それは遠い未来の話
それは遠い過去の話
それは遠くない今の話
岡野 (人間)
蛾を追いかけて穴に落ちた中学生。
トモヒサ (モサモサ)
絶滅寸前のウサギのような生物。一見かなりむかつく姿。
ハートのクイーン (王女)
トモヒサをいじめるサドスティック王女。トモヒサを召使、もといストレス解消道具として見ている。(形的にはペット)
中友 (ドアのぶ)
世界とセカイをつなぐドアのぶ
ウダガワ (たまご)
ハンプティー・ダンプティーの子孫
北野 (虫)
森の中に住むイモムシ。
公爵夫人 (人)
ワンダーランドに住む。
帽子屋
同じく
タキ
自称神様、通称作者。職業は旅人
花。どこを見ても、花。花、花、花、花、花。
その中にぽつんと立つただ一人の少年、岡野。
しかし彼は急に走り出し、ぽつんと立つものは誰もいなくなった。
「あはははは、まってよぉー、ぉお!?」
岡野は蛾を追いかけながら走り、地面にあいていた大きな穴に落ちていった。
長い長い穴だった。
落ちる落ちる落ちるおちおちおち、おちるぅ!!
的なことを最初思った少年、岡野も、今は自分といっしょに落ちていく大量の紅茶入りのティーカップの一つを優雅に足を組みながら飲んでいる。
どういう状況だと訊かれれば、落下の速度は最初と依然変わらず、すでに慣れてきてしまっている状況だと読者の皆様には判断していただきたい。
まぁそんな感じで落下している彼ですが、頭上から降り注ぐなんかもうティーカップのタワーみたいになっている中の一つをのみながら、岡野は見た。
いそがしい、いそがしいといいながら壁にある扉に入っていくかなりむかつく顔をした一匹のウサギを。ちょうど落下に退屈を感じていた岡野は、そのウサギを追うことにして、その扉の中に入っていった。
扉の先には、かわいらしいピンクの壁紙に、ピンクのじゅうたん。まぁ早い話が住む者の神経を疑いたくなるような趣味の悪い部屋だった。
しかしその部屋の真ん中に白いテーブルが置いてあるだけでウサギの姿はどこにもない。
「あれ?消えた?」
そのとき、目の前の壁の足元で小さくいびきをかくドアのぶが目に入った。
岡野はしゃがみこんで語りかける。
「ねぇ。・・・おい。こら。おきろこのカス」
だんだんと口が悪くなる岡野に対してドアのぶは間の抜けた声で言う。
「んー?だれだ?おまえぇ?」
「そんなことよりウサギを見なかったか?」
岡野の少しいらついた声にきずいたドアのぶはあえて神経を逆なでするように言う。
「ふーむ名乗る気がないなら君のことは池林4号と呼ぼう。私は中友」
「何で4号!?あえて4号!?っていうかそんなことよりウサギをみなかった?!」
中友は気の無い声で
「赤いほうは小さく、青いほうは大きく」
そうつぶやいた。よく見ると自分の足元に小さな二色の丸薬が落ちている。
岡野は一瞬だけ迷い、すぐに赤い玉を拾って飲み込んだ。
みるみる体が縮んでいく。
そしてすぐに中友をくぐれるほどのサイズになり、岡野は中友のにんにくクサイ口の中を通って行った。
くぐり抜ける際に岡野は中友の声を聞いた。
「ようこそ。気の狂った国へ」