
代わりに、一匹の黒猫が食台の上にちょこんと座っていた。
夢宇は無表情に固まる。その様子を見て猫が心配げに訊いてきた。
「あの・・・私のこと、ロキ様より聞いていらっしゃいますよね?」
しばし固まったまま夢宇は考え、時期に短く
「ああ」
と答えた。猫はほっとしたように息をはいたがその様子を見ながら猫に「ああ」に続く言葉を吐き出した。
「特に聞いてないけど」
夢宇はフリーズ状態からもとにもどり、入れ替わりに猫が固まる。
しかしすぐに猫は礼儀正しく夢宇に向かっていった。
「失礼致しました、時期神様。私目は上級悪魔ロキ・F・ギルスレイアに仕える使い魔、ネロ・マーズディック・ギベロスタインと申します。以後、お見知りおきを」
そこまでいって頭を下げる猫を見ながら夢宇はあぁやっぱり時期神様の立場ってすごいんだな。などと考えて一人ボーっとしていた。
それもコレも全ては寝起きのせいだったと夢宇は後に言い張っていた。


13 :多樹 :2007/05/31(木) 22:01:33 ID:m3kntDV4

三人目

夢宇が自分で作った目玉焼きと味噌汁を食卓に並べていく光景を見ながらネロはおどおどと訊いてきた。
「あの、夢宇様?天界に一度戻られてはどうですか?そこでお父上様の考えをおききになられては?」
「却下」
即答である。もう少しは考えて欲しいものだ。
「何故ですか?」
「俺は昨日の夜親父に訊いたんだ。でもなにも知らないといっていた」
味噌汁をすすりながら答える夢宇の目にはナニも浮かんではいない。
「ですが天界の書庫をあされば少しは何かわかるのでは・・・・?」
空っぽになった味噌汁のおわんを置きながら夢宇は黙って聞く。
しばしの沈黙。しかしそれは長くは続かず、第三者の声によって破られた。
「残念ながらなにもございませんよ」
突然の声に夢宇とネロは同時に声のした方、つまり開け放たれた窓のほうに目を向けた。
小さな出窓だ。下半分のみが開くようなタイプの長方形の窓。その窓の枠に、小さな人型に切りぬかれた紙が置かれている。
夢宇はそれに近づいて指で摘み上げた。
「・・・・紙?」
すると突然重くなり、夢宇は思わず離す。
紙はゆっくりと宙を舞い、地面につく直前に大量の白い煙へと変化した。
「あいたた。もうちょっと優しく落として欲しかったですね」
煙が晴れた中には、しりもちをついている薄いオレンジの長髪を持つ巫女がいた。いや、正確にはそうではない。巫女さん衣装の美女がいた、がおそらく正確だろう。
しかし今驚くべきは紙が女性になったということではない。もちろん女性が夢宇を知っていたっということでもない。
驚くべきはその女性の美しさである。夢宇が今まで見たことがないほどの美しさであり、それはもう可愛い、美しいのレベルではなく、見とれて思わず一分ほどは息が出来ない程のものであった。
「夢宇様、御久しぶりですね。あれ?覚えていませんか?あれ?きいてますか?」
その巫女美女が夢宇の前でひらひらと手を振る。
「は?!あ、すみません。で、どなたですか?」
夢宇が食卓の椅子に座りながら訊くと、女性はその場に礼儀正しく正座し、夢宇のかおを見ながらハッキリといった。
「私の名前は遥(ハルカ)。夢宇様の御父上に仕えておりますが、今回は夢宇様のサポート役として派遣されて参りました。本日より私は華蓮、蓮華と共に夢宇様をサポート致します」
「はぁ。それで?」
「はい。今回御父上様から3つの伝言を受けたまっております。そのうち二つを」
そういって遥はどこからかポスト型貯金箱を取り出した。一度がしゃんと振る。
『夢魔は人の夢の中に入り込み、他者の精神を壊ため、昔全ての夢魔をある町に封印した。
    七つの時計台、二つが消えた』
そう機械的な声が告げると、貯金箱はそれっきりなにもいわなくなった。
「今現在それが天界からの言葉です」
そういってほほ笑む遥を見ながら夢宇はあるものが浮かんでいた。
それはあの日あの男が言っていた言葉である。
「封印は残り五つ」
そしてもう一つ、この町の中に七つ存在していた銀の時計台である。たしか学校内にもあったので、良く覚えている。

精神を破壊する夢魔を大量に納めた封印がもしもこの町の中で解けたら・・・・。考えるだけでも恐ろしい。
そして封印が残り5つしかないのだとしたら・・・・。

「やべぇな。けっこー有名だからな、あれ。全部壊されんのに5日もかかんないんじゃないか?」
出入り口で話をいつからか聞いていたロキが呟いた。
どうやら考えは一緒らしい。
―封印を守りきること―
「守れれば僕等の勝ち、壊されれば負けか」
「おもしれぇじゃん。時期神様と悪魔の力を思い知らせてやる」
二人はほぼ同時ににやりと笑った。


14 :多樹 :2007/06/20(水) 17:28:44 ID:m3kntDV4

昼間の商店街を走る少年。
その肩の上でへばりつく一枚の人型の紙。
「遥!封印は本当にあと三つなのか!?」
息を上げながら走る少年は速度を緩めずにそう叫ぶ。
対して答えるは肩の上にへばりつく紙。
「はい。神成学園、東神社、西神社、南神社の四つはすでに破壊されており、残るはこれから向かう神成霊園とロキさんの向かっている大蔵通り、華蓮たちの向かう桐原通りのみです」

 ロキと夢宇の考えた作戦はこうだった。
まず華蓮を電話で呼び戻し、そのあと残る三つを手分けして守るという至極簡単なもの。
大蔵通りという大通りに面して存在している箇所をロキ・ネロが、同じく大通りである桐原通りに面している銀時計を華蓮・蓮華が(ちなみにこの時初めてロキは華蓮と蓮華が姉妹であることを知った)、そして街でもっとも大きな霊園内に存在している箇所を夢宇・遥が守るという手順である。
しかし、今現在ある不確定要素は、五つ残っているはずの封印が残り三つになっているということである。このことから遥は、敵は一人ではないかもしれないといっていた。

「ところでさぁ、遥なんか出来る?時期神様と違って天使には力があるんでしょ?」
「ありません。ですが夢宇様には神としての力が目覚めつつありますからなんとかなりますよ」
「・・・・・」
夢宇が突然無口になったのを感じて遥が顔をあげると、そこには霊園の入り口と思われるゲートがあった。
空はだいぶ曇っており、いつ雨が降ってもおかしくはない。
夢宇は霊園の中に入りしばらく歩くと、お目当てのものに出会った。
大きな銀の大時計。それは和風の墓石と洋風の墓石とが交じり合い大きな円をつくりあげている中心にあった。
その腹には金色の文字が記されている。
 
  “迷える神の子
      ここに眠る”

なるほど、確かに墓場らしい文字だ。
そうおもいながらも夢宇は辺りに目をこらして腰を据えて待とうかと時計に寄りかかるように座わろうとしたとき、周囲の気温があきらかに下がった。
それだけではなく、霊園全体を黒い球体が覆っている。

「来ました夢宇様。夢魔です」
―分かっている。
そう言いかけた夢宇は胸に違和感を感じ、目で確認すると、自分の胸から一本の銀が生えている。
「え?」
それはゆっくりと夢宇のからだの中にひっこんでいき、夢宇の背後から引き抜かれた。
それと同時に夢宇の胸から血が勢いよくふきだし、銀時計の背後から一人の青年が現れた。
「初めまして時期神様。僕の名はロンド。そしてさようなら時期神様。兄にはあなたの死は伝えておきますので」
そう言いながら血を白い布でふき取り鞘にしまう青年。
倒れながら夢宇が見た青年の顔は見たことがないもので、しかしフードを頭まで被る姿には見覚えがあった。
―夢魔・・、か?
「おや?雨か。やれやれ雨は嫌いなんだよな」
青年の声と自分をたたく雨音がずいぶんと遠くに聞こえた。

     “迷える神の子
        ここに眠る”


15 :多樹 :2007/06/30(土) 14:36:16 ID:m3kntDV4

    【夢宇・天界】

     【 天界・神の書斎 】
 一人の女性がそのセカイで口を開いた。
白で統一された床。彼女達は知っている、それが雲だということを。
部屋の壁に並ぶ無数の本。天井は無く、ただ白い光りが降り注いでいるだけだ。
「神様、反応がロストしました」
神様と呼ばれたのは白髪混じりの男。白と黒の天装着(てんしょうぎ)と呼ばれるものを着ており、今は机で大量の書類に埋もれている。
しかし、その言葉を聞いたとき彼は書類を全て床の上に落とし、半径80pほどの五pほど宙のに浮いている球体をとりだし、自分の前に置いた。そのなかでは下界の様子が映っていた。
「さぁてうまくいくかな」
神の声は楽しそうで、神の表情はうれしそうで、神の目には期待のみがあって、その光景はどこか子供のようなものがあり、同時に、どこか悪魔に近い雰囲気があった。

 
     


16 :多樹 :2007/06/30(土) 15:39:18 ID:m3kntDV4

    【夢宇・雨】

 雨が降りそそぐ。地面に落ちた水は、赤い色を洗い流して無かったことにする。
遠くで雷もなっている。まるで、そこに倒れるものを嘲笑うように。
「やれやれ、時期神様っていってもこんなもんか」
そういいながら黒いフードを被った青年は溜息をついた。
紅い髪の青年。外見年齢は20、21ぐらいだろう。
「なるほど。たしかにこの程度の奴よりもあっちの悪魔をつぶすほうがたのしそうだな・・」
足元で倒れている少年を見下ろしながらそう呟き、夢宇の隣に立っている紙に向かって言った。
「それで?そこの天使様はなんかようですか?」
その言葉が終わると同時に紙が一人の美女へとかわる。
「夢魔、こんな話を知っているか?数年前、天界が行った実験のはなしだ」
「はぁ?」
動こうとした夢魔、ロンドを片手で制しながら遥は言う。
「まぁ聞け。始まりはとある計画からだった。むかしある男が天界で“世界消去”の計画案をだした。まぁ内容は滅びに向かいつつある世界をいちど消滅させて創りなおすというというふざけたものだ。しかしその男はその計画のために神器と呼ばれる神の武器を創り出したんだ。しかし当然ながらその計画は却下され、危険分子であるとみなされたその男は天界を追放され、神器はすべて押収された。しかしそのさいに天界はある二つの実験を行った。一つは神器のなかに存在していた自ら考えを持ち、エネルギー等を自分たちで創り出す生きた武器、零魔道を下界に送り込みその力を目覚めさせたらどうなるか、というものだ」
遥はそう言いながら一本のナイフを取り出した。ロンドは防衛のために身構えたが、それで攻撃してくる気配は無い。
「・・・・・」
「そしてもう一つは神の後継者であるものに零魔道を融合させたらどうなるかどうなるかというものだ。まぁ神以外にも人間や悪魔、動物などなんにでも融合させたのだがな。さぁて、意思を持つ武器である零魔道を意思をもつ存在にゆうごうさせたらどうなるでしょうか?」
そういって彼女は自らの指に切傷をつけ、隣に倒れる少年の傷口にその血を一滴落とした。
その光景を見て、夢魔は強い不安にかられた。
―まさか・・・。まさか、まさか、まさか・・・!
そんな彼の前で先ほど自分が刺し殺した者の傷口が次第に小さくなり、きえた。
そして、完全に一度消えた気配が再びよみがえる。先ほどとは数倍の濃さと何かを伴って。
次第に気配も大きくなり、気づくと完全に彼は圧倒されていた。
その気配と霊力に。
   ピシッ!
そんな音が聞こえた気がして、彼の身体は近くにあった墓石に叩き付けれていた。


17 :多樹 :2007/07/10(火) 21:38:19 ID:m3kntDV4

【零魔道・雨】

墓石にたたきつけられたロンドが状況を理解する前に、それは行動を開始する。
いや、彼からしてみれば行動して“いた”であり、終わっていたといっても過言ではない。
ロンドの視界の中では、彼の意識の中ではそれは動いていなかった。ただずっと立っていただけだ。それなのに、彼の武器である刀が砕けた。
「!」
ロンドは驚きと共に目の前に居るそれに目を向ける。
それは、夢見 夢宇だった何かは何かをするでもなくただ立っている。
―いつから立っている?
見えなかった。それに対する悔しさは無い。はやすぎてそれさえも感じなったから。
そんな彼を嘲笑うように、遠くで雷鳴が鳴り、それの手には銀の槍が握られていた。
―何処からだした!?
それは手に持った銀の槍を反転させ、ロンドの視界から消える。
 「貫け、グングニル」
そして背後からの冷たい声に気づいた時にはすでに、彼の胸の辺りから一本の銀が生えていた。
引き抜かれると同時に彼の身体から血が噴出した。
倒れながら首だけを動かし見たものは、雨にぬれて前に垂れ下がった黒髪で目は見えないが、口元がはっきりと笑っている少年の姿をした何かだった。
「くそ・・。だが、どんな化け物でも兄貴にはかてな―」
青年の言葉は最後まで言い切ることはなかった。
その場に残る頭の無い死体。ただただ雨はザーザーと。


18 :多樹 :2007/07/31(火) 14:57:44 ID:m3kntDV4

【華蓮】

夢宇の補佐役として存在している華蓮は困っていた。
何故なら、彼女はあくまでも封印を夢魔から守れといわれている。
だが、桐原通りにたどり着いた彼女達を待っていたのは、大きな銀時計とそれを囲むロボットたちだからだ。
球体に機械の手足をつけたような人間とほぼ同じサイズのロボット達。
ほぼすべて白と灰色のそれの中心には唯一赤い直径5pほどの球体が六つ並んでいる。
その数約十体。
ロボットたちは皆両腕が太く、足のほうは人間と同じぐらいの太さだ。
「ギ、ギギギギ・・・」
「まぁ華蓮ちゃん、大変。私達ロボットを相手にするなんて聞いてないわ〜」
華連の横で姉の蓮華が空気を読まぬ声で言った。
「もうちょい慌てない!?私達絶体絶命だよ!?」
慌てる華蓮の隣で何かを引きぬく音が聞こえた。
       ピン
何かを放り投げる蓮華の腕が見えた。
目の前でロボット五体を巻きこんで手榴弾が爆発した。
―え?
「あらら?なんか爆発したわ〜」
      ピン
再び何かが放り投げられる。
再度爆発が起きた。
「ギ、ギギギギギ」
爆煙が華蓮の顔をなでた。
「・・・・・・・それ、なに?」
「さぁ?なんか知り合いの人から昨日もらったの」
「軍人さんのともだちでもいるの!?」
ロボット全滅。時計木っ端微塵。
「あ」
「あら」
煙が晴れてから見えた光景がそれだった。
「ちょ、壊れちゃったよ!?」
「あらら・・・。駄目じゃない壊しちゃ。華連ちゃん」
「壊したのはお姉ちゃんでしょう!」
ポツリ
「あら?雨・・・」
二人の天使の上に雨はぱらぱらと。


19 :多樹 :2007/08/20(月) 17:24:11 ID:m3kntDV4

【夢宇(ゼロ)】

降りしきる雨の中、少年は一人空を見上げた。
見上げた空は黒。
「雨はいい・・。そうはおもはないか?」
霊園の中に声が響く。
声のした方をみると、あの時のフードの男がそこにはいた。
「思わないな。さっさと貴様等は貴様等の世界に帰ったらどうだ?夢魔」
夢見 夢宇の姿をした少年は冷淡な声で言う。
「おやおやこれはこれは。怒らせてしまいましたか。成功作君」
近くにあった墓石が音をたてて砕けた。
フードの男は何処からか長い木の杖を取り出し、構える。
「俺は夢宇だ」
「違います。貴方は零魔道によって芽生えた意識。いわば零魔道の心」
夢宇のてに持った銀の槍が砕ける。
「天界の実験の副産物である君がこの世にいていい道理はない」
地面に亀裂が走る。墓石が複数壊れる。銀時計にヒビがはしる。
「俺は貴様とは、違う・・・・!天界に創られ、天界の意思で消されるようなそんざいではない!」
夢宇の目が変色していく。黒から赤へ、赤から白へ。
「これは失礼致しました。我々としては望みであった封印を解いた。以前以上の力を手にした」
フードの男はそういいながら杖を振る。
銀時計が砂と化し、崩れ去る。
「!!」
「ご安心ください。人間の世界を消す気なんてありませんから。ただ世界を全て無に返したいだけです。まぁその過程でこの世界も消滅するかも知れませんがね」
男は一度指を鳴らすと、それが合図だったかのように霊園を覆っていた黒い球体が音も無く消滅していく。
「では、また合う日を楽しみにしていますよ」
フードの男が足元から黒い霧となって消えていった。
霊園に一人残された少年は一人静かに呟く。
「あの悪魔生きてるみてぇだな・・・。でかい気をかんじる」
その言葉を最後に、少年の中が入れ替わり、夢見 夢宇が呟く。
「なんだよ・・・。あれ・・」
少年は自分の中にいた者の事を考え、そして同時に理解した。
あれは自分とは違う者であると同時に自分なのだということを。


20 :多樹 :2007/09/01(土) 19:16:38 ID:m3kntDV4

最終話【数日後のはなし・・・】

夢見家の中でとんとんと音が響く。
「本当によろしいのですか?夢宇様」
紙切れの遥が肩の上で夢宇に問い掛ける。
現在夢見家は大幅な改良工事をしており、その様子を見ながら夢宇は答える。
「あぁ。僕の中に何かいるなら自力で何とかする」
あの日から天界との出入りは出来なくなっている。犯人は間違いなく現神様だ。
あのひ銀時計を全て壊されたが、夢魔の気まぐれによって事無きをえた夢宇たちは、自分達の弱さを思い知った。
そのため、すこしでも成長したいならば自分から問題を呼ぶしかない。
ということで、とある仕事を始めることにした。
従業員は夢宇、ロキ、華蓮、蓮華の四名。
店の名は、零々事務所。
不思議な問題を取り扱う店。




              *
           天界・神の書斎にて

書斎にて一人の男がただ笑う。
「神様、いかがなさいましたか?」
天使の呼びかけに男は半笑いのまま
「中々、面白い実験の結果になったと思ってね」
「・・・・・それは生態ナンバーE・XDのことですか?それともC・JKのことですか?」
現神様である男は楽しそうな目をしながら静かに呟いた。
「・・・全部さ。いやいや・・・まさかゼロ魔道が正式に起動してレベル1のまま夢魔を倒せるなんてね」
「・・・まだ実験は続ける気ですか?」
「当たり前だよ。そのためにあの街と天界との回線をきったんだから」
そのおとこにとって全ては実験。
息子の自我も。世界の存続も。夢魔の存在も。
そして、天界の計画さえも。
全ては、自分のための。


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甘辛流小説家ギルドGAIA
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